スタジアムに足を運んだサポーターは9376人。その熱い声援に背中を押されて選手たちは戦った。「今シーズンのベストゲームにしたい」。試合前に高橋泰が語った気持ちは福岡に所属する全ての者の思い、そしてそれを表現しようと選手たちはボールを追った。しかし、その想いはプレーに表れない。それを許さなかったのは、あらゆる面で感じられた京都との間にある歴然とした差。8か月前はJ1昇格を目指すライバル同士だった立場は、41試合を積み重ねて大きく変わった。自力で自動昇格権が与えられる2位以内確保に王手をかけた京都。この日の敗戦でリーグ後半の成績を22位まで落とし、年間18位が確定した福岡。「相手の方がレベルが高かった。見習うことが多かった」。同じカテゴリーで戦う相手に対して、そう話さざるを得なかった成岡翔の表情が強く印象に残る。
「立ち上がりから入り方は良かったと思う」。大木武監督の言葉通り、キックオフと同時に京都が主導権を握る。そのベースになったのはディフェンス。素早い出足で全員が連動する京都は、福岡を狭いゾーンへと追い込んで密集の中で素早くプレッシャーをかける。その圧力から逃げようと福岡はボールを動かすが、全ては京都の計算通り。福岡は前へボールを運べないばかりか、京都の意図する方向へとボールを運ばされては簡単にボールを奪われた。
攻守の切り替えの速さも質が違った。ボールを奪った瞬間にスイッチを入れ替え、全員が前へ向かって動き出す京都の速さに福岡は全く付いていけず。90分間を通して、自分たちのゴールに向かって走らされ続けた。福岡にも全くチャンスがなかったわけではない。「サポーターのためにゴールを狙う」と話す城後寿が、質の高い動き出しで相手の裏を取るシーンもあった。しかし、切り替えの遅いチームは城後を的確にサポートすることが出来ず、厚みのある攻撃が作れなかった。
京都の先制点は23分。これも前線からのプレッシャーが生んだゴールだった。自陣の深いところでボールを奪い返した福岡がポゼッションしようとしたところに素早く前線からプレス。福岡がやむなくクリアしたボールを奪い返すと、素早くパスをつないでバイタルエリアで前を向く中村充孝へ。その右足から鋭いラストパスが前線へ送られると、CBの間でボールを受けた駒井善成が裏へ抜け出し、さらにGKをもかわして無人のゴールへ流し込んだ。
そして、後半開始早々の46分に、京都は勝利を大きく手繰り寄せる2点目を奪う。このシーンも京都の前線からのプレッシャーと、切り替えの速さが生んだもの。ボールをつなごうとする福岡に対してハーフウェイライン付近でプレッシャーをかけてパスミスを誘うと、瞬時に加速してゴール前へ。工藤浩平のシュートは河田晃兵が一度ははじいたが、そのこぼれ球を中村が押し込んだ。その後も集中を切らすことなく試合を続ける京都は、危なげなく福岡を下してJ1への自動昇格権を得られる2位以内に王手をかけた。
互いの順位に差があっても、京都にとっては決して簡単な試合ではなかったはずだ。前節を終えて2位以内の可能性を残すのは京都を含めて4チーム。例年以上に激しさを増すサバイバルレースの中で戦うプレッシャーは大きかったはずだ。しかし、その中で、自分たちのサッカーを余すことなく発揮して奪った勝点3。それは自分たちが積み重ねてきたことに対する自信のなせる技だったかも知れない。「厳しい戦いだったが、要所で点を取ることができ、勝つことができてよかった。(最終節は)J1昇格を決める試合で甲府と対戦できる。最高のプレーをホームで披露したい」と話したのは駒井。サポーターが待つ西京極総合運動公園陸上競技場で歓喜の瞬間を迎えるべく、最後の戦いに挑む。
一方の福岡。失った2点は京都の攻撃が素晴らしかったとは言え、ボールホルダーに対してプレッシャーがかけられず、人数が揃っていてもマークがはっきりせず、そして危険な時間帯や場所で不用意なミスが続出するという、いつもの課題が招いたものだとも言える。今シーズンを通して、結果に結びつかない要因をゴールが取れないことだと口にし続けるスタッフ陣だが、守備組織を構築できていないことが今シーズンの結果を招いていることは明らかだろう。
そして、今シーズン最終戦はアウェイで鳥取と戦う。「どんな形であれ、どんなモチベーションであれ、勝つというのが大事。スタジアムに足を運んでくれるサポーターがいるのなら、その人たちのためにしっかりと頑張って勝利したい」と話すのは古賀正紘。1年間戦ってきたというプライドを見せてくれることを、福岡に関わる全ての人たちが望んでいる。
以上
2012.11.05 Reported by 中倉一志
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