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【J2:第41節 甲府 vs 熊本】レポート:山梨的完璧大団円青赤城福甲府(12.11.05)

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あ〜おあか、ジョーフクこう〜ふ、キュートなスーツに、ズキンドキン
あーおあか、ジョーフクこう〜ふ、ジェーイワンいこうぜ、ズキンドキン

甲府サポーターは1984年のヒット曲、小泉今日子の「渚のはいから人魚」のメロディで歌いまくり。選手はJ2優勝シャーレを上げまくり、柏好文はゴール裏のサポーターも巻き込んでシャーレ・ジャンプを連発。そして、最後はビールをかけまくり、歌い・跳ねまくった。山梨中銀スタジアムはJFK甲府祭り。アウェイ最終節は残っているが、完璧といっていいほど満足度の高いホーム最終戦。これ以上を求めるのならJ1で優勝するかフィクションの世界に入っていくしかない。それに、過去2回のJ1昇格とJ2降格の経験があるから、甘いだけの夢を見るのは寝ている時だけ。今、見ている夢は起きて見ている夢。地に足をつけて祭りを楽しんでいる。

「いや〜ダメでした」って言うかと思っていたら、悔しさや腹立ちを完全には抑えきれていない表情で、「このチームと一番やりたいと思っていた。いつも以上に気持ちが入っていた」と話し始めた。「(熊本の10番を背負って1年間戦ったけれど)浮き沈みの激しい順位変動で責任を感じています。今日はチームとしてやりたいことの半分もできなかった。ボールを奪われることが多く、崩せなかった。アイディアも足りなかった」と、養父雄仁は硬い表所のままで言った。相当悔しかったのだろう。甲府時代には見せたことがなかった雰囲気だった。最後に「前半、立ち上がりの甲府はどうだった」と聞くと、「横綱みたいでしたね。俺らが崩しても焦ってなかった・・・」と言った。

この言葉とダヴィの次節の対京都、シーズン最後のリーグ戦出場停止が繋がった。今年散々言われた「ダヴィ頼みの甲府」という悔し紛れの捨て台詞。ホーム最終節はダヴィがノーゴールでも好調の熊本を圧倒して勝った。”じゃあ、最後はダヴィなしで前半戦ホームで惨敗(0−3)した京都にアウェイで勝ってみろ”と、Jリーグの神様・日程くんが与えた試練。甲府の勝利が、湘南、大分、横浜FCの2位自動昇格を可能にする、最終節のドラマが出来上がった。J1昇格もJ2残留も最終節まで痺れるドラマが続く。甲府は、元カノ・タケシ(大木武元監督)率いる京都を倒すことで古いアルバムをしまうことになる。

記者席の真後ろがラジオの実況席で、アナウンサーの声も解説の堀井岳也(日本航空高校サッカー部ヘッドコーチ)の声も完璧に聞こえたから、「今年の甲府は200本を超えるコーナーキックから得点は4点です」など、知らなかったデータも頭に入るし、06年にJ1甲府で引退し高校サッカーの指導者になった堀井は、「柏と永里(源気)が相手ディフェンスラインの裏を狙っているから、甲府が押し込める」なんてことも教えてくれる。ふざけて、冷やかそうとすると、立てた人差し指を閉じた唇の前に持って行かれて、嗜めもしてくれた。ともかく、ラジオの実況がガンガン聞こえるから試合を見ている自分の感想や印象とラジオの論調を常に比べながら試合を見ることができた。

で、結論は立ち上がりから甲府が攻守にわたってバランスが良く、切り替えも総体的に速かった、ということ。ダヴィは厳しいマークにあっていたけれど、フェルナンジーニョや柏や永里のキープ力と仕掛けで前半から熊本のボディを打ち続けた。奪ったボールをシンプルに武富孝介や齊藤和樹に当てられてカウンターになりそうな場面もあったが、伊東輝悦が中盤の底で綺麗に掃除してくれるし、柏や永里もJFK甲府仕込みの戻りディフェンスをサボらないから、最後はディフェンスラインで対応して決定機は作らせなかった。こういう内容を”完成度の高いサッカー”というのだと思う。ただ、0−0で迎えた後半6分に、サイドから甲府のバイタルエリアにドリブルで入っていった養父のマークの受け渡しが中途半端になったときは、養父のパスセンスにやられた。左足で出したパスは裏に飛び出した大迫希にピタリと合って、大迫がヒールで――シュートかパスかは分からないが――流したボールが出てくるGK・荻晃太もかわしてコロコロとゴールラインに向かって転がった。(この内容でワンチャンスで先制点を取られるのか・・・)と諦めかけた時に、白い馬には乗ってないがCBの救世主・盛田剛平がスラインディングでそのボールを掻き出した。36歳、今年一番の機敏な動きだった。試合後に聞くと、「忘れてた。そんな場面あったね。あのボール、入ってなかった?」と本人が確信できないほどギリギリ。ボールは丸いから真上から見ないと判定は難しいが、ギリギリでノーゴール。熊本の選手から見れば、「あれがゴールだったら流れは変わっていた」という思いになるのは当然だし、唯一マークが甘くなったチャンスを生かした熊本の選手たちも素晴らしい。でも、内容は甲府だったし、この場面を除けば前半のボディブローが効いて決定機が増えてきた。56分にフェルナンジーニョのクロスがオウンゴールを誘ったときには、解説席から「相手が予測しないタイミングでクロスを入れたから(オウンゴールになった)」と聞こえてくる。それを感じられなかったので、(さすが元プロ選手)と心の中で呟いた。74分には井澤がダヴィとのワンツーから今季2点目を決めてスタジアムは勝利を確信。熊本が10人になっていたのでもう1点、2点決めるチャンスもあったけれど、決めきれないのは甲府の課題。最終節に向けてポジティブに捉えれば問題はない。2−0、ホーム最終戦は完封勝利。

養父が使った「横綱」という言葉とリンクする言葉があった。山本英臣の言葉で「前半はミスばっかりでゲームに入れていない感じがした」と内容を振り返ったあと、「良くないとは思いながらも守備のところでは熊本にほとんど何も(攻撃を)させていなかったのは、自分たちの成長」という趣旨の話をしたのだ。良くないと感じながらも、相手を圧倒する内容。つまり、波の底が上がっているということ。短い言葉で言うと“底上げ”。ダヴィがイエローを貰ったことを知った、湘南、大分、横浜FCの関係者やサポーターは「なんでカードもらうんだ」と思ったかもしれないが、今の甲府はダヴィなしでも結構やれそうな雰囲気。京都が波の頂点だろうが、前半戦の0−3の記憶はモチベーションになるだけで萎縮なんかしない。チームにとっては最終節に突きつけられた試練であるが、試練があることが嬉しい。2位自動昇格レースは甲府が盛り上げる。この3チームが勝利給を出してくれなくても甲府は勝つ。それだけ価値のある戦いが残っているという幸せをプレーに反映する。多くのサポーターが京都に行くはずなので、今度は完璧なアウェイ勝利で1年を締めくくる。

以上

2012.11.05 Reported by 松尾潤
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