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【J2:第41節 湘南 vs 鳥取】レポート:すべての思いが宿ったキリノの決勝弾と自動昇格を手繰るGET3。鳥取は残留決定ならず。(12.11.05)

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13対4というシュート数に連想するような、勝者の圧倒的な展開ではけっしてなかった。こと前半は、前線に始まる鳥取のタイトな圧力が効いていた。「予想以上にプレッシャーが速く、そのかけ方も巧かった」湘南の永木亮太は述懐する。両サイドの裏のスペースへロングボールを執拗に打ち込む鳥取の攻撃に対しては、「いまに始まったことではないので、免疫が付いているというか、みんな焦らずに対応できていると思う」と大野和成が語るように、3バックの細やかなラインコントロールを背景にしかと対応していた。反面、「後ろから繋ぐよりも蹴ってしまうことが多かったと思う。チャレンジよりも安全を取ってしまったかもしれない」と鎌田翔雅が口にした反省は、鳥取の鋭い寄せと表裏一体だったろう。

それでも湘南はボール奪取から素早く攻撃へと転じ、小気味よいビルドアップを随所に散りばめた。だがセンターバックを筆頭にボールへの執着を示す鳥取の中は堅く、またパスが合わないシーンも散見されて、なかなか決定機に届かない。かたや鳥取は前半なかばにショートカウンターで好機をつくり出している。小井手翔太が中盤でかっさらい、左サイドの住田貴彦がシュートを狙う。GK阿部伸行が阻んだこぼれ球にもさらに福井理人が詰めるが、しかし枠を捉えきれない。

ハーフタイム、湘南の曹貴裁監督は気持ちの面に触れたという。「球際やセカンドボールのところで軽いプレーが見受けられていた。ただ、それを咎めてもよくないと思ったので、あえて冷静に伝えて指示した」。

果たして後半、「自分たちの課題でもあるが、後半の入りで圧倒されてしまった」と鳥取の鶴見聡貴が吐露したように、湘南が立ち上がりから攻勢に出る。両サイドからのアタックやDF陣の攻撃参加が増えたのは、ネジを締め直した積極姿勢はもとより、前線で意図的に時間をつくり出したことも無関係ではあるまい。後半からピッチに立った古橋達弥は言う。「相手のプレスが速く、全体的になかなかうまくボールを持てていなかった。シンプルに終わるプレーだけでなく、前を見つつ横パスを入れることも大事かなと思っていた」。

湘南は攻勢を背景に相手ゴール前での攻防へと幾度も持ち込んだ。鳥取がボールへの執着を弛まずカウンターを繰り出せば、3バックも執着で譲らず、またGK阿部が果敢な飛び出しでコンパクトフィールドの裏をカバーした。転じればサイドからのクロスやセットプレーにより、あるいはバイタルへ攻め込むなど全方位から攻め立てる。前からだけではない。後ろからも横からも、1万を超える歓声が湘南の攻撃に宿る。針が進むごとにスタジアムのボルテージは上がっていく。

「勝ってほしいって、いつも思ってる。なぜって――純粋にこのチームが好きだから。このチームが好きだし、うちのサッカーが好きだから」
あるとき、怪我で長期離脱を余儀なくされている馬場賢治がふと口にした。照れも見せず、いっそ胸を張るように、笑みを湛えながら。

時計の針は85分をすでに回っていた。相手を押し込んだ先で、古橋からハン グギョン、そして最後にピッチへと送り出された吉濱遼平にパスが繋がれる。ゴール前の混戦のなか、吉濱がラストパスを入れる。ねじ込んだのは、同じく交代出場で攻守に駆けていたキリノだった。刹那、蓄積されていた歓喜のマグマが一気に爆発した。

「決めたのは自分だけれど、あのゴールはみんなの得点。ひとりだけでは何もできないけれど、みんながいるから結果が出せた」殊勲のキリノは、「みんな」を繰り返した。みんな――誰ひとりとして欠けては成しえない、湘南スタイルの芯の芯。

87分に均衡を破って以降、アディショナルタイムに入ってからも湘南が敵陣で費やす時間は続いた。単に時計の針を進めるのではない。ポストに嫌われた吉濱のシュートに象徴されるように、リスクマネジメントを図りつつも次の1点を目指した。スタジアムがさらに沸く。苦しい展開のなか、笛が鳴るまで湘南スタイルは貫かれていた。

最下位の町田の引き分けを受け、鳥取の残留確定は今節には叶わなかった。「勝つことだけを考えて臨む」GK小針清允がそう語ったように、あるいは鶴見が「しっかり勝ってホームで残留を決めたい」と語ったように、最終節、ホームで喜びを分かち合うべく自らの手で結果を掴みに行く。

勝利のみを胸に抱くは湘南も同様だ。今季初の3連敗ののち、3引き分け、そして2連勝と来れば、ラストピースは言うまでもなかろう。周囲の状況は関係ない。「こんどの試合はGET3の集大成。勝点3にこだわる姿勢をどれだけ示すことができるかだと思う」曹監督はあらためて語った。そのための最後の1週間が始まる。

以上

2012.11.05 Reported by 隈元大吾
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