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【J2:第41節 岐阜 vs 徳島】レポート:過去最高の観客数11,119人が見守る中、ドローで勝点1を手にした岐阜。残留決定は最終節へ持ち越し。(12.11.05)

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大観衆で埋め尽くされた、長良川メモリアル競技場。試合の後半、電光掲示板で発表されたその数は、11,119人。09年から岐阜でプレーする染矢一樹は、その数字を目にした瞬間、「本当に今日はたくさんの人が来てくれていると思っていたけど、1万人越えをしたことは僕の記憶にもない。おそらく過去最高の観客数なのでは、とプレー中にも思っていました」と、驚きと感動の思いを口にした。

2012年ホーム最終戦。岐阜は、かつてないほどの緊張感の下この試合を迎えた。理由は明白、そう、J2残留をかけた熾烈なサバイバルの真っただ中にいるからである。一足早く試合を終えていたライバル・町田は水戸と引き分け。すなわち岐阜はこの徳島戦で勝利すれば、最終節を残して残留を確定できる状況となった。

絶対に負けられない一戦。これまでクラブは伸び悩む観客動員に苦しんできたが、岐阜市民、岐阜県民の「地元からJの火を消してはならない」という思いからか、試合開始が近づくにつれてどんどんスタジアムに人が集まっていった。当日券を求めてチケットブースにも長蛇の列ができるほど。そして、染矢が語る通り、この大事な一戦で岐阜はクラブ最多記録となる観客動員数を達成することとなった。舞台は完璧に整った。あとは、選手が闘うのみである。

試合は前半からゆったりとボールをつないでいく徳島のペースで進んだ。負傷のアレックスにかわり前線のシャドーの位置に入ったのは花井聖。今季は右サイドバックに始まり、ボランチなどいくつかのポジションをこなしてきたが、本職である攻撃的なポジションでの起用に本人も「かなり楽しみにしていた」という。名古屋グランパス時代からテクニックとキックの精度の高さには定評があるその花井と、津田知宏、キム ジョンミンという3人が前線の組み合わせとなった。

最終ラインから丁寧にボールを回していく徳島。ボランチの濱田武もよくボールに触れ、さらに左サイドの鈴木達也も神出鬼没な動きで相手を揺さぶっていく。そして中央では花井がボールを受けては相手DFの裏に必殺のスルーパスを狙い、そこに津田、キムも絡んでいく。[3−4−2−1]システムを組んだ徳島のその攻撃を前に、[4−2−3−1]の岐阜は「システムがハマらず、徐々に選手も低い位置に押し込まれた」(行徳浩二監督)と後手を踏む展開となってしまった。

ただ、徳島もボールを保持してチャンスを作っていくが、決定力には欠けていた。15分の津田、キムのコンビで迎えた決定機も岐阜のGK時久省吾のビッグセーブに阻まれ、37分の濱田のスルーパスに抜け出した津田のボレーシュートもバーの上に外れていった。「今日は(花井)聖が入った攻撃もいい場面が作れていたし、自分も含めて攻撃のプレーイメージは決して悪くない。だからこそあとはフィニッシュの精度が問題。そこを上げていかないとどうしようもない」と津田も自省のこもったコメントを残している。徳島からすれば、相手をねじ伏せられる機会をみすみす逃してしまったという印象だろう。花井を組み込んだ攻撃に光が見えていただけに、結局スコアレスで終わったという事実は、やはり物足りなかった。

大観衆に勇気をもらいながらのプレーとなった岐阜は、相手との実力差を前になかなか攻撃に出られない時間帯が続いた。それでも何とかワンチャンスをモノにしようという意志が見え、機を見てカウンターを仕掛けゴールに迫った。

最大の見せ場は後半40分。自陣でFWのダニロが左サイドを駆け上がる染矢にパス。すると染矢は自慢のスピードで対面するDFを抜き去り、高い位置まで侵入。前線で待つ樋口寛規にクロスを送ると、樋口は自分でシュートを打てる体勢ではないと見るや、走り込んだダニロにパス。最後はダニロが左足でコースを狙うコントロールショットを放ったが、惜しくもボールは右ポストギリギリをかすめて、ゴールの外側に外れた。

外れはしたが、この日、一番スタジアムが沸いた瞬間だったのは間違いない。そして、この形こそ、今季の岐阜が相手を仕留めるパターンでもある。残念ながら、チーム力、そして個人能力という面で、今季の岐阜がJ2の中でも上のランクではないことは、今の順位が示している。だからこそ、今季の彼らはまずは最低限守備で耐える時間帯を作りながら、数少ないチャンスを作って、それを生かしていくという戦いをしていく必要があった。理想を言えば主導権を握る時間を長くしたいが、現実的にシーズンを戦い抜くためにまずはこのスタイルを貫くしかなかった。

残り1試合。この1週間で急激にチーム力、個人の技術を上げることは難しく、だからこそ岐阜は今季の自分たちの戦い方“我慢”を貫くしかない。最終戦では染矢のスピード、樋口の推進力やシュートセンスなどを生かした速攻の機会で、今度はきっちり決め切るという作業が求められるのである。

試合後、観衆の中には消化不良の結果に終わったことで落胆を示すものもいたが、多くは激励の拍手と歓声を選手たちに送っていた。泣いても笑っても、残り一つ。
「もうここまで来たら、最後まで戦い抜いて結果を待つしかない。今、このチームにとって一番大事なことは、どれだけ気持ちを前面に出して戦えるか、それに尽きる」。

歴戦の戦士、主将の服部年宏はこの試合で得た勝点『1』という「最低限の結果」(服部)をプラスに変えるために、次戦での全力を誓った。クラブにとっても歴史的な試合となったこの一戦。残念ながら勝利を得て、残留をも勝ち取ることはできなかった。しかし、選手たちは確実に観客の熱を受け止めていた。最後はアウェイ・横浜FC戦。岐阜の面々は、徳島戦の悔しさと熱さを、そのまま横浜のピッチへと持ち込む。

以上

2012.11.05 Reported by 西川結城
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