今日の試合速報

開幕招待
開幕招待

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第33節 鳥栖 vs 浦和】レポート:「技術や戦術も大事だが、それよりもお互いの信頼感が大事」なことを見せてくれた鳥栖。今季の最高順位に躍進。最後まで固めた中央を崩せなかった浦和は痛い一敗を喫す。(12.11.25)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
勝利を目指して戦うことはどのクラブも一緒。
しかし、置かれている状況や持っている資質においての違いで、取るべき手段は違ってくる。
今季、初昇格を果たした鳥栖と過去に幾度となく栄冠をつかんだ浦和との今季最終戦の結果は、傍から見るよりも大きな違いをもたらしたように見せる一戦だった。

今節を迎えるまでの鳥栖は、5位まで順位を上げた次の試合では勝利から見放されていた。
「J1の厳しさを教えられている」や「ここまで良くやっているから・・・」などと、結果に対して自分たちなりに納得できる言葉を探していたサポーターも多いだろう。それはそれで、間違いではなく言い得ていたことは事実である。
しかし、選手たちは今シーズンを戦う中で、色々と感じ、学び、挑戦し、実践し、結果を出してきた。
残り試合があと一試合となる今節で、ここまで培ってきた“鳥栖らしさ”とは違う顔を見せてくれた。
それは、“相手のストロングポイントを消すしたたかさ”であり、“勝利に対する無心さ”だった。

今節の鳥栖の戦いを振り返ると、FWからDFまでの距離が非常に短くなっていることに気付かれただろう。
浦和がボールを保持している間は、20mから25mの間に鳥栖の選手10人が3ブロックをひいていた。その周りを浦和の選手が取り巻くような形でプレーする時間が長かった。
「タテだけでなくヨコの距離も意識した」とCB小林久晃が話したように、意識して浦和の選手に取り巻かしていたといってもいいかもしれない。
しかも、「ボールを追わない方が浦和が苦しんでいることがわかったので、やることが見えた」とFW豊田陽平もいうように、前線からのプレスは控えて、浦和に“ボールを持たせる”状態を長く作ったといえる。
これが、功を奏して“浦和らしさ”を消し、結果的に浦和より上位に位置することができた。

ペトロヴィッチ監督は試合後に「内容に関しては、我々が上回っていた」とコメントしたが、「違いがあるとしたら、質の高いボールの運び方ができなかったこと」とも続けた。
確かに浦和はボールの支配率は高かった。DFからボトムアップする意識とピッチ幅を使ったサイドチェンジを最後まで見せていた。放ったシュートも14本と鳥栖を上回った。
しかし、前節の広島戦(第32節埼玉スタジアム)で見せたような突破や中央へのクサビのパスは少なかった。
「真ん中をあれだけ固められたら、崩すのが難しかった」とFW原口元気の言葉がそれを裏付ける。

浦和が出せなかったのか、鳥栖が出させなかったのか・・・。
これは、前述したように立場の違いで見方も変わるだろうが、得点経過を振り返ると“試合の流れをつかむ”ポイントが見えてくる。

45分に鳥栖が豊田陽平の今季18得点目で先制した。
63分には、MF野田隆之介が相手クリアボールをダイレクトボレーで決めて勝ち越した。
78分には、豊田陽平が勝利を決定づけるゴールを奪った。
これらのゴールが生まれる前に、鳥栖はFKを得て切ることに気付く。
言い換えると、浦和の攻撃から鳥栖が攻撃への切り替えスイッチが鳥栖のセットプレーだったことになる。
直接の得点にはつながっていないが、浦和からボールを奪った直後にセットプレーで“試合の流れをつかむ”鳥栖らしさがここにあった。

浦和も58分にMF梅崎司の豪快なミドルシュートで一度は追いついた。
後半開始直後から、前半よりも高い位置でボールを動かし、原口元気からのパスをMF鈴木啓太を経由して右サイドから走り込んだ梅崎司が豪快に蹴り込んだ浦和らしい流れるようなパスワークから生まれたものだった。
しかし、その5分後に勝ち越しゴールを決められてしまい、流れに乗りきれなかったことが悔やまれる。

サッカーの試合では、どうやったら勝てるかというセオリーなど存在しない。
ただ、相手よりも多くの得点を取るのか、失点を少なくするのかのどちらかしかない。
3失点しても4得点をあげれば勝利となるし、どんなにシュートを打たれようと1得点あげれば勝てることもあるのがサッカーである。
浦和の掲げるパスサッカーと鳥栖の今季やり通してきた全員の高い守備意識とシンプルな攻撃サッカーが、真っ向からぶつかった一戦だった。
おそらく、敗れた浦和の選手たちには今季の試合の中で一番悔しい敗戦といえるかもしれない。
逆に鳥栖にしてみれば、してやったりの試合といえるだろう。
勝者と敗者の表情の違いが、これを物語る試合だった。

ボールをゴールまで運ぶには、相手に奪われない技術と効果的に運ぶ戦術が必要である。
しかし、そこにボールの出し手と受け手の共通イメージがなければパスはつながらない。
味方を信じてパスを出し、来ると信じて走り出す。
一つのミスで下を向いたらゴールは見えない。
サッカーは、常にゴールを目指して進むスポーツなのだから。

以上

2012.11.25 Reported by サカクラゲン
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着