新潟が札幌を4-1で下した。神戸、G大阪が敗れたため、新潟は15位に浮上。17位から逆転の残留を決めた。前半8分、坪内秀介のゴールで先制すると、43分に追加点。後半は札幌に1点を返されるが、2点を追加して突き離した。降格が決まっている札幌は後半に入り、前線で起点を作る形からリズムができた。榊翔太の突破から1点を奪ったものの、及ばなかった。
歓喜の瞬間まで、少しのタイムラグがあった。試合後のあいさつを終えてベンチに引き揚げようとした新潟の選手たちを、突然スタンドの大歓声が包み込んだ。その雰囲気と「残留が決まりました」の場内アナウンス。神戸、G大阪が敗れ、15位に滑り込んだ。
選手たちの硬かった表情が一気に緩んだ。控え選手たちも加わり、歓喜の輪ができた。先制点を挙げた坪内は号泣した。キャプテンの本間勲はホッとしたような笑みを浮かべた。その目は潤んでいた。「苦しいシーズンだった。でも、最後に残留できてよかった」。本間は肩の荷を下ろした。
最後までプレッシャーと戦い、それを跳ねのけた。試合前、残留のための絶対条件が勝利。その上で神戸、G大阪がともに引き分け以下でなければ降格する。勝った上で、相手の結果に左右される。その中で集中力を途切れさせなかった。
先制点はコーナーキックの流れから、アラン ミネイロがセンタリング。ブルーノ ロペスがゴール前でつぶれ役になり、拾った坪内が決めた。2点目もミネイロのコーナーキックを、最後はロペスがヘディング。ミネイロ、ロペスが挙げた後半の2点はカウンターが起点。セットプレーにカウンターと、土壇場の一戦でチームの得意な形から4得点した。
それまでチームの総得点は25と、リーグ17番目の少なさだった。そのうっぷんを晴らすかのようなゴールラッシュ。「やろうとしていたことができた。練習通りのことをしようと」。ただ一人全試合出場を果たした田中亜土夢は平常心を強調した。前節、優勝を争っていた仙台をアウェイで撃破。隙を突いた攻撃と粘り強さ、全員で攻守に走るサッカーに手応えを感じた。迎えた最終戦、変わらずに持ち味を出し切った。
柳下正明監督は前節の仙台戦で退席処分になり、この試合はベンチ入りできなかった。栗原克志コーチが代行に。この日、スタジアムにチームが到着すると、指揮官は真っ先にバスから降り、選手、スタッフ一人ひとりと握手を交わした。そして一人、スタジアム内の別室に。「監督のために、という気持ちは強かった」と選手会長の三門雄大。たくましい試合ぶりをスタンドから見守った柳下監督は試合後のあいさつで、「監督がいないと、こんなにいい試合ができるんだな」と笑いを誘った。指揮官不在の危機も乗り越える結束力があった。
なりより力になったのはサポーターの存在だった。雪と強風の悪天候の中、スタジアム入りするチームのバスを3000人以上のサポーターが出迎えた。30節鳥栖戦、32節川崎F戦に続いて、ホームでは3試合連続の「入り待ち」。過去2試合は敗戦だった。「絶対に勝って、恩返ししなければならないと思っていた。みんなに支えられているこのチームを、J2に落とすわけにはいかなかった」(本間)。プレッシャーはない。応援は全て励みになっていた。
札幌は意地を見せた。後半8分、縦の突破から榊がゴール。この時点で1-2とした。後半に入り、大島秀夫を投入。前線で起点を作りながら、攻撃のバリエーションを増やした。サイドからボールをつなぐシーンが増えた。
だが、ここまでだった。勢いをつけた新潟の攻撃を止めきることはできなかった。1対1の守備での寄せの甘さなど、シーズンを通しての課題がここでも浮き彫りになった。
この試合を最後に石崎信弘監督が退任。J1で結果は出せなかったが、この試合でゴールを決めた榊ら若手にチャンスを与え、次代の芽を育成した。指揮官は「J1で活躍する選手を目指してトレーニングに励んでほしい」。選手たちにメッセージを送った。
新潟は来季も柳下監督が指揮を執る。継続したチーム作りで、来季は残留ではなく、上位進出が目標になる。本間は言う。「来年はJ1で10年目。残留が目標ではだめ。結果を出さなければ」。残留の歓喜はもういらない。味わうべきは上位で戦い、タイトルを奪う歓喜。苦しんだ2012年、新潟というクラブが最後に感じたものは、本当に目指さなければならない勝利の瞬間だった。
以上
2012.12.02 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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