長い冬も終わりに近づき、いよいよ北海道内でもJリーグが開幕する。この第2節、札幌ドームでは札幌が栃木を迎え撃つ。この冬の札幌市内は積雪が非常に多く、まだまだ春の訪れを強く感じることは難しいが、きっとこの試合が多くのファンの心を熱くしてくれることだろう。
ホームの札幌は前節の開幕戦を敵地で千葉と戦い、1−0のスコアで勝利。ともにボールをコントロールしながらも決定機を生み出しきれないというジリジリした展開だったが、後半アディショナルタイムに砂川誠からの絶妙なパスを受けた内村圭宏が右足一閃。タイムアップ直前の劇的なゴールが財前恵一監督の采配初戦を勝利で飾ってみせた。
「選手たちが本当に積極的にやってくれて、今日のゲームも本当に全員が集中して体を張ってくれた勝点3で、自分としてもすごく嬉しいですし、自信になったと思います」
トップチームの監督としての初めての試合を終えた指揮官は、試合後にそう力強く発した。
試合としては千葉にボールを支配される時間帯が多かった。しかし、札幌はチーム全体が慌てることなく相手のパスコースを限定し、数的優位を維持しながら守備網を構築することができていた。決してリトリートをしていたわけではない。前線からの連動したチェイスで千葉のパスワークを誘導し、体を張りながら組織的に跳ね返し続けていたのである。
ただし、攻撃面については財前監督はこう口にした。
「ポゼッションのところは、もっとうまくやっていかなければいけない」。
現役時代は天才肌のアタッカーとして活躍した同監督にとっては、劇的な勝利こそ得たものの、その中身にはまだまだ不満を募らせている様子。守備ではある程度の手応えを得た。ならば次はオフェンスだ。
監督として初めて迎えるホームゲームを前に、より攻撃的な姿勢を打ち出していく構えである。
一方で、北海道に乗り込む栃木の前節は、ホームに松本を迎えながら0−1で敗戦。ボールをしっかりと動かしながらラインを押し上げる戦いを実践しながらも、強固なブロックを形成する相手守備を崩しきることができず黒星を喫してしまった格好だ。
「戦前から難しい試合になると予想はできていた」
そうやって松田浩監督は開幕戦を振り返る。立ち上がりからボールをコントロールしながらも、相手のブロックに跳ね返され続け、それをうまく突破することができない。前半に先制点を奪われたことでその流れはより色濃くなり、最後まで崩せないままタイムアップの笛を聞いてしまった。
やはり、守備を固める相手から得点を奪うのは難しい。特にシーズン序盤のように、チームとしての連係が不十分な時期はよりいっそう、そうした傾向は強まる。その流れにハマってしまったのが前節だと言っていいだろう。
指揮官もこう口にする。
「結果は伴わなかったが、我々がやろうとしているサッカーをそのまま続けていけばいいという手応えはあった。精度は上げなければいけないが、次につながる試合ができた」
開幕戦こそ落としてしまったものの、チームとしてのコンセプトはしっかりと表現できた自負があるのだろう。試合を重ねるごとに、その質は高まっていきそうだ。
さて、そんなチーム同士の対戦だが、試合の焦点は栃木の選択する戦い方にありそうだ。
「栃木が積極的に前に出てくるのか、それともアウェイなので守備のブロックを作ってくるのか。そのどちらになっても対応できるようにしておきたい。ブロックを作ったときの栃木の守備は非常に固いので」と財前監督は見る。栃木の出方によって、札幌の戦い方にも変化が生まれるということなのだろう。
開幕戦を落としたアウェイチームが敵地でも積極的に攻撃を仕掛けてくるのか、それとも慎重に挑んでくるのか。そこが試合の重要なポイントだ。
以上
2013.03.09 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第2節 札幌 vs 栃木】プレビュー:開幕戦を敵地で快勝した札幌と、地元で敗戦を喫した栃木との対戦。栃木の選択するスタイルが、勝敗を左右することになるかもしれない。(13.03.10)
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