「次は落とせない」という焦りは、一週間の多彩なトレーニングを重ねて、勝利への強いモチベーションに昇華されたはずだ。
開幕戦、岡山は長崎と対戦し、前半に先制されるも、後半45分のFW荒田智之のゴールで1-1のドローに持ち込んだ。DF竹田忠嗣はこう振り返る。「後半スタートから入った石原(崇兆)がスイッチを入れてくれた。あいつのスピードが変化をつけて、球際や切り替えのリズムを取り戻すきっかけにしてくれた」。石原本人は、「流れを変えられたことはよかった。でも誰も結果に満足はしていないと思う。もっと勝ちにこだわりたい」と話す。仕切り直しの第2節、岡山は先週に続いてホームゲームとなる。
迎える北九州は、今年から柱谷幸一氏が監督に就任し、昨季から在籍する選手は7名のみ、と編成は大きく変わっている。しかしFW池元友樹、MF渡大生ら、攻撃の軸となる顔ぶれは変わらない。フォーメーションは4−4−2で、開幕戦は池元が怪我で欠場。代わりに2トップを組んだのは、FW大島秀夫とFWナム イルウ、後半9分以降はFWキム ドンフィ。ともに新加入だが、スピード、当たりの強さといった持ち味を発揮しながら連係のよさも見せた。SHは、2年目の渡と京都から加入したMF内藤洋平で、大島がボールを収めると2列目が飛び出してチャンスを作る。また後半36分、大島と交代で入った地元出身のルーキー・FW柿本健太は、ファーストタッチでゴールを決めており、「サプライズを起こす」(柱谷監督)チームにふさわしいタレントを秘めている。
開幕の富山戦では1-2で敗れたが、富山の「規律」に果敢に、奔放に挑み、作り出した好機では上回っていた印象だ。3バックの富山はDFラインを高く保っていたが、大島が落とし、ナム イルウがシュートするシーンや、左サイドの渡の仕掛けなど、攻撃の一つひとつがヘビーだった。
「北九州は球際が激しく、よく走ってボールを動かす。今年のチームはわからないが、そんな相手に対して開幕戦のように球際に行けなかったら、本当に主導権を握られてしまう」とMF田所諒は危機感を募らせる。岡山の多くの選手が普段通りのパフォーマンスが出来なかった開幕戦前半で、課題のひとつに挙がったのがロングボールへの対応だ。北九州には大島という優れたポストプレーヤーがいるだけに、この点と裏を突かれた場合のケアは必要だ。
今週の影山雅永監督の言葉で印象的だったのは、「前半のツメが甘かったところも、ギリギリに追い詰められた後半には、ちゃんと出来るようになるんだから」。ゴールを決めた荒田は、「基本は1対1や球際で負けないことで、今は連係云々より、そっちの方が重要かなと思う」。おそらくシーズンを通して先発メンバーが固定されることのない岡山で、開幕戦に出場したメンバーも、控えに回ったメンバーも今、奮起している。アグレッシブな北九州との対戦は、サイドの攻防からの突破など攻撃的なアイデアが豊富に見られるゲームとなるはずだ。
春は加速度をつけて深まり、予想最高気温は開幕戦よりも6℃高い14℃。より確かな手応えを得られるのは、果たしてどちらのチームとなるか。
以上
2013.03.09 Reported by 尾原千明
J’s GOALニュース
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