開幕水戸戦でアディショナルタイムに失点し初勝利を逃した群馬と、開幕熊本戦で終了間際に決勝ゴールを決めて逆転勝利を収めた鳥取。両チームの開幕戦結果は対照的だ。群馬にとって開幕戦のダメージは少なくないが、やるべきことはただ一つ。開幕戦で得るはずだった勝点３を、ホーム初陣で奪うこと。
秋葉忠宏監督率いる群馬のアクションフットボールが敷島（正田スタ）でついにベールを脱ぐ。

群馬対鳥取のカードは、新人監督同士の対決となる。ともに現役時代にプレーした古巣への“帰還”という点も共通している。群馬・秋葉忠宏監督は06〜08年に群馬でプレー、10年に相模原で現役引退し昨年まで水戸でコーチを務めた。鳥取・小村徳男監督は横浜、広島などで活躍したのち08年にJFL鳥取に在籍。年齢では小村監督が６歳上だが、両監督ともに守備的プレーヤーとして17年間プレーした経験を糧に、新たなステージに向かう。

両監督は06年の現役時代に対戦しているほか、10年のJFA公認A級ライセンス受講の同期だったという。小村監督は「（秋葉監督は）ハートの強いタフなプレーヤーだったことが印象に残っている」と言葉を選ぶように話す。一方、秋葉監督は「（小村監督は）真面目で几帳面なタイプの監督だと思う。守備の経験値が高く、オーガナイズされたチームを作っている」と警戒を寄せる。闘志を内に秘めるタイプの小村監督と、闘志を前面に出す秋葉監督。開幕２戦目を迎える両監督がどんな采配をみせるか注目だ。

群馬は、開幕戦を欠場したエース兼主将の平繁龍一の戦列復帰が濃厚で、ベストに近いメンバーで鳥取を迎え撃つ。水戸戦では前線でボールをキープできなかったことが最終的にアディショナルタイムの悲劇につながった。開幕戦を自宅観戦したという平繁は「チームに迷惑をかけたので、自分のゴールで取り戻したい」と群馬デビューを待つ。群馬と鳥取の対戦成績は１分３敗。群馬にとって鳥取は天敵だが、秋葉監督は意に介さない「選手が変わっているし過去のデータは関係ない。鳥取は素晴らしいチームだが、うちは攻撃のクオリティで勝負する」と語気を強める。群馬はド派手なゴールラッシュでホーム開幕を飾りたい。

対する鳥取は開幕熊本戦で１点を先制されたものの久保裕一、奥山泰裕のゴールで逆転勝利。J昇格後、３シーズン目にして初の開幕勝利で勢いに乗る。久保を１トップに配置する４−１−４−１の変則システムを採用。状況に応じた組織的な守備戦術とハードワークで粘り強い戦いを展開する。群馬のCB増田繁人は「鳥取の２シャドーが流動的に動いてくるのでそこを警戒しながら攻撃的な守備をしたい。ホーム開幕なので結果にこだわる」と鳥取封じを誓う。今季、広島から移籍した鳥取横竹翔と群馬平繁の“広島対決”もゲームの見所だ。

群馬・秋葉監督は８日の実戦練習で不甲斐ないプレーをみせたレギュラー組に雷を落とした。ピッチから聞こえてきたのはこんな内容だった。「お前ら、ホーム開幕戦でこんな試合を見せるのか！　J１に行くつもりはあるのか！　お前たちは群馬の代表としてプレーするんだ。サポーターは選手が手を抜いているプレーを観にくるんじゃない。トレーニングでそれができないヤツはピッチに立つ資格はない」。監督の愛のムチを受けた選手たちがホーム開幕戦で観客に何を届けるのか。正田スタという劇場でサポーターのハートを射抜く、熱く激しいバトルを見せることができれば結果は必ずついてくる。

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2013.03.09 Reported by 伊藤寿学