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【J1:第2節 新潟 vs 広島】レポート:数的優位に立った広島は落ち着いた戦いぶりで粘り勝ち。新潟は健闘するも、結果的に不利な状況を克服できず(13.03.10)

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広島が2-1で新潟を下し、今季初勝利を挙げた。
後半30分、コーナーキックからつないだボールを石原直樹が決めて先制。1-1で迎えた後半39分にはフリーキックの流れから、千葉和彦がヘディングで決勝点を挙げた。
新潟は前半21分に藤田征也が2枚目のイエローカードで退場。その後も足を止めずに戦い、後半36分には金根煥の今季初得点で追い付いたが、粘りもここまで。昨年に続いて開幕2連敗となった。

したたかな戦いぶりで、広島が勝点3を手にした。「内容はどうあれ、勝点3を取れたことはよかった」。森保一監督はホッとしたように言った。
前半から好条件が整った。新潟・藤田の退場で数的優位に。立ち上がりから新潟のプレスに苦しみ、自陣から出られない時間帯か続いた。10対11になってからは中盤から前線にボールがつながるように。ただ、そこで一気呵成(かせい)に攻撃するような流れにはしなかった。「10対11になっても焦れずに、自分たちのリズムで戦った」。千葉が言うように、優位な状況でも油断は見せない。
森保監督は「人数が少なくなっても、質が高い」と新潟の守備を警戒。マンマークで食らい付くしぶとさに慎重に対処した。佐藤寿人、石原、森崎浩司の前線と、前線への配球役の青山敏弘にはタイトなマークが付いていた。数的優位に立ってからは、的確にボールを回し、それを繰り返しながら、焦らずに相手のマークを外しに行く。その流れで生まれたのが2度のセットプレーだった。

先制点は佐藤を下げて、野津田岳人を投入した直後のコーナーキック。森崎浩のボールを千葉が落とし、ゴール前に入っていた石原がオーバーヘッドで決めた。選手交代直後、相手のマークがあいまいになりがちな隙を突いた。勝ち越し点はカウンターから得たフリーキック。森崎浩のキックからゴール前で石原が競り、ファーサイドに上がったところを千葉が押し込んだ。

流れの中では思ったような攻めはできかった。ただ、「セットプレーで得点する勝負強さはあった」。森保監督は選手たちの地力を感じた。開幕戦を落とし、不安をぬぐえないまま迎えたシーズン。昨季の王者が軌道に乗り始めた。

新潟にとってはもったいない敗戦だった。立ち上がりからプレスを連続してかけ、広島のパス攻撃を封じた。昨年まで4年連続してビッグスワンで得点されている佐藤には、193センチの金根煥ががっちりとマーク。パスの出どころの青山には、レオ・シルバが付く。相手のホットラインを機能させなかった。それだけに、藤田の退場は痛かった。「難しい状況になった」と柳下正明監督。攻めのプランに生じた狂いは大きかった。
ただ、ベースにある戦い方は変えなかった。1人少なくなっても、それぞれが自分のマークに集中した。サイドはフリーにしても中央にはスペースを与えない。「しっかり自分たちの守りをして、そこからカウンターを狙う。みんなの意思が統一されていた」。田中亜土夢が言うように、「守ってカウンター」のベースにはマンマークが徹底されていた。

収穫もあった。後半36分には田中亜土夢のコーナーキックから金根煥がヘディングで同点ゴール。「必ずセットプレーのチャンスがくると思っていた」という金根煥の存在が、今季はセットプレーでの得点力アップにつながる可能性を感じさせた。同時に、持ち味の粘り強さの継続が得点するためには不可欠なこともわかった。

目を覚ました感がある広島は、今後は試合の質の整備が求められる。内容のある戦いをしている新潟に求められるのは、早い段階での結果。ともに次節、結果と内容には大きな意味が含まれる。

以上

2013.03.10 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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