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【J1:第2節 清水 vs 横浜FM】レポート:アウェイの横浜FMが攻守に清水を圧倒。清水は点を取る形を見出せず、何もできないまま無念の大敗(13.03.10)

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「IAIスタジアム日本平」として新たなスタートを切った清水のホームで、いきなりこれほど一方的にアウェイチームが勝つことを、誰が予想できただろうか。だが、現実は清水にとって非常に厳しいもの。先発の平均年齢で横浜FMよりも6歳近く若い清水は、その年齢差以上に攻守両面で子供扱いされたような試合だった。

清水の立ち上がりはそれほど悪かったわけではない。中盤で早いプレッシャーをかけ、ラインも高く保って主導権を握るかに見えた。しかし、4分に不用意なパスミスから横浜FMに左CKを与え、中村俊輔の正確なキックからファーサイドの栗原勇蔵にクロスバー直撃のヘディングシュートを打たれたところから一気に流れが横浜FMに傾いていく。そして8分の右CKから中村に直接バナナシュートを叩き込まれて、早くも1点のビハインドを背負う形に。この場面は、中村のキックがあまりにも絶品で、清水の守備をどうこう言うべき失点ではないが、これで横浜FMが精神的に非常に優位な立場になったことは間違いない。

その後しばらくは清水がポゼッションする時間が多くなり、前線の流動的な動きやパスワークでサイドの高い位置にボールを運んでクロスまでいく場面はこれまでの試合に比べて明らかに増えた。そこは、この試合で清水に見えた唯一の明るい材料だった。
しかし、横浜FMの守備陣はまったく慌てる様子を見せない。クロスを入れられてもゴール前の守りは盤石で、清水が良い形でシュートを打つスキはない。清水としては、21分に右スローインを胸で受けたバレーがオーバーヘッドでクロスを送り、高木俊幸がボレーシュートを放った場面が唯一の決定機。これが入っていれば流れは変わったかもしれないが、入ればスーパーゴールという難しいシュートだった。

そして前半の終盤からは再び横浜FMが主導権を奪い返していく。横浜FMの清水攻略法は「(清水の)ボランチに食わせて、ボランチで食われないというボールの動かし方をしようと。食わせて(清水のボランチに食いつかせて)前がかりになってきたところで、ひとつ飛び越した所でFWが収める。そうすれば前向きになれて、攻めの形が作れる」(樋口靖洋監督)というもの。それに対して清水の3ボランチは、前に激しくプレスに行くのか、リトリートしてきっちりスペースを消すのかという判断も中途半端で、前も背後もたやすく使われてしまう。それによって横浜FMがボールを動かしやすかった状況は、ボランチ・中町公祐のコメントによく表われている。

前半39分の2点目は、横浜FMが自由に縦パスを出し入れする中で富澤清太郎のループパスから兵藤慎剛がきれいに裏をとってループシュートで決めたもの。横浜FMにとってはまさに狙い通り、清水側から見ればあまりにもあっさりと奪われた得点シーンだった。

後半に入っても、横浜FMが中盤を支配する展開は変わらない。清水は後半頭から河井陽介に代えて瀬沼優司を投入し、前節と同様に中盤をボックス型にした4-4-2に変更。攻めに出るしかない清水が前がかりになる中で、逆に横浜FMのプレーメイカー・中村がフリーでボールを持てる場面が増え、まさにやりたい放題。中村が心憎いほど余裕を持ってボールをキープし、自由にさばいていく姿と、清水の選手たちがボールを持ったときの余裕のない様子は、非常に対照的な姿として観客の目に映った。
そして後半26分、交代出場した齋藤学のドリブル突破からマルキーニョスが押し込んで横浜FMが3点目を奪うと、清水の集中力もプッツリと切れてしまう。終了間際にはあっさりと裏を取った形からマルキーニョスが続けざまに4点目、5点目を決め、エースのハットトリックというオマケつきで横浜FMが5-0の大勝。内容的にも本当に狙い通りのサッカーができたのは前述の通り。アウェイに数多く駆けつけた横浜FMサポーターにとっても胸のすくような開幕2連勝で首位を堅持した。

一方、ホームの清水サポーターにとっては本当にショッキングな結果に終わったホーム開幕戦。最後の2失点は攻めに出た裏返しの失点なので、5点という大差はそれほど重く受け止める必要はないが、それとは別種の大きな落胆が清水のチームやサポーターには感じられた。その理由を考えてみると、やはり点が取れそうな気がしなかったことが大きいのではないだろうか。清水のシュート数は、前半は2本で、リスクを冒して攻めに出た後半は1本だけ。惜しかった場面は前半の高木俊のボレーシュートぐらいで、横浜FMの厚く高い壁の前に、最後まで点が取れそうな糸口を見出せなかった。
どんなチームも、自分たちはこれをやり続ければ必ず点が取れるという信念があれば、全員が同じ狙いで攻め続けることができる。しかし、どうすれば点が取れるかわからない状態に陥ってしまうと、それぞれが別のことを考えて、イメージを共有した攻撃はできない。この試合での清水は、まさにそんな悪循環にはまっているように見えた。
もちろん相手が変われば状況は変わるだろうが、今季ここまでの戦いを振り返っても、こうやって点を取るんだという形は見えてこない。「何か大きく変えないといけない気がする」(高木俊)という声もあるが、この後ゴトビ監督がどのような舵取りをしていくのか、次のアウェイ湘南戦が非常に注目される。

以上

2013.03.10 Reported by 前島芳雄
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