今季のスタートから2連勝と、好発進を見せたＣ大阪とＦ東京が、第3節で早くも激突する。どちらも攻撃サッカーを旗印として、若手からベテランまでタレントが揃う好チーム。しかも、随所に様々な見どころが盛りだくさんとなるこの一戦。今節一番の好カードであることは、言うまでもない。

まず、最大の見どころは、開幕から2試合連続ゴールを決めるなど、好調ぶりを見せている、Ｃ大阪MF柿谷曜一朗と、Ｆ東京FW渡邉千真の今季注目のストライカー対決だ。ホームの大阪長居スタジアムにて、J1開幕戦14年ぶりとなる勝利に導いた柿谷。それでも「個人の課題としてチームに貢献するために、相手の点数よりも自分がしっかりと点を取るというのは、今後サッカーをやるなかでずっと課題」とゴールへの意欲はすこぶる高く、新8番のさらなる躍動に期待が高まる。一方の渡邉について「元々持っている能力は、（横浜Ｆ・）マリノスでもすごかったし、いい選手だと俺も思っている。そのなかで、スタメンで今年1トップで出るようになってプレーも結果も出ている」と、Ｃ大阪DF茂庭照幸も警戒するように、2試合3得点と絶好調。彼ら2人の結果如何が、チームの勝敗を大きく左右することは、間違いなさそうだ。

そして、今季は新たな因縁もできた。Ｃ大阪に、Ｆ東京からDF椋原健太が期限付き移籍加入。しかも、今節では桜色のユニフォームで今季初先発する可能性が出てきたのだ。「やりたくないというのが本心。僕のサッカースタイルや人間性を教えてくれたところだし、ましてや、違うチームに来てＦ東京を相手に戦った経験がないので複雑な気分」と椋原は言うが「（Ｃ大阪の）ホームなんで絶対に負けたくない。出たとしたら、先発デビュー戦にもなりますし、楽しみでもあり、なんかやってやりたい」と、茂庭とともに古巣対決に闘志を燃やしている。

また、ロンドンオリンピックで日本のベスト4入りに貢献したタレントがひしめくのも両者の特長。Ｃ大阪なら山口螢、扇原貴宏、杉本健勇。Ｆ東京なら権田修一、徳永悠平に加え、今季からは青赤軍団に東慶悟も仲間入りした。そのうえ、Ｃ大阪ならプロA契約を達成した南野拓実、Ｆ東京ならボランチで存在感を示す米本拓司ら、若い逸材が多く「（同世代には）負けたくない」と扇原も語るように、彼らのなかでのライバル意識も強いものがあるだけにその点においても目が離せない。

そして、どちらも、即戦力選手のブレイクが望まれるところ。Ｃ大阪でいえば、鹿島から新たに加わった新井場徹がキャンプ中のケガが癒えて、いよいよデビューのときがせまってきたのは明るい材料だ。「ケガで出遅れた分、早くチームに合流して、なにかしらのところでチームの勝利に貢献できるようにやっていきたい」という33歳のサイドバックは、最終ラインを引き締める貴重な存在。「まずは自分どうこうより、チームが勝点3をとること。ホームですし相手もいいチームなので、しっかりと、それこそ内容より結果を求めてやっていきたい」と、百戦錬磨のDFのプレーにも注目だ。Ｆ東京だと、サウザンプトンから期限付き移籍し、2戦連続途中出場中のFW李忠成の今季初得点にも期待がかかる。

そのほかにも、Ｃ大阪MFシンプリシオとＦ東京FWルーカスの、欧州の舞台も経験した実績抜群の選手同士の対決。Ｃ大阪FWエジノと、Ｆ東京FWネマニャ ヴチチェヴィッチのスキンヘッドストライカー対決。もちろん、Ｃ大阪レヴィー クルピ監督とＦ東京ランコ ポポヴィッチ監督の采配もポイントになるはず。そうやって上げていくだけでも、枚挙にいとまがない。

ちなみに、サポーター同士のチャント合戦も大事な勝敗の要素になりそうだ。それというのも、実は両者で同じリズムのチャントを使う選手が存在しているのだ。昨シーズンは枝村匠馬（Ｃ大阪）と高橋秀人（Ｆ東京）のチャント合戦が盛り上がったが、今回はそれにも増して、森島寛晃氏（現Ｃ大阪アンバサダー）から続くＣ大阪エースナンバー8番を背負う選手へのチャントと、Ｆ東京の8番、2試合2得点中のMF長谷川アーリアジャスールへのチャントが同じなだけに、どちらのチャントが響くかも大げさな話しかもしれないが勝負にかかわるかもしれない。「曜一朗のゴールが見たい！」という桜色のサポーターがホームで笑顔をはじけさせるか。それとも「長谷川アーリアジャスール」という青赤サポーターの野太い声が大阪の地に響き渡るか。この一戦は、ピッチでもスタンドでも、どこでも意地と意地のかけた対決になる。

そして、タイトルを目指すのであればどちらにとってもここで立ち止まるわけにはいかない。開幕からの連勝がフロックでないことを示し、自慢のアクションサッカーで輝くのはＣ大阪か、それともＦ東京か。Ｃ大阪戦来場時には過去3試合全勝中という、通天閣の幸運の神様「ビリケンさん」もやってくる一戦は、16日、15時、大阪長居スタジアムでキックオフされる。

以上

2013.03.15 Reported by 前田敏勝