開幕の横浜FM戦、前節の鳥栖戦と、一度はリードしながらも追いつかれ、あるいは逆転された湘南である。ゲーム終盤の失点に、つい肉体的な疲弊や試合運びに目が行ってしまうが、しかし曹貴裁監督が見つめているのは違う側面だった。
「ボールを奪ったときに動きを止めてしまう。それはフィジカル的な要因というよりメンタリティの問題。リードしたことでメンタル的に休んでしまう。ボールより後ろの選手も、遠いサイドの選手も、全員がボールに係わる姿勢を持たなければいけない」
たとえば鳥栖戦の終盤には、相手のロングボール攻勢に対し跳ね返しては拾われ、再び放り込まれる展開が続いた。ゲームコントロール以前に、自ら苦しい状況に陥っていたと言える。逆にボールを収め運べていれば自陣のゴールは遠ざかり、2点目のゴールが近づいていたかもしれない。DF宇佐美宏和も、「前にボールを預け、さらに動いて受けることをもっとやらなければいけない」と自省を込めた。かたやFWの菊池大介も、「相手の守備ラインのあいだが空いていたので、もっと顔を出すべきだった」と、個人的な反省として振り返っている。危険な局面で体を張るという課題の克服は文字通り体現されていた。次なるはボール奪取から決定機までの道筋を精神面とあわせて逞しくしたい。
また課題が浮かぶ反面、横浜FM戦、鳥栖戦ともにリードを奪ってゲーム終盤を迎えられたことは、自分たちの戦いの一定の成果を示してもいる。菊池は、「まずは前を向くことがみんなできているし、奪ってからの素早いカウンターなど自分たちのスタイルでチャンスをつくる手応えは感じている」と語る。「継続することで強くなっていく」と、梶川諒太が自身に矢印を向けた言葉もまた、そのままチームに当てはまるものだろう。湘南のスタイルを磨き、まっとうすることが勝利の確率を高めていく。
一方、今節BMWスタジアム平塚に乗り込む清水は、開幕戦では大宮と引き分け、前節は横浜FMに敗れた。ゲーム終盤に2点差を追いついた大宮戦での同点劇は見事だったが、横浜FM戦では試合開始間もなくコーナーキックから先制を許すと、以降フィニッシュも儘ならぬまま失点を重ね、5失点無得点と大敗を喫したのだった。
ただ直近のデータとは裏腹に、湘南にとっては苦い記憶がある。11年ぶりのJ1復帰を果たした2010年、清水に対してはホームで3−6、アウェイでは0−5と、いずれも大敗を喫している。再びJ2降格が決まったのも11月のアウェイ清水戦だった。「前節大敗してはいるが、力があることは間違いない。うちがなんとなくやれるような空気になったら大間違い」当時ヘッドコーチだった曹監督も、記憶をなぞりつつ今節に向けてそう引き締めた。
くだんの大宮戦で同点劇の口火を切るゴールを挙げた石毛秀樹をはじめ、高木俊幸やイ ミンスら、清水もまた湘南と同様、若さに富んでいる。開幕戦のスタメン平均年齢では湘南が1位、清水が2位と、両チームの若さはJ1のなかでも抜きん出た。今季まだ勝利を手にしていない両者の対戦、初の歓喜に沸くのはどちらか。勝利は伸びしろをさらに広げるに違いない。
以上
2013.03.15 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第3節 湘南 vs 清水】プレビュー:若さに富んだ両チームの対決。今季初勝利の行方やいかに。(13.03.15)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE














