京都の大木武監督、富山の安間貴義監督は2005年に甲府が初めてJ1昇格を決めた時の監督とコーチであり盟友だ。ともに攻守にアグレッシブなパスサッカーを目指してそれぞれのチームを鍛え、就任3度目の春を迎えている。過去の対戦成績は富山の1勝3分。昨年10月の第38節では富山が1−0で勝ってJ2残留に近づき、昇格を争っていた京都は足踏みを強いられた。それから5カ月、両者ともパワーアップして再び相まみえる。好勝負必至のゴールデンカードだ。
昨秋の対決後、安間監督は「勝ったからといって京都を攻略できたわけではない。もっと努力して対等にサッカーが出来るようにしたい」と語った。昇格候補である京都が富山にとって目標とするチームのひとつであることに変わりはない。しかし、今季は自らの成長にも手ごたえを感じている。「はやく京都とやりたかった。うちの良さが発揮される時には京都の良さも引き出される。面白い試合ができる」という監督の言葉は自信の表れでもあろう。「(京都の)G大阪との開幕戦は常に仕掛ける欧州のサッカーを見ているようだった。前節の神戸戦で4得点して乗っているし、今一番強いチーム。対戦相手として申し分ない。守ろうとすれば押し込められるだけ。こちらからガンガン攻めていく」と真っ向勝負を宣言した。
京都は難敵が続いた開幕4戦を2勝2分で乗り切った。ファインゴールを連発してリーグトップの9得点を挙げており、内容で圧倒しながらも勝ち切れない試合が多かった昨季からひと皮むけた姿を披露している。前節2得点のFW原一樹をはじめ、MF駒井善成、FW宮吉拓実、FW久保裕也、キャプテンのDF安藤淳、新加入のFW三平和司ら数多くの選手が日替わりでゴールを決めているのも心強い。
両チームが2月2日に行った練習試合(30分×3本)は京都の0−2、3−0、1−0だった。駒井が3得点を挙げ、原とのコンビプレーも冴えていた。一方の富山も1本目は優勢に進めてFW西川優大が2得点している。過去の対戦成績はもちろん、この時の試合内容からも京都は富山に対する警戒感を強めているはずだ。なお京都から富山へ期限付き移籍中のGK守田達弥、FW三根和起は契約規定で今回は出場できない。
富山、京都とも戦術のベースはハードワークと攻守のスピーディーな切り替えにある。両監督が「やるべきこと」と表現し、勝負の前提として最も重視する点だ。これを相手以上に徹底することで富山は勝機を見いだしてきた。MFソ・ヨンドクは「一番走らなければ勝てない相手が京都。うまいチームだし、すごい選手がいるのも分かっている。きつい試合になるのは覚悟しているから粘ることもできる」と話す。3連戦最後の試合で疲れはあるはずだが、走り勝たねばならない。雪辱を期す京都の選手も同じ思いを持っていることだろう。
リズミカルなパスワーク、一気にゴールに迫るスピード、球際の激しさ、それらを支える走力や気迫と根性など見どころが多い。過去の対戦では、両者がハイプレスで飛ばして局面でぶつかり合い、疲労とともにスペースが生まれて終盤は攻め合いになっている。今回も最後まではらはらドキドキする展開になる可能性は高い。
以上
2013.03.23 Reported by 赤壁逸朗
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