「ホームでここ2試合勝っていないこともあり、選手たちは今日こそはという強い気持ちで試合に臨んでくれた。それだけに、選手もスタッフも勝点1に終わったことについて、悔しい気持ちでいっぱいです」
試合後の記者会見の冒頭、ガンバ大阪の長谷川健太監督が真っ先にその言葉を口にしたのは、ホームでの初勝利に懸ける選手たちの思いをこの数日、一番間近で見て来たからだろう。またMF遠藤保仁、DF今野泰幸という2人の日本代表不在を言い訳にしたくないという思いも強かったからこそ、選手たちが何よりも『結果』に強くこだわっていたのも事実だ。
それを示すかのように、立ち上がりから攻勢に出たG大阪は2試合ぶりに先発に復帰したMF二川孝広やMF倉田秋を中心に果敢にゴールへの姿勢を示す。結果的に6分のFWレアンドロのシュートも、10分、15分のMF倉田のシュートも枠を捉えられなかったが、前節・熊本戦の立ち上がりの悪さとは一転、リズムの感じられる攻撃で千葉ゴールを攻め立てる。
にも関わらず、先制したのは千葉だった。18分、ペナルティエリア側でMFジャイールが相手DFのパスミスを見逃さず、ドリブルで強引に持ち込んでゴール。千葉にとってこの日初めて迎えたビッグチャンスでのゴールにアウェイサポーターは大いに盛り上がりをみせる。
だが、先制点を奪われてもG大阪が慌てることはなかった。立ち上がりと同様落ち着いてボールを繋ぎながら、人数をかけて前線へ。攻守のバランスもうまく図りながら優位に試合を運んで行く。そして26分にはゴール前の混戦から最後はMF倉田がゴール。古巣相手に試合を振り出しに戻す貴重なゴールを叩き込む。
その後もペースはG大阪。相手の選手間のスペースを巧く使って人とボールを動かしながら、追加点を狙う時間が続く。41分にはMF二川の絶妙なスルーパスから、FWレアンドロが好機を迎えるが、そこは千葉のGK岡本昌弘に身体を張られ、チャンスをふいに。また43分にはMF武井択也がインターセプトから鋭く前線に切れ込むも、フィニッシュの精度を欠き、シュートはゴール左へと流れてしまう。
互いに追加点を求めた後半も、立ち上がりはG大阪ペース。落ち着いてボールを保持しながら左右両サイドから、あるいは中からと攻撃の姿勢を強めるが精度を欠いてゴールが奪えない。となると、ここ数試合にも見られたように、徐々に息切れ。運動量、スピード感が落ち始め、連動した動きが少なくなり、攻撃の迫力を失っていく。
そんなG大阪を千葉は見逃さず、すかさずMF米倉恒貴に代えてFWケンペスを、MF佐藤勇人に代えてMF兵藤昭弘を投入。フレッシュな選手を前線に据えてG大阪守備陣を揺さぶりにかかるが、こちらも、ここ数試合の課題とも言える攻撃の連動という部分でのばらつきが見られ、決定的な形を作り出すには至らない。
というよりお互いに攻め手こそ欠いたものの、守備の部分では相手の攻撃にうまく対峙しながら、攻撃の起点となる部分にしっかりとプレッシャーをかけてその芽を摘み取り、跳ね返す、ということが出来ていたからだろう。残り15分の状況になってからはお互いに堅い試合に。残り3分のアディショナルタイムに入ってからのラストプレーにおいて、フリーキックに合わせた千葉のDF山口智のヘディングシュートがバーを叩いた以外は、互いに大きなチャンスを見出すことができないまま1−1で試合終了。G大阪、千葉ともに3試合連続の引き分けとなった。
この結果、G大阪のホーム初勝利はまたしてもお預けに。だが、ホームでの3試合の対戦相手が、京都、横浜FC、千葉といずれも昇格候補とされるチームばかりだと考えれば、『勝点1』という最低限の結果を手にできたことは後々の勝点争いに影響してくるはず。いや、まだ序盤戦だということを踏まえても、そう信じて前を向きたい。
以上
2013.03.25 Reported by 高村美砂













