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【J2:第5節 鳥取 vs 栃木】レポート:鳥取が鮮烈ミドルで先制も、勝利にはつながらず。追い付いた栃木も逆転はできず、引き分けに終わる(13.03.25)

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前後半90分間の3分の2にあたる60分を過ぎたあたりから、試合の流れが変わった。そこまで主導権を握っていたのはホームの鳥取だったが、以降はアウェイの栃木が流れをつかみ、スコアも双方譲らず1−1の引き分けに終わった。

前節はアウェイで千葉に先制されながらも追い付いて引き分け、2勝2分と依然負けなしの鳥取は、12分に早くも先制点を奪う。尾崎瑛一郎が蹴った右CKははね返されたが、田中雄大がこぼれ球に合わせて左足を振り抜くと、鮮やかなミドルシュートがゴール左上に突き刺さった。プレビューでも記した通り、鳥取は前節の千葉戦で元千葉の奥山泰裕が同点ゴール、前々節の水戸戦では昨季まで水戸でプレーした岡本達也が3点目を決めており、古巣相手にゴールを決める選手は3試合連続。しかも田中はJ初ゴールで、こぼれ球が左利きの田中の左足の前に転がっていったことも含め、開幕からの勢いを感じさせる先制点となった。

その後は4節までと同様に、しっかりした守りからカウンター気味の攻めで追加点を狙う鳥取に対し、細かいミスが多い栃木は、なかなかゴール前までボールを運ぶことができない。28分には敵陣で相手ボールを奪ったパウリーニョが、ドリブルからシュートを放ったものの、大きく枠を外れた。松田浩監督は30分に、今季初出場・初先発の右サイドバック、西澤代志也に代え、菅和範を投入して左サイドバックに入れ、山形辰徳を右サイドに回したものの、流れを変えるには至らず。前半のシュートは結局、前述のパウリーニョの1本だけに終わった。

一方の鳥取も、先制後はなかなかチャンスを作れず、さらに前半終了間際、久保裕一が左足太もも裏を痛め、岡本達也との交代を余儀なくされた。久保は前節の千葉戦こそ欠場したものの(千葉からの期限付き移籍中のため、契約の問題によるもの)、3節まで2得点と好調で、この日も前線での力強いプレーで栃木の脅威となっていただけに、鳥取にとっては痛いアクシデントとなった。

それでも、前半を1−0で終えた鳥取は、後半の立ち上がりまでは主導権を握っていた。55分には田中−実信憲明−奥山と細かいパスをつないで攻め込むと、田中のスルーパスを、中央でフリーとなっていた岡本が左足で狙ったが、右に外れる。「あそこで決めていれば、試合は決まっていた」と岡本が振り返った通り、入っていれば優位が決定的になるチャンスだった。
さらに58分には、高い位置でのボール奪取から左サイドを破ったものの、武田英二郎のセンタリングは中央に合わず。直後にも武田のセンタリングを岡本がヘッドで狙ったが右に外れ、63分にはゴール正面で得たFKを尾崎が直接狙ったが、これも決まらなかった。

逆にスコアを動かしたのは、苦しい時間帯を耐えた栃木だった。67分、高い位置でプレッシャーをかけ、ロングボールを蹴らせて奪い返すと、左サイドで数的優位を作り、オーバーラップした菅がセンタリング。菅は「サビアまでスルーしてくれとは思っていなかった」と振り返ったが、結果的にニアサイドで2人がつぶれる形になって中央まで流れたボールを、サビアが右足で合わせて同点ゴールを蹴り込んだ。

このゴールと前後して、鳥取は一人ひとりの運動量が落ち、徐々にセカンドボールを拾えなくなっていく。「足が止まってきて、相手のやってくることに、うまく対応できなかった」と尾崎が振り返る通り、相手の攻めに後手を踏む状況が続いた。

だが、栃木もチャンスは作るものの、逆転ゴールを奪うには至らなかった。85分、4節までの全試合先発から今節は初めて控えに回り、77分から交代出場していた近藤祐介が決定機を迎えたものの、ペナルティエリア内右寄りからのシュートはゴール左に外れた。さらに終了直前には、左サイドからドリブルで切れ込んだ菅が、そのまま右足でミドルシュートを放ったが、クロスバーに当たって決まらず。結局、そのまま1−1の引き分けに終わった。

栃木は勝てるチャンスも十分にあっただけに、悔しい引き分け。松田監督は、追い付いた選手の頑張りを評価する一方で、「相手にチャンスを与えてはいけないプレーもあった。そのあたりを修正していかないと、なかなか勝点3を取っていくのは難しい、というのを痛感した」と振り返った。先発メンバーの入れ替えなど、さまざまな手を打っていながらも、勝利に結びついていない現状を、どう打破していくのか。「今後に向かっていくためには、この勝点1を前向きに、ポジティブに捉えていかなければいけない」という菅の言葉を次節以降、チーム全体で実践できるかが問われるだろう。

一方、鳥取は無敗こそ守ったものの、今季初の先制点を勝利にまでつなげられず、全体を振り返れば、田中が「負けなくてよかったかな、という試合展開だった」と語った通りの内容。4節までは運動量で相手を上回ったことが、先制された3試合を2勝1分という好成績につながっていたが、今節は連戦の影響もあり、そのストロングポイントを発揮できなかった。それでも引き分けたことは、昨季までと比べれば大きな進歩とはいえ、シーズンはまだ序盤。1年間を戦い抜き、下位を脱出して目標の11位以上に近づくためには、さらなるレベルアップが必要であることを、あらためて感じさせられる引き分けとなった。

以上

2013.03.25 Reported by 石倉利英
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