AFCチャンピオンズリーグ出場のため、ヤマザキナビスコカップ予選リーグのない柏は第3節の仙台戦から試合間隔が2週間ほど開いた。負傷者が続出し苦しい状況にあったが、この2週間で戦列を離れていたジョルジ ワグネル、キム チャンス、鈴木大輔が復帰。戦力が整ってきたことは連敗ストップに向けて何よりの好材料となる。
前節の仙台戦は、内容的に見れば勝たなければならない試合だった。アウェイながら仙台を押し込み、数多くのチャンスを作り出すも、あそこまで決定機を逸し続けては敗戦も致し方ない。少ないチャンスをモノにした仙台の前に屈し、ACLの連勝スタートとは対照的にリーグ戦では連敗を喫してしまった。この連敗の共通点は、第2節F東京戦は開始6分、仙台戦は開始5分と、立ち上がりに失点してしまったことが大きく響いてしまっている。「早い時間に先制されると、精神的にも焦りが出てミスが出やすくなる」(栗澤僚一)というように、一見ボールを支配しているように見えても相手の術中にハマる。そこでチャンスが訪れたとしても、その焦りも手伝ってフィニッシュやラストパスの精度が微妙に狂い、結果的に決定機を逸してしまう。
今回対戦する大分は、ヤマザキナビスコカップを含めて公式戦5試合で勝星がない。だが、上記した「先制点」が勝敗の鍵を握るとすれば、間違いなく柏にとってこれほどやりにくい相手はいない。開幕からリーグ戦の3試合、そしてヤマザキナビスコカップの新潟戦と、5試合中4試合で大分は先制点を挙げているのだ。前線からのプレッシャーと堅い守備という確固たるベースを持ち、前線には決定力を持った選手もいる。もし大分に先制を許した場合、クレオを負傷で欠いたうえに工藤壮人、田中順也、日本人ストライカーの調子が上がっていない柏は苦戦を強いられることになるだろう。
それに、大分はここまではまだ攻守両面でJ1のスピード、質に戸惑った部分もあるかもしれないが、ヤマザキナビスコカップのC大阪戦では試合後に田坂和昭監督が「言い方が適切ではないが、攻め込まれるのに慣れたんだと思う。それと今日はボールを奪ったときに蹴らずにつなげた。一歩一歩成長できていると感じる」と語ったように、敗れはしたものの過去4試合にはなかった質の高い試合運びを見せた。5試合をこなしたことでJ1の水にも慣れてきたはず。大分の本領発揮はここからだ。
3−5−2システムの大分に対し、柏がどのようなシステムで臨むかも気になる。ジョルジ ワグネル、キム チャンス、鈴木の復帰によって3バックをできる陣容は揃った。近藤直也、増嶋竜也、鈴木の3人で大分の2トップをケアし、逆に柏も工藤と田中の2トップにして、レアンドロ ドミンゲスをトップ下に置くことで大分の3バックとアンカーの宮沢正史にプレッシャーを掛けていくという選択肢は出来上がるが、プレシーズンに結果の出なかった3バックシステムを再び試すかと言われれば、そこは疑問符が残る。策士ネルシーニョ監督だけに出方は読めないが、おそらく従来の4−2−3−1で工藤の1トップ、田中のトップ下、そして左右にレアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネルないしは狩野健太を置く方が、普通に考えれば攻撃も守備もスムーズに進められる。
栗澤は大分戦のポイントについて「いかに0に抑えるか。我慢強く戦えるか」と話している。すなわち先に失点をしないこと。そして仙台戦に敗れた直後、工藤は「『クレオがいれば…』と思われるのが悔しい」と顔をしかめて感情を露わにしたが、守備陣が我慢強く戦い、失点を抑えれば、あとは仙台戦で屈辱を味わった工藤と田中がゴールという形で結果を残すことができるかどうかだ。柏の連敗ストップの鍵は、そこにある。
以上
2013.03.29 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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