川崎Fがようやくホーム等々力に帰ってくる。スタジアムの老朽化を受け、全面改築工事がスタート。メインスタンドの改築工事と試合運営を同時進行で行えるよう計算された仮設スタンドが完成したのである。第2節の大分戦はホームの扱いながら国立競技場で開催されており、本当の意味での開幕戦はこの甲府戦となる。誰もが待ち望んでいた等々力での試合がようやくスタートする。
そんな試合を前に、一番の喜びを口にしたのは中村憲剛である。「等々力でできる喜び」という表現を使いつつ「等々力で勝つこと、今はそのことしか考えてないです」と述べている。また風間八宏監督も「あそこは自分たちのホームで、心強いサポーターが心から応援してくれる。ああいうサポーターはなかなかいないと思う」と話し「彼らと共に等々力の雰囲気は最高のものになると思う。選手も楽しみにしていると思うし、我々もそこでぜひ、一緒に喜べる素晴らしい試合をしたい」とこの試合への意気込みを語ってくれた。
等々力が沸き返るイメージはできている。というのも、逆説的ではあるが川崎Fが勝てていないからだ。開幕からのリーグ戦3試合で1分2敗。ここにヤマザキナビスコカップの1敗が加わる。2013年シーズンは公式戦4試合経過してもなお、川崎Fに勝ち星がない状況である。サポーターはもちろん、開幕ダッシュを期待していた選手たちにとっても、これは異常事態である。
勝てない理由の1つとして上げられるのが、不安定な守備であろう。リーグ戦3試合で喫した9失点は3節終了時点でのリーグワースト記録。これだけの失点を積み重ねた原因として、攻守のバランスの悪さを指摘したい。ボールを回せる分、相手は自陣でしっかりと守備ブロックを作る。その守備ブロックを破るために人数を掛けて攻めに出る。それによって、カウンターを受けやすい状況が起きてしまうのである。
ただ、そうした状況が起きていても、守れる自信があったと話す西部洋平は「合宿でできていた事ができていない。守備は守備としてリスクを取るのは合宿ではできていた。それができていないのはショックです」と悔しさを見せていた。シーズン開幕前の練習試合では安定した守備を実現していただけに、カウンターから失点を重ねるチームの戦いが悔しくてならないのである。
ただ、そうした状況を改善すべく、風間監督は試行錯誤を続けている。そのポイントの1つが、守備に割く人数を増やすという部分である。實藤友紀はその点について「後ろの枚数をしっかり残すことを意識してます。両サイドバックが上がると、取られた時のカウンターがあるのでサイドで(左右)どっちがでるのかは徹底したい」と説明。ボールサイドのサイドバックが、前線の選手を手助けするのは問題ないが、その逆サイドのサイドバックの選手に関しては、しっかりとポジションを取ることを求めるという。また右サイドバックの田中裕介はそうした守備面での変更について、最初に取るポジションが下がり目になるのだと説明。相手選手に合わせ、競争しても間に合う程度に高い位置に取っていたポジションを、オートマチックに5〜10mほど後ろ目に取るのだと述べている。彼ら守備陣の話を総合すると、この試合の最終ラインは、より多くの人数が割かれる事になりそうである。ということで、攻撃時に最終ラインがどのような動きを見せるのか。そして甲府を相手にしっかりと守りきれるのかがこの試合の注目点の1つとなる。
その一方で、攻撃に関してはチャンスが作れ始めている。前述した攻守のバランスを保つため、守備に軸足を置いていたヤマザキナビスコカップの横浜FM戦では、シュート数自体はそれほど多くはなかった。ただ、パトリックをターゲットとした攻撃で相手ゴールに迫っており、惜しいチャンスも作り出していた。そんなパトリックについて風間監督は「日本のサッカーに慣れてきた。またチームにも慣れてきている」と評価。100%ではなかったコンディションも戻りつつあり「元からの才能はわかっているので楽しみです」と期待を掛けていた。合宿中の練習試合では、ストライカーらしいゴールへの嗅覚を見せており、大久保嘉人やレナトといった攻撃陣とのコンビネーションも期待できるレベルにある。そういう点で、パトリックを中心とした攻撃の局面には注目したいところ。
ちなみにホームに迎え撃つ甲府もまだ勝ち星がないチームの1つである。昨季のJ2で優勝し、J1昇格を決めたチームではあるが、リーグトップのシーズン32得点を決め、甲府の攻撃の大黒柱となっていたダヴィの移籍の穴は大きい。ただ、新加入のウーゴが結果を出しつつあるのが気になるところである。また、2年目となる城福浩監督は、組織的かつ攻守において戦えるチームを作っている。未勝利同士の対戦だということも含め、難しい戦いになりそうである。
甲府が今季の昇格チームであるという事で、楽観視する向きもあるのかもしれないが、そうした油断とも取られかねない質問に川崎Fの選手たちは「とんでもない」と答える。「油断どころか、うちらは最下位ですからね」と苦笑いするのは田中裕介。「甲府は弱いとは思っていない。監督2年目で、手強いと思ってます」と話し、警戒感を見せていた。
川崎Fはボールをつなげる分、不用意なパスミスによるカウンターで失点を重ねてきた。甲府のような走れるチームとの対戦では、不用意に相手にボールを引っ掛けると一気にカウンターを食らう場面が出てくるだろう。だからこそ、丁寧な試合運びと攻めている時間帯だからこそのリスク管理を徹底したいところだ。
なお、勝利を渇望する選手の一人である田中裕介は「そろそろ勝たないと。4試合目だし連戦が始まるので」と話しつつ「そうでないと、目標が変わってくる。首位との勝点差が広がってしまう」と述べている。田中裕介が言うところの目標というのは、もちろんACL圏内。今季のチームの目標を達成するためにも、そしてようやく帰ってきたホーム等々力での今季初戦をサポーターと共に喜べるよう、チームには勝点3という結果を求めたいと思う。
以上
2013.03.29 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第4節 川崎F vs 甲府】プレビュー:未勝利同士の対戦となるこの試合は、川崎Fにとっては今季等々力での初試合となる。果たして初勝利を手にするのはどちらだろうか(13.03.29)
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