C大阪、仙台、ともに10本のシュートを打ち合った一戦は、結局1-1の引き分けに終わり、勝点1ずつを分け合った。C大阪は開幕3連勝でストップするも、3月の公式戦6試合を4勝2分と無敗。一方の仙台は、ACLを含めた公式戦6試合中、実に4度目のドローとなった。
C大阪は今節も藤本康太が負傷欠場。仙台も、富田晋伍はベンチ入りするも、角田誠、赤嶺真吾がケガのためメンバーから外れていた。そのなかで行われた試合では、「お互いに大事に行っていた」と仙台の手倉森誠監督も言うように、前半は静かな立ち上がり。どちらかがボールを持つと、もう一方がしっかり守備のブロックを作り、攻撃の糸口を探すような形が見受けられる。一時はC大阪、仙台両サポーターもじっと見守るような光景もあったため、ピッチのイレブンの声だけが大阪長居スタジアムに響くような時間帯もあった。
それでも、C大阪は新井場徹、丸橋祐介の両サイドからクロスが上がるようなシーンが増えだし、仙台もボールポゼッションを高めていくなど、徐々に試合が動き出すと、32分、均衡が破れる。仙台の左サイドバック田村直也が右足でハイクロスを入れると、C大阪の丸橋のヘディングクリアが、そのままC大阪ゴールに吸い込まれた。仙台としてはラッキーな形で先手を得ることに成功した。
C大阪としては今季初めて先手を許してしまった。しかも、堅守速攻を得意とする仙台には、リーグ戦では最近8試合勝っていないということもあり、状況は厳しくなったかと思われた。ただ、「正直、絶対に点は取れると思ってやっていた。ホームのサポーターの方々の後押しもあったし、自分たちが点を取れることは信じてやっていたので、あまり焦ることはなかった」とC大阪の扇原貴宏も言うように、桜色のイレブンに落ち込む様子はなかった。サポーターの大きな援軍を受け、再び前を向いたチームは、後半早々の51分、すぐに結果を出す。
そのきっかけを作ったのは、新井場、播戸竜二とともに、チーム最年長である33歳のシンプリシオ。「流れのなかでうまくみんながスペースを作ってくれた」ところをしっかり見極めた経験豊富なブラジリアンが、自らドリブルで中央を突進。南野拓実とのワンツーも絡めながら、仙台守備陣を切り崩すと、柿谷曜一朗へラストパスを送る。これを「トラップで抜け出せた」柿谷が、ミートはしなかったものの、左足で蹴り込んだ。仙台GK林卓人の手をかすめながら、ボールはゴールイン。C大阪がエースの一撃で、試合を振り出しに戻した。
そこからは、後半の両者のシュート数が7本ずつと示すように、攻勢を仕掛け合う展開。仙台の手倉森監督がヘベルチ、富田、武藤雄樹と次々に交代カードを切れば、C大阪のレヴィークルピ監督も南野に代えてブランコ、柿谷に代えて杉本健勇を送り込み、活路を開こうとする。しかし、お互いにチャンスは作りながらも、C大阪のキム ジンヒョン、仙台の林、両GKの好守も光り、その後は最後まで双方に勝ち越し点は生まれなかった。
「結果には満足できていない。勝点1を取れたことはよかったが、自分たちのホームゲームだから、勝点を逃したというのが正直なところ」とC大阪のシンプリシオが言えば、仙台の手倉森監督も「負かしたかった」と苦笑いしつつ、「やっぱり、優勝争いするライバルに対して、自分たちの手で土をつけるということは、優勝を目指すチームの条件だと思うから、何としても勝ちたかった」とコメント。両者にとっては悔しい勝点1となった。しかしながら、「今日みたいな試合で最低限勝点1を拾うというのは、きっと最後のほうに響いてくると思う。これを続けていきたい」というのは、C大阪の茂庭照幸。C大阪、仙台とも、下を向く選手がいなかったのも事実。この勝点1の価値が上がるかどうかは、今後の戦いにかかってくる。
以上
2013.03.31 Reported by 前田敏勝
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