前節・札幌戦での４試合ぶりとなる白星を含め、６試合負けなしのガンバ大阪は、ホームに東京ヴェルディを迎える。

ここ数試合、攻守にいまひとつ噛み合わずフラストレーションのたまる試合を続けて来たG大阪。だが、札幌戦では日本代表から戻ったMF遠藤保仁、MF今野泰幸がスタメンに復帰する中で攻守に躍動。アディショナルタイムに失った１失点こそ余計だったものの、それ以外はG大阪らしい攻撃サッカーを示しつつ得点を重ね1-3と快勝した。但しこれは決して代表組だけの力によるものではない。長谷川健太監督も「代表選手がいない２試合は非常に苦しい試合だったが、そこで出場した選手の頑張りが今日の１勝に繋がった」と評価したように、チーム全体の奮起が呼び込んだ勝利とも言える。それによって芽生えつつある勢いをより大きな力として、今節、未だ勝利のないホームの地で初勝利を挙げたい。

注目はここまでの６試合全てに先発出場を果たし、かつ前節の札幌戦で攻撃を躍動させる原動力の一人となったMF倉田秋。ともに前線を構成をするチームきっての点取り屋、FWレアンドロとのコンビネーションも、試合を重ねるごとにお互いがいい距離感を保てるようになり、熟成が感じられる。本人は「もう少し二人で最後まで崩し切ることが理想」と話すが、今節でも二人の躍動がチームを勢いづけることは間違いないだろう。
「前節はチャンスをしっかりものに出来て勢いに乗れた。ただ大事なのはこれを続けていくこと。１年を通して札幌戦のような試合を続けていくことを目指したい。ヴェルディはサイドを効果的に使いながら、高原さんを含めた攻撃陣がそれにあわせて勢いよく飛び込んでくる。その良さを出させてしまうと勢いづかせてしまうだけに、ボールを奪った後のカウンターやサイド攻撃には注意したい。また、選手個々がガツガツと食らいついてきますから。それをシンプルに１タッチ２タッチで交わしながらチャンスを作ることを考えたい（倉田秋）」

東京ヴェルディはここ４試合を全て引き分けと勝ち切れない試合を続けてきたが、前節の岐阜戦ではホームの地で、しかも今季最多となる３ゴールを奪っての快勝。ここ数試合、攻撃陣が口にしていた「流れから点が取れるようになってきたし、ゴール前でのいい形も増えている」との手応えを明確にゴールに繋げ、勝利を引き寄せた。しかも４試合ぶりの完封も見逃せない部分。もちろん、まだ１勝で三浦泰年監督の目指すサッカーの確立を語るのは時期尚早だが、試合を重ねるごとに選手の自信が深まっているのは間違いない。またその中で得た白星が今後の戦いを後押しするものになることも間違いないだろう。
「初勝利は早いに越したことはないですが、昇格を目指してチームが一つになって戦っていく上で、ここまでの５試合で味わった苦労や大きなものを乗り越えようとする経験というのは今、味わっていた方が、長い目でみると今後の大事な場面でプラスに働くんじゃないかと考えています（三浦泰年監督）」
その東京Vの注目は前節の岐阜戦でスーパーな先制点を叩き込んだFW高原直泰。岐阜戦までは彼を効果的に活かし切れず、ゴールを獲りあぐねていた感もあったが、岐阜戦ではサイドをうまく攻略しつつ、FW高原の高さ、ゴール前でのしたたかさ、強さといった武器をうまく使ってゴールを量産した。今節でもそのFW高原が攻撃に絡む回数が増えれば、十分に勝機はあるだろう。また、元G大阪のMF安田晃大も注目したい選手の一人。ここ３試合はピッチに立てていない安田だが、子供の頃から縁深い万博で、しかも古巣相手の戦いに気持ちが奮い立たないはずはない。ピッチに立てばその思いをプレーで体現するはずだ。

G大阪と東京Vの顔合わせは、東京VがJ1リーグで戦っていた08年以来５シーズンぶり。05年のナビスコカップから数えるとG大阪が実に６連勝中だ。その流れのままにG大阪がホームの地での今季初勝利、初連勝となるのか。東京Vが流れを覆し、アウェイ初勝利、初連勝となるのか。子供の時から同じ静岡で生まれ育った同級生、長谷川健太監督と三浦泰年監督の『監督初対決』にも注目したい。

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2013.04.06 Reported by 高村美砂