春本番となる4月に入って最初のJ2の試合となる。この試合で対戦する、横浜FCと熊本は、ともにパスを繋ぐサッカーを指向し、その内容についてはおおむね手応えを得てるものの、結果については1勝2分3敗で20位(横浜FC)と1勝3分2敗で17位(熊本)と春を迎えていない。しかし、これは産みの苦しみ。いち早く勝点3という起爆剤が必要となる両チームにとっては、積み上げてきた繋ぐサッカーで結果を出すということが最大のテーマとなる。勝ちきれない現状を打破するために、システムなどで表現されるサッカースタイルを表現することに加えて、勝つためのキモチを出すこと、そしてピッチで起こる状況への対応力が問われる試合となる。
横浜FC・山口素弘監督は、この勝ちきれない状況で不足していることを「フットボールなんで、フットボールをすることが一番」と表現した。「(5失点した前節山形戦は)選手は一番悔しかっただろうし、戦うとか球際というのは気持ちの部分もある。重要なのはシステムということじゃない。どんなシステムでもウイークポイントもストロングポイントもあるが、それを意識しすぎていると思う。プレーになったら、いろんなポジションでプレーしないといけないし、固定したものでもない」という指揮官の言葉は、システムを機能させるためのさらなるプレーを早く熟成させたいという考えが示されている。
確かに、「(ワンボランチの)マツさん(松下裕樹)のところが研究されて、マツさんのとこのロングボールを使えていないのもある」と野上結貴が語るように、4-1-4-1のワンボランチを狙うという、ある意味定石的な攻略法への対処が熟成されていない。しかし、「(僕が)入ったときもマツさんだったり、チン君(寺田紳一)とはいい距離感でてきている。別に悪い方向に行っていないので、試合やっていく中で解決できる」(佐藤謙介)というように、回りとの連動によりそこを逆手に取ることができる。岡山戦(第5節)でも、山形戦(第6節)でも、その糸口となるシーンが見受けられる。チームとしてシステムの良さを出すためのグループワークのレベルを上げていくこと、相手の戦略に対してピッチ上で対応していくこと。その+αを見せられれば、前節までの3連敗を糧にできたことになる。
もう1つは、山形戦を落とす原因となった試合への入り方。
「負けてていて、結果は出なかったけど自分達のやりたいことは出来ていて、でも点が入らないだけかなというおごりというか、今まで通りやれば結果がでるんじゃないかなという緩んでいたという部分はあった」
という松下の言葉にあるように、入りのキモチで山形に負けていたのは事実。この修正も大きなポイント。その意味で、この試合は横浜FCにとって大きな転換点としたい試合だ。
ニッパツ三ツ沢球技場に乗り込む熊本は、吉田靖監督就任1年目とは思えないレベルで、パスを繋ぐサッカーを表現している。前節のゴールも、DFラインでゆっくりパスを回しながらスペースを作りだし、最後のスピードアップからワンツーを作りながらまんまと陥れたもの。合計15本のパスを繋いで得たゴールは、目指すサッカーを具現化したものだろう。パスワークにおいて、中盤で原田拓がさばき、片山奨典が高い位置を取りつつ、藤本主税が中に入って多彩なパスを見せるパターンはすでに完成度が高い。FWも、このパスの意図を十分にくみ取っているシーンが多く、吉田監督の指導力の高さが伺える。さらに、ゴール前での切り崩しにおいて、全ての選手が思いきったプレーをしていることからも、選手の間で自らのサッカーに対する自信が溢れていることは間違いない。一方で、勝点3から離れている要因は、ここ3試合連続で先制されているように、試合の運び方のところ。前節の富山戦でも、開始早々に悔やまれる失点をしてしまった。その意味で、熊本にもキモチの入った入り方が求められる。
対応力という視点では、試合当日の天候も考慮しないといけない。この週末は嵐が予想されており、この試合の開始時間には雨は止む可能性が高いが、強風が予想されている。ゾーンの取り合いでは、風を利用した駆け引きも想定される。その意味では、繋ぐサッカー、システムということ以上に、ゲームの中での応用力や集中力が結果に繋がっていく。強風は、プレー環境としては当然やりにくいが、アクシデントでいいパスを生むこともある。リスクマネジメントを含めた駆け引きにも注目したい。
両チームのサポーターは、結果が出ないことで生じているモヤモヤ感を早く払拭したいところ。勝点3のために戦う選手のキモチを後押しするために、是非ニッパツ三ツ沢球技場に足を運んで頂きたい。
以上
2013.04.06 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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