今季初勝利を懸けた昇格組の対戦は、甲府に軍配が上がった。甲府は久しぶりの甘美を味わい、大分は暗雲が漂いはじめた。城福浩監督は「なかなか勝てていなかったので、我々の目指すサッカーが正しいかを確かめるためにも勝利を渇望していた。それが叶えられて良かった」と素直に勝利を喜び、敗軍の将となった田坂和昭監督は「1敗は1敗。勝てないことをネガティブに思うより、次に向けてポジティブに気持ちを切り替えるしかない」と気丈に振る舞った。
ホームの大分は序盤から、2トップの高松大樹と西弘則が高い位置でのプレスからボールを奪い、ゴール前まで攻め込むまでは確かにテンポ良く流れていく。狙いとしたサイド攻撃からもチャンスをつくり、27分にはロドリゴ マンシャのくさびのパスから、丸谷拓也がつないで、高松がシュートを打つ決定機を作った。
しかし、一度引かれて裏にスペースを与えない守備ラインを引かれると、途端に攻撃のリズムがトーンダウンしてしまう。
前半は再三サイドから仕掛けることができていた松本怜は「相手のSBが高い位置をとってくると思ったが、警戒しているのかあまり上がってこず、深い位置を取られた」と語る。後半は松本怜自身もサイド攻撃が減少。追い打ちをかけたのは、68分の木村祐志の負傷交代だ。守から攻へのスイッチャーとなっていた木村の離脱で、パスの供給源を失ったチームは攻撃が単調になり、展開を二転三転させる多彩な仕掛けが不足した。
そして83分の失点は、これまで同様にミスによるもの。CKのこぼれ球を簡単にクリアする場面で、もたついた。続けざまにふたりの選手がミスすれば、失点を覚悟しなければいけないのは言うまでもない。「サッカーはミスをするスポーツなので、ミスをなくすことはできない」と田坂監督は選手をかばったが、J1を戦う上では一瞬の隙は致命的。ミスが減らない限り、勝利は遠い。
松本怜は「試合を重ねるごとに良くなっている」と手応えをつかんでいるものの、「結果が出ていない。甘いことは言っていられない」ともどかしさも感じている。内容と結果。その歯車が噛み合わなければ、大分の反撃は始まらない。
今季初勝利を上げた甲府は、相手の隙を突き、83分に山本英臣のボール奪取から、水野晃樹がクロスを上げ、土屋征夫の打点の高いヘディングが決勝点となった。
「みんな勝点3が欲しかった。どんな形のゴールでもいいから、勝って勝点3を取りたかった」(土屋)
この一連のプレーは、甲府の懸命さが導いたゴールだったように思う。なぜなら、彼らのチーム戦術に徹する姿勢が、決勝点を呼び込む最大の要因になったからだ。
甲府の選手たちは、大分に主導権を握られながらも、「甲府らしく粘り強く守備をやって、攻撃も積極的にからんで動いてということができた」と柏好文。土屋、青山直晃を中心としたDFがクロスをはね返し、中盤はパスの供給源にプレスをかけ続ける。攻撃では縦への意識を徹底し、「先発で出た選手も、後から出た選手も含めて、全員が理解していた」(城福監督)。攻守両面でそれぞれが仕事を理解し、冷静にワンチャンスをものにすることができた。
先行きは決して明るいわけではないが、序盤の大一番を制し、巻き返すためのひとつの方法論は見えた。
以上
2013.04.07 Reported by 柚野真也
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