散々な内容で迎えたハーフタイムに、手倉森誠監督はチームに「相手陣に入ったら、大胆さを出していこう!」と声をかけたという。
それほど、前半の仙台には大胆さが欠けていた。「自分達でボールを握れていた時間帯での失点。シュートで終われていれば良かった」と富田晋伍は試合後に反省した。確かに新潟の金根煥と大井健太郎は対人守備の強さを見せ、三門雄大とレオ シルバの両ボランチは高いボール奪取率をこの日も誇ったが、仙台はそういう「強さ」や「寄せの速さ」は新潟の長所として認識していたはずだ。だからこそ立ち上がりの時間帯のように、中盤でのこぼれ球をしっかり拾い、高い位置に人を集めてボールを回し、相手を動かして守備ブロックをばらす作業をおこなった。
しかし富田の言葉にあったように、シュートがない。何のためにボールを支配しているのかといえば、相手に攻撃のチャンスを作らせないために自分達がボールを持つということもある。だが勝利のためには、まずゴールを得るという目的があるはずだ。
新潟はこの仙台のパス回しがもたついている間に、中盤でボールを奪って速攻につなげた。16分には田中達也のチャンスメークから右に展開、ボールを受けたブルーノ ロペスは石川直樹を背負いながらもクロスを上げた。そこに飛びこんだ成岡翔は、絶妙なコースにヘディングシュートを流しこんで大きな先制点をあげた。
その成岡は「チーム全体として、ゴールに向かうプレーには今までより迫力がありました」と振り返った。この先制点後、ゲームの流れは完全に新潟ペースに映る。ゴールで勢いを得た新潟は中盤でのこぼれ球への出足が増し、FWも2列目もボランチも、右サイドバックの藤田征也に至るまでフィニッシュまで持ち込んだ。精度を欠いて追加点を奪えなかったのは課題だが、ボール支配を前半だけで14本ものシュートに結びつけた。
対照的に仙台はシュートを一本も打てずに折り返してしまったために、後半開始からヘベルチを投入して前方の距離感を修正し、攻勢に出た。するとチーム全体のサイドへの配球能力が高まり、両側から新潟を押しこむこととなった。そのために後半は一転して仙台ペースで時間が進むことになり、しかも今度は前半立ち上がりと違い、仙台もシュートへ持ちこむことができるようになった。
しかしこの後半は新潟の守備力が勝る結果となった。「だいぶ押しこまれましたが、慌てずしっかりマーキングの意識を高くプレーできました」という柳下正明監督の言葉通り、サイドを破られても中央はしっかり固め、個の打開力があるウイルソンに対しては複数人で対応。シュートまで持ちこまれてもGK黒河貴矢が常に捕球体制に入っていた。仙台が中原貴之投入とヘベルチのサイドバックへの移動でパワープレーに切り替えても、スコアは動かず。後半のシュート数は10対3と仙台が優勢だったが、ここは新潟が凌いで試合を終えた。
ボールを支配するのは何のためか? この問いに対し、頭では分かっていたとしてもピッチ上で解答を出せなかった仙台は、今季ホーム初黒星を喫した。対する新潟は及第点の解答で、今季リーグ戦初勝利。大きな大きな勝点3を獲得した。
以上
2013.04.07 Reported by 板垣晴朗
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