試合が行われている間も、横浜の名所の一つであるベイブリッジが通行止めで封鎖されるほどの強風の下で行われたこの試合。横浜FCと熊本の両チームは、相当に風対策をして臨んだが、「風上に立った方のチームがリズムが掴めなかったというのは、僕も見ていて面白いなと思いました」という横浜FC・山口素弘監督の試合後のコメントにあるように、強風がもたらす心理的影響が色濃く出た試合だった。一方で、両チームとも風下の時間に狙いとするプレーを表現するなど、ドロー決着だったが、積み上げてきたサッカー自体の良さは表現された。
試合のコイントスに勝ったのは熊本。ここで、熊本は敢えて「基本的には後半勝負したい」(熊本・吉田靖監督)という狙いから風下を選択。これは、裏に抜けるスピードを持つ黒津勝を先発起用した横浜FCにとって逆に有利な構図に見えた。事実、試合の立ち上がりから黒津のダッシュは、熊本のDF陣に大きな脅威を与えていた。一方で藤本主税が「風下だと、DFにとってはボールスピードが失速するのでトップに入れられた時に挟みやすい」というように、黒津のスピード以外の部分ではしっかりと横浜FCのビルドアップに対応。中盤でも両者厳しいチェックを仕掛ける中、試合は膠着する。13分には、熊本は負傷で齊藤和樹から北嶋秀朗への交代を余儀なくされるが、26分に藤本が蔵川洋平からのクロスを受けキーパーと1対1となりシュートを放つ。この決定機は柴崎貴広がブロックする。37分には逆に横浜FCが西嶋弘之のヘディングとその跳ね返りを狙った小野瀬と決定機を迎えるが決めきれず。前半は、「ボールはある程度動かして何度か決定的な形を作って及第点」(吉田監督)というように熊本の良さも出たが、一方で横浜FCのリスクマネジメントとパスワークも機能し、風の中の危うい均衡が保たれたまま、前半を終了する。
後半になると、三ツ沢のピッチレベルでの風はさらに強まり、ゲームへの影響が大きくなってくる。その後半にペースを掴んだのは、風下に立った横浜FCのほうだった。なるべく浮いたボールを使わずに、前線でのドリブルなどを多用し前に圧力を掛ける。熊本も、風上を生かして前に出てくる。しかし「縦に急ぎすぎて、攻撃をしっかり組み立てられなかった。攻撃と守備のバランスも悪くなった」(吉田監督)熊本に対して、「後半はスペースも空いてきたことで、やりやすくなった」(横浜FC・武岡優斗)というように、縦へのタイミングとワイドの活用という観点で、横浜FCのほうが、より狙いとするパスワークを展開する。そして73分に、田原豊を投入し3-5-2のフォーメーションにすることで勝負に出るが、熊本もこの変化に対応。残りの時間は、お互いに攻め合う展開となり、85分の武岡の突破からの小野瀬康介のシュート、南雄太に阻まれた88分の中里崇宏のシュート、90+1分の北嶋のヘディングと、立て続けに決定機が出来るが、両者決めきれずに試合は0-0で終了した。
お互いに起爆剤として欲しかった勝点3を得ることはできず。ただし、強風という制約された状況の中で、お互いの良さを出すことができたのではないだろうか。横浜FCにとっては、「前節を引きずらなくて良かった」という佐藤謙介の言葉通り、集中力を出せたゲームだった。懸案だった1ボランチにおける守備と中盤でのバランスにおいても大きく改善が見られた。徐々に改善を見られる中、あとはゴールに向かうプレーでの精度の問題。少なくとも、5失点の前節からの再起ということでは今後の躍進への狼煙を上げるゲームになったのではないだろうか。
対する熊本にとっても、難しいコンディションのゲームの中で、まずは失点0をベースにして決定機を狙っていく形は見せられた。ただ、吉田監督の「(後半)縦に急ぎすぎてボールを失った」というように、風上の時にも自らのサッカーを貫く冷静さという点で、ステップアップのための新たな課題を得た形となった。
両チームとも内容に関しては手応えを掴んでいる。さらに、ゴールに向かうという姿勢も十分に見せられている。あとは、ゴールを陥れる勢いの部分だけ。勝てないことで焦らなければ、この両チームであれば早晩勝点3を得ることができるだろう。それは、前に行きやすい風上よりも、風下の状況下のほうが良いサッカーができていたというこの試合の様相が暗示している。
以上
2013.04.08 Reported by 松尾真一郎
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