3月30日のリーグ4節から続く15日間5試合の過密日程も、ようやく最後の5試合目を迎える。ここまでの4試合で1勝3分の無敗をキープしてきた名古屋がホームで迎え撃つのは、同じく4試合を2勝2敗としてきた新潟。リーグ戦順位で言えば5位vs14位の対戦となるが、まだ5試合消化時点での数字にそれほど意味はない。なかなか勝点3に恵まれないという意味では、両チームは近い状況にあるといえるだろう。「無敗と言っても3引き分けは1勝2敗と同じ。失った勝点は取り戻さないと」と語るのは名古屋の小川佳純だが、その計算ではこの4戦で得た勝点は新潟の方が上になるのである。
直近の公式戦であるヤマザキナビスコカップ4節を振り返れば、名古屋は昇格組の大分に辛くも引き分け、新潟は鹿島にホームで敗戦。どちらも印象は良くない状態から、中2日の試合に臨むことになる。疲労の色もさすがに隠せない一戦となりそうで、そういった点でも両チームのメンバー選考は試合を左右する大きな要因になるのは間違いない。
名古屋は大分戦でケネディが待望の戦線復帰を果たしたが、まだまだ本調子とは言えない状態で、今節もベンチスタートが濃厚だ。ここ4試合では数名の主力を少しずつ入れ替えローテーションを図ってきたが、連戦もひと段落するタイミングだけに出し惜しみはしないと予想される。4-3-3あるいは4-2-3-1の布陣の注目はやはり玉田圭司のワントップだ。ピッチ内を自由奔放に動き、攻撃のリズムを刻むドリブラーは現在絶好調。33歳の誕生日を迎えたばかりだが、円熟味が加わった切れ味鋭いプレーは名古屋に不可欠の要素となっている。そしてもう一人の注目選手は、言わずと知れた矢野貴章である。今季新潟から移籍してきた大型ウインガーは早くもチームにフィットしてきており、古巣対決でもスタメンは濃厚。しかし「愛着のあるチームなので対戦は楽しみ。でもまずは試合として勝たないと」と気負う素振りは一切見せなかった。
リーグ戦では苦戦している新潟だが、チーム状態自体はそれほど悪くはないと見る。特にリーグ戦初勝利だった5節の仙台戦の出来は素晴らしく、アグレッシブなプレッシングが見事にはまり、そこからのショートカウンターも良い形で表現できていた。ヤマザキナビスコカップでは数人の選手を入れ替えて戦ってきたが、それでも外せない絶対的なチームの核となる選手は7人。DF金根煥と金珍洙、藤田征也、MFでは新加入レオ シルバに三門雄大、田中亜土夢、そしてFWブルーノ ロペスだ。この7人は連戦でもほぼフル出場を果たしており、今季の新潟を支える大黒柱といえる。ここに田中達也、成岡翔、岡本英也、川又堅碁らが得点への道筋をつけるのが、現在の新潟というチームのスタイルだ。
今回の対戦の見所は、名古屋の矢野の分析が全てだろう。
「新潟はきっとアグレッシブに前からプレッシャーをかけてきます。だからウチは不用意なパスや、後ろでのつなぎでミスをしてはいけないし、くさびの縦パスも狙われていると思う。変な形でボールを取られると、新潟はカウンターも良いですからね。ウチが引いて守れば攻めにくいと思うので、速く攻めたいでしょうしね」
今季の新潟はアウェイでも激しいプレッシングを仕掛けてくる。これがはまれば敵陣内でボールを奪うこともしばしば。前線には田中達やブルーノ ロペスなど裏抜けの得意な選手が揃っており、まずは彼らがストレートにゴールを狙う。ダメならキープし成岡や田中亜、サイドバックの藤田や金珍洙らサイドの仕掛け屋との連係で崩す。ボールを奪われれば、即座にプレッシングを敢行し、高い位置でのボール奪取を目論む。新潟に主導権を握られないためには、名古屋はビルドアップからミスのない攻撃でシュートまで持っていくことが必要だ。
だがシュートまで持っていく、という点はそのまま現在の名古屋の課題と一致するところだ。ここ数試合で調子を上げてきた小川は「攻撃はだんだん良くなってきている。ビルドアップはできているし、あとはアタッキングサードでの工夫ですね。クロスの質もそうだし、中の選手の入り方にも工夫が必要」と話したが、敵陣深くでのアイデア不足は確かに目立つ部分。阿部翔平は「今は なるべくサイドチェンジを速くして、クロスに持って行けという流れになっている。でもクロスを上げるためのサイドチェンジだけでなく、スペースを作ったりするためのサイドチェンジもしていかないと、ワンパターンになってしまう」と問題点を指摘する。ケネディがいればシンプルなクロスも大きな武器になるかもしれないが、新潟には193cmの金根煥がいるため今回はそこまでのアドバンテージも見込めない。玉田を中心とした流動的な“地上戦”とのバランスを含め、試合のマネジメント力が普段以上に必要となるだろう。
中3日と中2日の組み合わせで2週間。蓄積された疲労はピークに達している頃だが、連戦も一段落すると考えれば、この90分を走り切る気持ちにもなれるはず。名古屋はここ数試合で見せている守備陣のケアレスミスをなくすためにも、走り回って集中力を高めていきたいところだ。思えば昨季のアウェイでは、名古屋は新潟に大敗を喫していた。しかしホームでは逆に快勝しており、その前年も4-0の大勝。アウェイ新潟は鬼門のひとつだが、ホームでの相性は悪くない。「お互いに内弁慶やね」と笑ったのはキャプテン楢崎正剛だ。相性が意外に強い影響力を持つのもサッカー界ではよくあること。その力も借りつつ、名古屋は今季の豊田スタジアム初勝利を目指す。
以上
2013.04.12 Reported by 今井雄一朗
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