開幕から勝ち星に見放されている田坂和昭監督は、大きくメンバーを入れ替えた。今季初めて高松大樹と森島康仁をトップに並べ、3月に加入したロドリゴ・マンシャと宮沢正史を縦の関係に据え、最終ラインには今季初先発の深谷友基を置いた。「鹿島に勝つためのメンバー」(田坂監督)は見事に期待に応えたが、結果を出すことはできなかった。
序盤からホーム大分は攻守で積極的に仕掛け、前半だけで放ったシュートは7本。狙いとするサイド攻撃とシンプルに相手の裏を狙う横と縦の攻撃を組み合わせる。その起点となったのが、ゲームメイクを任された宮沢正史だった。テンポ良く長短のパスを操り、リズムを生んだ。先制点は25分、この日ポジションをひとつ前に上げたマンシャからのパスを、右サイドに流れた森島が受けるとファーサイドに逃げる高松の動きに合わせクロスを入れる。後ろにステップを踏んだ高松は、絶妙のトラップでボールを沈め、角度のないところから難易度の高いシュートを難なく決めた。最高の形で先手を奪ったが、今季の大分は先制してもアドバンテージを生かせずにいる。
アウェイ連戦が続く鹿島は疲労が色濃く、「立ち上がり10分から15分は試合に入り切れない選手が何名かいた」とトニーニョセレーゾ監督が振り返ったように、体が重かった。ただ、チーム状態が悪ければ個で打開してしまうのが常勝軍団と呼ばれる所以だ。「失点はすべてリスタート絡み。十分警戒していたが、鹿島のしたたかさにやられた」と田坂監督。36分の柴崎岳、57分の野沢拓也の相手の一瞬の隙を見逃さない老練さと決定力は、もはや鹿島の伝統芸だ。「打った○○を誉めるべき」と常套句になりつつあるこの言葉がぴたりと合うゴール。
さらに戦列から離れていた大迫勇也が、これまた最近の常套句「○○はもっている」ぶりを発揮する。72分にピッチに立つと相手DFを手玉にとり、90分に決勝ゴールを決め、あっさり勝点3を持ち帰った。
試合後に記者会見場に訪れた田坂監督は、開口一番「率直に悔しい」と悔しさを滲ませた。確かに今季ベストゲームといえる内容であった。「流れの中からの失点もなかった。球際でも負けなかったし、意図する攻撃ができた」。入れ替えたメンバーが活躍し、采配は的中した。高松、森島の両エースが得点を共演し、力ある相手に逆転を許したが、同点に追いつく粘りもみせた。だが勝利はスルリと抜け落ちる。目指すサッカーは明確だし、浸透している。出口は見えているのだが、長いトンネルから抜け出せずにいる。
以上
2013.04.14 Reported by 柚野真也
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