第7節終了時で失点数の少なさがトップタイの千葉と2位タイの岡山の対戦は、両チームの堅守が光る一方、『1点』を取りきる得点力の課題が改めて浮き彫りとなり、スコアレスドローに終わった。両チームとも球際の激しさが目立ったが、直接FKの数は千葉が10で岡山が11とファウルが極端に多くもなく、白熱した攻防が随所に見られた一戦だった。
千葉は前節で負傷したMFナム スンウに代わってMF田中佑昌が、岡山もまた負傷した桑田慎一朗に代わってFW石原崇兆がスタメンに入り、両者は対面の位置に入ったが、チームの攻撃により好影響をもたらしたのは田中佑のほうだった。
それでも、序盤にリズムをつかんだのは影山雅永監督が率いて4年目でチーム戦術が完全に浸透している岡山。パスワークは連動性が高く、大きなサイドチェンジのパスを交えてピッチを幅広く使って攻める。14分にはDF竹田忠嗣のロングパスを受けたMF田中奏一がドリブル突破から思い切りのよいミドルシュート。これはゴールポスト横に外れたが、試合前のピッチに水が撒かれたため影山監督が低めのミドルシュートを積極的に打つように指示したこともあって、岡山はミドルシュートが多かった。だが、逆に流れの中からペナルティエリア内で千葉ゴールを脅かすシュートは少なかった。ペナルティエリア外からのシュートは精度を欠いたものが多く、15本のシュートで決定機は3本くらいだった。
千葉は岡山の勢いに押され、ボールを持つと岡山の厳しいプレッシャーを受けたが、MF谷澤達也が「相手の間でボールを受けることを意識している」と話したようにスペースを見つけて攻撃を組み立てようとした。26分にはDF米倉恒貴が岡山のMF田所諒をかわして入れたグラウンダーのクロスに田中佑がニアサイドで合わせたが、ボールはゴールポストをかすめるように外れてノーゴール。千葉は昨季もそうだったが、クロスから得点を狙うことが多い。だが、クロスに一発で『点』で合わせてシュートを決めるのは、特にDFの守備力が非常に高い相手だとそう簡単にはいかない。38分にはMFジャイールのクロスをFWケンペスがヘッドでファーサイドに送り、岡山の石原のマークを外した谷澤がシュート。この試合で最も得点に近かった場面は岡山のGK中林洋次のファインセーブでノーゴールとなったが、この場面のようにワンクッション入れる工夫が、鈴木淳監督が言った「相手の守備の最後の1枚を剥がす」ためのポイントの一つになるのではないだろうか。
4連勝とJ2通算50勝は達成できなかった岡山だが、終盤の千葉の猛攻をJ2通算100試合出場となるDF近藤徹志を入れてしのぎ、開幕からの無敗を守った。攻撃の連動性は高いだけに、流れの中からペナルティエリアの中で決定機を作る形とその回数をもっと増やしていけば、相手が堅守でも点を取って勝ちきれるチームになると思われる。
千葉は攻撃でまだ『個』の力頼みの部分が多く、相手のマークを剥がす連係プレーのバリエーションが欲しい。また、今節のサイドチェンジのパスは岡山が特急もしくは急行クラスだったのに対し、千葉は人数をかけた各駅停車クラス。もちろん一発のサイドチェンジのパスを狙ってカットされるリスクもあるが、各駅停車では相手の守備のスライドが間に合ってしまう。さらに、決定機は5回作ったが、相手の意表を突くような思い切ったミドルシュートは少なかった。昨季、総得点はJ2リーグ4位タイでも5位に終わったのは、『1点』を取れば勝てる、もしくは引き分けられる試合で『1点』が取れなかったことが大きい。J2リーグでは強豪と言われることが多いが、『1点』を取りきる強さがなければ本当に強いチーム、そしてJ1に昇格できるチームとは言えない。
以上
2013.04.15 Reported by 赤沼圭子
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