西京極での京都vs横浜FCの一戦は、横浜FCが粘り強い守備を見せて勝利を飾った。
試合は、横浜FCが武岡優斗を左サイドに配置し、京都はサヌを今季初先発させた。
スコアは早々に動く。こぼれ球を拾った横浜FCが左で展開。寺田紳一からサイドを駆け上がって来た西嶋弘之に渡り、クロス。これを大久保哲哉がニアで、右足アウトサイドで合わせゴール。横浜FCが先制する。その後も横浜FCは出足の速い守備で、京都のパスワークを遮断しては速攻を仕掛ける。
京都も徐々に盛り返すと26分に、CKの跳ね返りをさらに戻して、工藤浩平が頭でDFラインの裏にボールを落とすとサヌがシュート。その直後には左サイドで展開すると中を上がって来た工藤がフィニッシュまで持ち込む。
後半、京都は横浜FCに大久保から黒津勝に送られシュートを放たれる瞬間(後半5分)を作られたが、その後はゲームを支配する。
後半21分には、途中出場の中山博貴を福村貴幸が追い越しゴールライン間際からマイナスに折り返し、三平和司がシュートを放つ。同24分には中山、横谷繁、サヌとつないで左にいた原一樹へ渡りシュート。GKに弾かれたところを原が中へ折り返してゴール前に中山が詰める。同26分には右サイドから中に入れたボールをゴールライン際右サイドで中山が受けるとマイナスに折り返し原、と横浜FCゴールを攻め立てる。終了近くには宮吉拓実を投入。安藤淳が右サイドエリア外から放ったシュートがDFに当たってこぼれたボールを宮吉がシュート。後半アディショナルタイムに入っても、エリア内で上がったボールを宮吉が、収めて一人かわしてゴール上隅を狙いすましたシュートを放つも、わずかに外れる。
結局、京都は横浜FCのゴールを割ることが出来ずにタイムアップ。京都はホーム・西京極で徳島戦に続き連敗となった。
横浜FC・山口素弘監督は試合後、内容的には良くなかったとしながらも「勝ちたいという選手たちの姿勢が粘り強さにつながった」と選手の頑張りを労った。
一方京都側としては、敗れたことは残念以外の何物でもないが、試合自体は非常に面白かった。リードされて攻めなければならない状況で決定機を何度も作ったのは高く評価されても良いと思う。もちろん、勝利に結びつかなかったので批判の方が強くはなるのも当然である。
「相手が引いて守ると点を獲るのは難しい」とはよく聞くが、正直、今節は崩していたと思う。安藤がミドルを放って、こぼれたボールをシュートまで結びつけたシーン、その前の福村が中山を追い越したシーンは、引いた相手の攻略のお手本の様な攻撃だろう。24分の原のシュートも、横谷、サヌとつないで相手の目を引きつけてのラストパス。26分の中山が飛び出してゴールライン際で受けてマイナス、という決定機も素晴らしい形だったのではないか。攻め立てて決定機をきちんと作りだした点は素晴らしい。が、もちろん、目的はゴールなのでそこは―、ということになる。
結果に結びつかないと「なぜ?」となる訳だが、その理由を探すよりかは「決められなかったのだから、もっと決定機を作りださないといけない」となるのではないか。後半だけで5本。前半2本で計7本は決定機があったと思う。ならば決定機を10本作る、それで決められないなら12本。簡単ではないが、チャレンジする価値はあるだろう。
後は余裕か。ハーフタイムコメントに大木監督は「パスを出して終わりではなく、もう一度走っていこう」と指示を出している。ラストパスを狙ってパスを出した選手が、さらにもう一度もらいに行く、或いは、こぼれたり、相手に渡ってしまった球を狙いに行く、ということを指示した訳だが、フレーズにすれば「ラストパス・プラスワンプレー」となるだろうか。それと同様にラストパスやラストプレーに対し、その他のプレーも見つけられる状態にあるか、というのも欲しい様な気がした。
久保裕也は、少し引いて受けてシュートを狙う様に指示を受けていたことを明かしていたが、彼のシュート力を考慮して、さらに、ゴール前には原がいて、三平がゴール前にも飛び込める状況の中で、チームとして久保の使い方は大いに納得できるものだ。その中で、久保はドリブルで仕掛けたり、ゴール前で一人かわしてシュートに入ろうとするプレーを選択していた。要は自分でシュートのタイミングを作りたかったのだろう。そしてそれは彼の得意なプレーでもあるのだろう。自分の好きなプレーは大いに磨くべきだ。だが、それ以外のプレーでもシュートのタイミングを作ることも出来るのではないか、という気もする。DFの背後にスペースがない状態を観て、ワンツーからシュートに持ち込む、或いはクロスに対し誰かの落としを呼び込む、など。要はシュートのタイミング、振り抜くタイミングが欲しいということで、そのために他にどんなプレーを思いついて、実践できるか、ということの様に感じさせた。それは余裕の部分に入るのでないかと思う。ただ余裕という言葉は大変危険で、余裕と球際の緩さが混ざる場合もあるので注意も必要だが。
以上
2013.04.15 Reported by 武田賢宗
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