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【J2:第8節 東京V vs 鳥取】レポート:タレントが躍動し、積み上げと今後の伸びしろを大いに感じられた東京V。鳥取は、またしてもラストの精度の差に課題。(13.04.15)

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東京Vが、それぞれの個性を生かし合ったサッカーで3ゴールを挙げ、快勝した。

両チームとも“立ち上がり”をポイントとしていただけに、試合開始からアグレッシブに主導権を奪いにいく展開となる。その中で、ボールを持つとシンプルに前に入れる鳥取がペース握り、東京V陣内での時間が長くなっていた前半21分、早速試合は動いた。先制したのは、そこまでチャンスらしいチャンスを作っていなかった東京Vの方だった。右サイド、森勇介がDF2人の間を通した好パスを常盤聡に入れると、マークにつかれながらも常盤が強引に突破し、DFを振り切って中に折り返す。「相手の股を抜けてきたと思うのですが、フリーだったので決めようと思いました」ゴール前でフリーとなった飯尾一慶が右足で合わせ、ポストに当てながらもうまく流し込んだ。DFを振り切った常盤のスピードと粘り、そして飯尾のテクニックが存分に生きた得点だったと言えよう。

この1点で東京Vは波に乗った。シュートこそ打てないながらも、流れるようなパスワークで崩し、主導権を握りながら試合を進めていく。すると30分だった。西紀寛と飯尾のパス交換から、西のスルーパスが相手DFにカットされたルーズボールを飯尾がすかさずさらい、ドリブルで持ち込んで中央で抜け出した高原へ。その高原がニアで鮮やかに決めた。「チビ(飯尾選手)が素晴らしい仕事をしてくれたので、自分は足を当てるだけでした。自分がというよりも、チビを誉めたいと思います」。この2点目も、ここ最近際立つ、相手にボールを奪われた瞬間の飯尾の守備意識の高さ、決して簡単ではないシュートをしっかりと決める高原の才能の差がはっきりと示されたゴールだったのではないだろうか。

そして、大きかったのは3点目だろう。前半で2点を奪いながらも、後半は無得点のまま終わりそうだったところを、アディショナルタイムでダメを押したのが18歳の前田直輝だった。「(小池)純輝くんが良いボールをくれた」あとは、迷いなく狙い通りのカットインから左足で一閃した。小池、前田とも途中出場の選手がそれぞれのゴールへの強い思を形とし、チームに貢献してみせた。小学校4年時から東京Vの下部組織で育った前田にとって、味の素スタジアムでのゴールは夢だった。「子供の頃から、(元ヴェルディ在籍の)ワシントンやフッキ、森本選手というスター選手のプレーをこの味スタで生で見ていたので、そういうすごい選手がプレーしていたのと同じピッチに立って、自分もゴールを決められたこと。そして、大好きなヴェルディの選手として決められたことが本当に嬉しい」生涯、忘れないであろうプロ第1号のメモリアルゴールは、決して自身だけの収穫に留まらない。「新人で、まだ18歳の前田が点を取ったということは、他の若い選手への刺激、または今後の練習態度などを刺激するひとつの要因になったと思う。また、ヴェルディは育成制度がストロングポイントのひとつですから、前田が点を取ったということは、クラブにとっては非常に大きいことであり、実績や名前のあるベテランあるいは中堅選手にとっても良い刺激になった」と、三浦泰年監督も価値あるゴールだと位置づけた。

また、福井が負傷退場したことで、代わりにはこの試合が移籍後初先発だった石神直哉が下がって入ったが、日頃の練習でもやっているポジションだけに全く問題はなく、むしろ局面での守備対応はさすが熟練者と言えるものだった。そして、途中出場の巻誠一郎も、果敢に潰れ役となり持ち味を発揮し、停滞した流れを変えるのに一役買った。

一方で、何よりも讃えるべきは、3試合連続無失点を誇る守備ではないだろうか。福井諒司、刀根亮輔、金鐘必のそれぞれの対人の強さ、GK佐藤優也のセービングとフィード力、アンカー鈴木惇のカバー力など、守備陣各々のストロングが生きているのはもちろん、加えて東京Vの監督・全選手が口にするように、「攻撃の選手も含めたチーム全体の守備意識が高い」ことが、鉄壁誇る守備の生命線と言えよう。「良い守備が良い攻撃を生む」。まさに今、東京Vは良い流れに入りつつあるのではないだろうか。
とはいえ、選手たちは揃って口にする。「まだまだ良くなる」。すでに5つ記録した、結果次第で黒にも白にも受け取れる△を“白”にするためにも、さらなる熟成を目指し続ける。

鳥取にとっては、またしてもアウェイで勝利を収めることができなかった。前節の反省から、立ち上がりで主導権を奪い、自分たちのリズムで試合をすすめるという点には改善は見られたが、逆に一瞬の隙を突かれての失点で勝機を逸してしまった。また、シュート数で相手を上回りながらも、ゴールを割れない決定力という意味でも、元日本代表の高原ら有する東京Vとの差を感じざるを得ない結果となってしまった。その中で、ケガで長期離脱中だった永里源気の復帰は明るいニュースではないだろか。エース久保裕一が離脱し、得点力に不安がある中、この試合でも決定的なシュートを放つなど、果敢はゴールへの姿勢を示していた。「もっとリスクをおかしてでも、ドリブルで運んだり、シュートを狙ったりすることが必要。バックパスや横パスばかりだったので、“通ったら1点”という、勝負のボールをもっと入れてもいいのかなと感じました」このあと続く札幌、京都、G大阪という強豪との戦いで1つでも多くの勝点を得るためにも、“勝負”の姿勢が鍵を握ってくるかもしれない。

以上


2013.04.15 Reported by 上岡真里江
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