今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第9節 熊本 vs 愛媛】プレビュー:対照的なチーム状況にある愛媛を迎える1戦。1ヶ月ぶり、そしてホームで今季初の勝利を目指す熊本は、原点に立ち返った戦いぶりが求められる(13.04.16)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
今シーズンの初勝利となった3節・松本戦以降に積み重ねてきた5試合無敗の状況から、熊本は前節の結果を受けて5試合未勝利という全く逆の状況に陥った。数ヶ月前までチームを率いていた高木琢也監督の綿密なスカウティングによってストロングポイントを消し込まれたという側面もあるが、その敵将に「勝因は運動量の差」と語られたように、技術や戦術以前の要素で押される展開となった長崎戦。スコアは1点差だったもののシュート数では7対18と圧倒され、ゴール裏を真っ赤に染め上げたサポーターからも試合後には厳しいブーイングが飛んだ。1勝4分3敗の20位と厳しい位置におかれている現状を受けとめ、1つずつ勝っていくことで後押しし続ける思いに応えなくてはならない。

中2日という短いスパンを考えると、前節の結果はメンタルにも少なからぬ影響を及ぼすことは否定できまい。そういう意味でも勝ちたかった熊本なのだが、一方の愛媛は前節、群馬を2-0でくだして連敗を止めている。特に開始直後に雷雨のために中断を余儀なくされ、変化するピッチコンディションへの対応や集中力の維持など、難しさのあったゲームで勝ちきったこともチームにとってはプラスに働く。対照的な状況にあるチーム同士が、うまかな・よかなスタジアムでぶつかる一戦は、中2日でのコンディショニングと前節からの流れの維持、あるいは修正が、その行方を左右するゲームとなるだろう。

熊本にとってポイントとなるのは、まずは――前節まったく表現できなかった――しっかりとボールを動かしながら攻撃を組み立てていくという、今シーズン取り組んできた自分たちのスタイルを発揮すること。「前節はセカンドボールを相手に拾われすぎてラインが下がり、前に行けなかった。選手間の距離も遠くて攻撃に厚みを出せなかった」と原田拓が話しているが、相手のプレッシャーを受けて意図の見えない苦しまぎれのロングボールが増えてしまったのがその要因だ。「怖がらずに、もっと真ん中につけないとポゼッションが始まらないなと思った」と矢野大輔が言うように、自分たちのリズムを作り出すには、少々厳しい状況でもアプローチをかわしてボールを前に運ばなくてはならない。「取るべきポジションを取り続け、つけるべきところにボールをつけ続けないといけない」という北嶋秀朗の言葉の通り、相手との間合いを見ながら、適切な場所でボールを受けることが必要。つまりそうした距離とアングルを作るだけの運動量と、ピッチ上での細かいコミュニケーションが不可欠となる。

もうひとつは、得点に結ぶためのゴール前での工夫だ。愛媛は長崎同様[3-4-3]のシステムを採っており、サッカーそのものは長崎と違いがあれど、時間を与えれば両ワイドのMFが最終ラインに加わって5バックのような状態でゴール前を固められてしまう点は共通している。「前節は相手のブロックの間に(ボールを)入れられなかった。外で回していても何も起きないし、きつい状態でも、もっと間に打ち込むことにトライしていかないと、相手の陣形は崩れない」と南雄太が言うように、サイドから中へ仕掛けるようなアクションを起こして相手を動かせるかどうかが、試合を優位に進めるうえでの鍵となるだろう。今節は仲間隼斗が出場停止となるなど中盤の構成が大きく変わりそうだが、チームとして危機的な状況の中で出場のチャンスを掴む選手の意気込み溢れるプレーで、流れをプラスのベクトルへと転じたい。

対する愛媛としても、前節の勢いを維持して連勝を狙い、さらに次節の四国ダービーにつなげたい一戦。相手のミスがらみだったとは言え、左右から守備網を崩した2ゴールは前線からのプレスが奏功してもぎとったもので、連敗の中でもぶれずに自分たちの形を貫いたことで自信を深めた。プレシーズンに行った熊本とのトレーニングマッチでも、1トップを勤めた河原和寿の追い込みをスイッチに全体で連動した早いプレッシングで圧力をかけ、また的を絞らせない幅広い展開で押し込む時間帯を作るなど、熊本のイメージも十分インプットされているだろう。仮に前からのプレスがはまらなければ、コンパクトなゾーンを保とうとラインを押し上げる熊本の背後を効果的に衝けるかどうかが焦点となりそうだ。

熊本にとって愛媛は、J2入りの過程(愛媛のJ2入りによってJFLへの昇格が実現)だけでなく、Jリーグ最初の公式戦の相手であり、またその試合で熊本のJ初ゴールを挙げた高橋泰や黒木晃平の双子の兄・恭平が今季から在籍する等、所縁の深いチーム。苦しい現状を打破するために原点に立ち返らなくてはならないという意味でも、これ以上の相手はない。平日のナイトゲームで天候の予報も優れないが、1ヶ月ぶりの、そしてホームでの今季初となる勝利のための舞台は整った。あとはその上で、やりたいことを表現するだけだ。

以上

2013.04.16 Reported by 井芹貴志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着