サポーターからの大ブーイングも受けて当然だろう。それだけ徳島の出来は悪かった。攻撃はほぼ全く見せ場を作れず、守備も不安定さが常に漂う状態…。少々厳しい表現ではあるが、この一戦のチームには勝てる要素が皆無であったとやはり言わざるを得ない。
その戦いをまず攻撃面から振り返ると、何より徳島には前へ出ていく勢いが感じられなかった。ボールを奪った直後の切り替えの時も、サイドへボールを散らした時も、そこからの選択はほとんどが平行か後方。仕掛けのスピードを上げる縦や斜め前へのくさびは数えるほども入らなかったのである。また、繋ぎのパスがことごとく各駅停車とあって、余計に攻めは停滞したと言えよう。それによって栃木にブロック形成の余裕を与え、ボールを回しても単に持たされているような状態に。崩しの準備としての繋ぎにはまるでなっていなかったのが現実だ。
さらに付け加えるなら、思い切った走り出しをする選手がいなかったことも手詰まりに拍車をかけていた。もちろん闇雲に走っても意味はないが、それでもひとつのスプリントが局面をガラリ変えることもあるはず。にもかかわらず、徳島の選手たちは自分の位置で足元にパスをもらうばかりで、そうした積極的なトライを見せなかったのである。
次に守備面について触れれば、チームは前節の逆転負けを招いた距離感のマズさをはじめとする幾つかの問題をまだまだ改善出来ていなかったという他ない。事実それを物語るように、徳島の守りは序盤から後手の連続。開始早々バイタルでのパス交換を許してシュートを打たれると、そのすぐ後にも今度は左サイドを難なく破られて危ない形を作られかけた。
そしてその安定感を欠いた守備は、そうした冷や汗ものの場面に遭遇しても修正されず続いていってしまう。結果、75分、ついに我慢し切れず失点。たびたび奥深くへ入り込まれていた右サイドから折り返され、そのボールを再び拾われて中央を突かれると、抵抗できないままネットを揺らされてしまった。
こうして攻守どちらにもいいところがないまま敗れた徳島。しかも徳島はこれで3連敗、今季早くも5つ目の敗戦と、チームの置かれた立場は相当苦しいものになった。
とは言え、また次節は中3日ですぐにやってくる。そのうえ次節は四国ダービー。待ったなしに勝利が求められるゲームだ。それだけに下を向いている暇はない。選手たちは自身の中にある甘さや緩さを微塵も残さず取り払い、一寸の妥協も許さぬ厳しさをもって、それへの準備となる自らの立て直しを必ず早急に図らなくては。
さて対して勝利した栃木についてだが、こちらも決していい内容というわけではなかっただろう。実際パウリーニョを中心とした中盤の構成力はそれほど発揮できていなかったし、菊岡拓朗が効果的に前線へ絡む機会もそう多くなかった。しかし、近藤祐介が「立ち上がりから攻守ともに厳しくいけていた」と振り返っていたように局面での個々の強さでは間違いなく徳島を上回っていたし、それによって組織としてのゴールへ向かう勢いも出せていたと言える。だからこそ、前節のようなミスを繰り返すことなく、この戦いを制することが出来たのだろう。
そう考えれば、栃木にとって今節の勝利は、今後の浮上へのいいキッカケとなったに違いない。それゆえホームで迎える次節には十分連勝が期待出来よう。
以上
2013.04.18 Reported by 松下英樹
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