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【J1:第7節 磐田 vs 広島】プレビュー:今季リーグ初勝利を目指す磐田の焦点は“我慢”の時間帯。昨季王者に対し、粘り強く戦い抜くことができるか(13.04.20)

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ミニゲームのラストプレーでの出来事。クロスからゴールを許した川口能活は苛立ちを隠せない。ゴールネットから跳ね返ってきたボールを掴むと、そのままゴールに向かって思いきり蹴っ飛ばした。

今節・広島戦へ向けたトレーニングでの光景である。主力、サブをミックスさせたミニゲームではあったが、前節・清水戦で許したクロスからの失点と似た形。CKもクロスと見れば、今の磐田の“失点パターン”と言わざるを得ず、これにはここ数年で“丸くなった”と言われる守護神も珍しく感情を露にした。「チームとして攻撃ではチャンスを作れている。ポストに当たったシュートもあるし、正直アンラッキーな部分もあると思う。崩せていることは間違いない。ただ、守備の最後のところでマークがずれたり、相手をフリーにさせている。最後のところで体を張ること。やはり最後のところで防がないと…」(同選手)。

第6節終了時点で今季J1の未勝利クラブは4クラブになった。J1昇格組の湘南、大分に加え、川崎F、そして、磐田。磐田にとってリーグ開幕から6戦勝ちなしはクラブワースト。前節は清水との静岡ダービーに敗れ、敵地に駆けつけたサポーターにブーイングを浴びることになった。それでも、週明けの練習場にネガティブなムードはなかった。チーム屈指のイケメン・山本脩斗がなぜか坊主頭でピッチに登場(※セルフカットに失敗)。それにつっこむ選手たちには笑顔もあった。“いつも”と変わらぬ練習場の雰囲気である。だが、文頭に挙げた場面のように、勝敗の“肝”となる場面ではやはり選手の内なる思いがにじみ出た。そして、この試合の焦点もここにあるように思う。

ゲームキャプテン・山田大記が言う。「自分たちのサッカーをすることが勝利の近道」。昨季の王者・広島との一戦を前にしても、「苦戦は全く予想していない」と言いきった。『自分たちのサッカー』とは、すなわち攻撃で相手を上回るサッカーを意味する。ボールを保持し、パスワークで崩し、ゴールを奪う――。そういったスタンスを森下仁志監督が就任した昨季から貫いてきた。「広島は日本でトップクラスのコンビネーションを持つチーム。そのチームにコンビネーションで上回りたい」と話すのはその指揮官。磐田のサッカーにおいて“前提”となるのはあくまでも攻撃であり、ボールを持った場面こそが“自分たちの時間帯”と考える。

だが、その一方で『自分たちのサッカー』で押しきれない展開、あるいはそれをさせてもらえない展開となると“脆さ”が見え隠れする。前節の清水戦では序盤からボールを支配し、圧倒しながらも決定機を決めることができず、終盤の“我慢”の時間帯に失点。1-2で敗れた第5節・浦和戦では前半に1点を先制したものの、ほぼ全ての時間帯で相手にボールを支配され、後手に回ることに。そのことが終盤の逆転劇を引き起こしてしまった。開幕からここまでを振り返れば、けして悲観すべき内容ではない。だが、リーグ開幕から6戦未勝利という結果を“不運”で片付けることはできない。やはり、それ相応の理由はある。

そして、昨季王者にはその隙を見逃さない“したたかさ“がある。前節・鳥栖戦では両チームのシュート数の合計が『8』と均衡した展開だったが、エース・佐藤寿人がチャンスを確実にものにし2-0で今季公式戦ホーム初勝利。第5節・横浜FM戦はホームで1-3と競り負けたが、第4節・清水戦ではアウェイゲームながら相手の守備を軽快なパスワークでいなし、4-0と大差で勝利。ACLではすでにグループステージ敗退が決まっているが、その力に疑いの余地はない。接戦をものにする勝負強さも、派手なスコアで勝ちきる爆発力も持ち合わせている。
広島・森保一監督は鳥栖戦の監督会見で「日程もハードで、ACLも含めた5連戦の最後の試合がこの鳥栖戦だった。それでも選手たちはタフに、ホームでの初勝利を掴もうという気持ちを強く持ち、ハードワークを繰り返してくれた」と選手たちの頑張りを称えた。国内外のタフな連戦を乗りきり、オフを挟み、よりフレッシュな状態でこの試合に臨むことができる。前線の佐藤を頂点に高萩洋次郎、石原直樹らが絡む攻撃のクオリティーは磐田よりも上。この試合もアウェイゲームながらボール支配率で互角、あるいは上回ることになるだろう。

「僕らはチャレンジャーですよ」。川口は言う。チームとして目指すスタイルはある。だが、“我慢”の時間帯は必ずやってくる。広島相手となれば、なおのこと後手に回る場面、相手に完成度の違いを見せつけられる場面が増えるだろう。そこでいかに踏ん張ることができるか。無論、ここまで積み上げてきた攻撃で広島を押しきることも一つ。だが、磐田の今季リーグ初勝利の鍵は、『自分たちのサッカー』ではない部分にもある。

以上

2013.04.19 Reported by 南間健治
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