過去のJ2での対戦成績は徳島が4戦全勝、しかも1失点もしておらず、相性の良さが目立つ。とはいえ現在の両クラブは、波に乗り切れていないという点で似ており、順位も徳島の勝点13、16位に対して、鳥取は同11の17位。ともに下位脱出へのきっかけをつかみたい一戦だ。
鳥取は前節、G大阪とアウェイで対戦。3連敗、7試合未勝利、4試合連続無得点という苦しい状況での難敵との戦いだったが、集中力の高い守備で試合の主導権を握ると、後半に入って57分には、4試合連続無失点だった相手から先制点を奪った。75分に追い付かれたものの、1−1の引き分けで連敗を止め、今後への可能性を感じさせている。
ただ、勝利から遠ざかっている状況は変わっていない。「連敗は止めたけど、勝点3が欲しい。もう一度波に乗るチャンスができたと思うので、ガンバに引き分けた意味を、もっと大きくするためには、次に勝たなければいけない」と奥山泰裕も語ったように、大事なのは、むしろここから。前節は鳥取より下のチームも軒並み勝点を伸ばしたため、強敵相手の善戦に満足せず、今節をさらなる浮上の第一歩としなければならない。
徳島は群馬とアウェイで対戦した前節、鳥取と同じ57分に先制したまではよかったが、直後の58分から立て続けに失点し、65分までのわずか7分間に1−3とされ、最終的に1−4で敗れた。今季は3節まで1分2敗と出遅れた後、4節から3連勝と勢いづいたものの、7節からは3連敗と再失速。前々節、愛媛との四国ダービーを制して連敗を止めた矢先の逆転負けで、勢いが持続しない今季を象徴するような敗戦となってしまった。
前節の試合後、徳島の小林伸二監督は「守備ではクロスへの対応のケア、攻撃では相手の裏を突くことを狙っていったが、先制してから、その部分で甘さが出てしまった。得点後のキックオフから肝心のクロス対応がグレーゾーンになってしまい、相手に対してもう一つ寄せが足りなかった」と語り、リードした後の試合運びを敗因の一つに挙げたが、流れが良い時間帯にピンチや失点が多いのは、ここ数試合の鳥取も同じ。前節も、奥山のシュートがクロスバーに当たって2点目のチャンスを逃した直後、ミスが絡んで同点ゴールを奪われている。この試合でも、そうした点が得点や失点、さらに勝敗を分けるポイントとなるかもしれない。
また、厳しいプレッシャーを受けるとボールを前に運べなくなり、劣勢を強いられる点も両チームに共通している。双方がどれだけプレッシャーの強度を上げることができるかに加え、中4日と通常より短い間隔で行われるとあって、チーム全体で運動量を維持できるかどうか、試合までのコンディショニングもカギを握るだろう。
「今は他のクラブとの勝点差が小さいので、1つ勝てば視界が変わってくる」と小村徳男監督が語る鳥取の状況は、徳島にも当てはまる。この90分間で争うのは勝点3とはいえ、序盤から中盤へと進む今後のシーズン全体の流れも占う戦いとなりそうだ。
以上
2013.05.01 Reported by 石倉利英
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