NDスタではゴールデンウィーク唯一のホームゲームとなる。ホームの山形は暫定7位、アウェイ富山は暫定12位と順位は離れているが、その勝点差は1。勝ちきれるチームをめざす両チームが、内容を伴った勝利にこだわる一戦は13時にキックオフされる。
山形は3連敗のあと、直近の2試合では1勝1分。第3節から4連勝を記録するなど攻撃面で大きなポテンシャルを備えているが、それを発揮する回数や時間は減少傾向だ。前節・岐阜戦ではボール保持率こそ高かったが、引いて守る岐阜を十分に崩しきれなかった。前半の終盤にようやく先制点を挙げながら直後に追いつかれるという試合運びの拙さもあり、1-1と今シーズン初のドローで終わった。「少しのところで噛み合わなかったり、少しの動きだしが少なかったり、アクションをかける部分が少なかった部分がある。コンビネーションと意識の問題」と奥野僚右監督。パスで崩してゴールを割るのは、攻撃サッカーをめざすチームとしてクリアすべき課題のひとつだが、カウンターを受けるリスクと向き合いながら怯まずに攻め続けたい。
不安材料は、チームのコンディションだ。前節は負傷の作田裕次が欠場したが、今週のトレーニングでは前節の先発メンバーのうち3人が試合中やトレーニング中の受傷で別メニュー調整を行った。いずれも長期離脱は避けられそうだが、今節の出場は不透明な部分が多い。選手の入れ替えについて、奥野監督は「その試合で力を発揮してくれそうだという人が出ていく。全体で馴染んだコンビネーションか、それともフレッシュな部分か、その選択ということになってくるが、総合的にチームとして力の発揮できるほうを選んでいこうということ」とこれまでの一貫した方針を変えていないが、試合ごとに台所事情が厳しくなるなかでも、チーム全体の質を高め成長していく貪欲さが求められる。舞台は、ここまで4勝1敗と圧倒的な強さを誇るホームだ。
富山は今シーズン、ここまで連勝も連敗もなく勝敗表では○と△と●がほぼ交互に記されている。最近5試合ではホームで4試合戦うなか、勝利したのは唯一アウェイの第9節・岐阜戦のみとやや皮肉な結果となっているが、戦術の浸透とともにチームの地力を着実に上積みしている。個のレベルの差をそのまま内容に反映され0-4で敗れたG大阪戦を受けた前節は、東京Vを相手に西川優大のゴールで追いつき1-1のドロー。安間貴義監督は「いつも通りのプレーをするという点で修正ができ、なおかつ上積みされたと感じている。東京Vに対してもしっかりボールを動かしながら押し込むことができたのは彼らの成長の証」と1試合ごとに収穫を手にし、前進するチームを評価する。
その富山が現在直面している課題が終盤の失点癖だ。第7節・栃木戦では、61分とアディショナルタイムの失点でリードをひっくり返され、第9節・岐阜戦では、アディショナルタイムに舩津徹也のゴールで結果的に突き放したものの、84分と88分の失点で一時は2点差を追いつかれている。前節も0-0で推移した終盤、常盤聡にゴールを割られたのは76分だった。今シーズンの総失点13のうち、残り30分で喫した失点が10、そのうち残り15分では6。「終盤は(攻守の)スペシャリストが入ってくる時間。対応できる選手が出てくること、(改善のための取り組みを)続けることが必要」と安間監督。シーズンをとおして取り組むテーマになるが、勝点を着実に積み上げるためにも克服したい課題だ。
状況にもよるが、富山の守備はボールに対してしっかりスライドすることで局面の数的優位をつくり、ゴール前では3バックがしっかり引いたうえで、1ボランチの森泰次郎や両ワイドの選手も連動しながらスペースを埋め、マークの受け渡しを徹底している。山形が得点を望むのであれば、単発の攻撃では難しいだろう。ゴール前で潰れることで相手を引きつけスペースを空けたり、ワンタッチでボールを動かしたり、マークをはがす質の高い動き出しが必要不可欠だ。一方、山形の守備は相手のロングボールからピンチにつながるケースが多い。1トップ・西川はもちろん、トップ下・朝日大輔のゴール前へ潜り込む動きも見逃してはならない。
前回のホームゲームでは雪に見舞われたNDスタ。5月に入り、さすがに今節は雪の心配はないが、気温はまだ低めだ。スタイル確立をめざしながら勝点3を狙うミッションはやさしいものではないが、ここでその一歩を踏み出せるかどうか。両チームにとって、額面の勝点の価値以上に意味の大きい一戦になりそうだ。
以上
2013.05.02 Reported by 佐藤円
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