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【J1:第9節 鳥栖 vs F東京】プレビュー:共に連敗からの脱却を果たし、勢いをつけ始めた鳥栖とF東京。どちらの勢いが本物かを証明する一戦となる(13.05.02)

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一度、どん底を経験した人は、あらゆる苦難にも立ち向かうだけの力を蓄えている。連敗を経験したチームは、自らの課題を克服し進むべき方向を見据えている。まさに今節の組み合わせは、その両者の対戦となっている。連敗脱出後の戦いで得た結果が、偶然のモノなのか本物の勢いとなっているのかを見極める一戦となりそうだ。

鳥栖は、第5節から第7節までに3連敗を喫した。その前後の試合も引き分けているので、リーグ戦では5試合勝利から遠ざかっている。順位も13位まで下げてファンの不安が一気に増した。前線からのプレスは効かず、かけても単発で終わり、コンパクトさが消えていた。それでも、得点が取れているうちは敗戦までには至らなかったが、得点源のFW豊田陽平へのマークが厳しさを増すと、失点だけを喫する試合となっていた。鳥栖のサッカーができているかどうかは、連動した守備とタテへの早い攻撃が出ているかどうかでわかる。前線からのプレスでDFラインを高く保ち、奪ったボールをタテに早く送ることで相手陣内に複数人をかけることができる。当然のごとく、相手は守備に追われることになる。

一方のF東京は、第3節から第6節までの4試合をほぼメンバーも変わらずに戦っていたが、4連敗を喫し12位まで順位を下げた。F東京の掲げるパスサッカーを、相手の速いパスや運動量でリズムを崩されての連敗だった。F東京のサッカーは、傍目から見ていてもテンポ良いパスとそれを受ける前線の選手の自由な発想とポジショニングで成り立っている。相手ボールを奪取した瞬間に攻撃のスイッチが入り、複数のパスコースができる。このパスコースを作る動きの中には、DFやFWと言った固定されたポジション意識はない。ボールを中心に、複数の選手で複数のパスコースを作り、ボールホルダーがその時の最善のパスコースを選択する。F東京の速いパス回しと流動的な選手の動きで、相手は守備にほころびができることになる。

連敗中は、標榜するサッカーを行う時間が短かった両チームだが、やるべきことは見えていた。立ち直りのきっかけとなった試合が、鳥栖は第7節柏戦(ベストアメニティスタジアム)でF東京は第6節仙台戦(ユアテックスタジアム)だった。
鳥栖は、この試合で0−3と敗れはしたが、90分を通してやるべきことを最後まで出し尽すことができた。前述した通りの鳥栖らしいサッカーを見せて、次試合のヤマザキナビスコカップ予選第5節新潟戦への勝利とつなげることができた。
同様にF東京も仙台相手に1−2で敗れはしたものの、それまでの大宮戦、C大阪戦の単調な攻撃ではなくF東京らしいテンポで仙台を試合開始から押し込んでいた。その勢いを持って次試合で名古屋を3−1と打ち負かしている。

出来なかったものが出来るようになると決めるべき人にゴールが生まれる。そして、さらに勢いを増す。鳥栖はヤマザキナビスコカップでFW豊田陽平が決めた。サイドからのクロスに前線の選手が絡んでのフィニッシュだった。続く仙台戦でもMF藤田直之がFKを決めた。F東京は、名古屋戦でのFW渡邉千真、ルーカスであり、川崎F戦でのMF東慶悟、FWルーカスである。
お互いに試合の主導権を握る方法は異なっていても、決めるべき人が決めることで試合を決定づけている。今節の試合は、その勢いをそのまま相手に出すことができるのかが最大のポイントとなるだろう。過密日程での試合とはなるが、勢いをもって戦うことで勝点を上積みすることができるだろう。

文末になるが、もう一点だけF東京について語らせて頂く。F東京にはタイプの全く違うFWがいる。渡邉千真、李忠成、平山相太、ルーカスと名前を聞くだけでプレースタイルが思い浮かぶ面々である。どの組み合わせになるのかはわからないが、誰が前線に入っても彼らに合わせることができるパスワークは見事である。鳥栖ファンは、このパスワークを出させないハードプレスの方を見たいだろうが…。

真に実力があるものは、どんな状況に陥っても立ち直す方法(形)を持っている。
それがスタイルであり、標榜するサッカーである。
そこに共通の理解とお互いの信頼がなければ機能はしない。
サッカーは、ボールを失わずに相手ゴールまで運ばないと得点は生まれないスポーツなのだから。

以上

2013.05.02 Reported by サカクラゲン
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