リーグ戦も1/4の日程を終えてシーズンも中盤にさしかかりつつある。熊本のここまでの戦いを振り返ると、開幕から連敗スタートの後、3節のアウェイ松本戦で初勝利を挙げて4試合連続引き分けと地道に勝点を積み上げてはきた。しかしその後の3連敗で状況は一変。7試合勝ちなしと停滞し、順位は一時20位まで下降した。そうした厳しいなかにあって、前節の札幌戦は立ち上がりに先制されながら風上に立った後半に3点を奪って逆転勝ち。ボールのセットもままならないほどの強風の影響で思い描くサッカーは全く展開できなかったとは言え、ようやくつかんだ今季2勝目は、順位を上げたにとどまらず、「精神的にもプラス」(吉井孝輔)の効果をもたらした。勢いを持って短いスパンでの連戦で中位との差を詰め、また「前節の勝ちを無駄にしない」(吉井)ためにも、今節は重要な一戦である。
そうした状況で迎えるのは、4勝4分3敗で8位につける水戸だ。前節はセンターバックの細川淳矢が出場停止だったこともあり、ラインのズレを突かれる形で横浜FCに2点のリードを許した。それでも後半にたたみかけてドローに持ち込み、直近の4試合で負けなしと好調を維持している。総失点11は熊本(総失点14)と3点しか違わないが、8〜10節は3連続完封と、長年チームを支えてきたGK本間幸司を負傷で欠く状態ながら、代わってゴールマウスを守る笠原昂史や経験豊富な冨田大介を中心に、非常に安定した守備を見せている。
そして特筆すべきは、攻撃陣が充実している点。前節の試合に臨むにあたり、柱谷哲二監督は選手たちに向かって「2点取れるチームになっているから慌てるな」と話したそうだが、その言葉の通り、落ち着いて試合を運び実際に2点差を追いついてみせた。ゲームをコントロールする西岡謙太や決定的なパスを共有できる橋本晃司、さらに横浜FC戦で同点ゴールを決めた小澤司、前節デビューを果たした二瓶翼ら若い選手が台頭し、チーム全体が活性化。特定の選手に頼らずに複数の選手が得点を挙げている点からも、その成熟ぶりが見て取れる。いずれにしても、1人1人が労をいとわずに責任を持ってそれぞれの役割をこなしているのは、3年目を迎えた柱谷監督の指導の賜物と言えるだろう。
守っては堅く、多様な攻撃を繰り出す相手にどう対応するかが、熊本にとって大きな課題。その点について吉田靖監督は、「後手を踏むと相手の良さを出させてしまう」と話し、「先手を取るためにラインを高くして、コンパクトなゾーンを作ってスペースを与えない」ことと、「守備ブロックを固められる前に崩すよう、切り替えをはやくする」ことをポイントに挙げた。当然、ラインを高くすれば後方に大きなスペースができ、そこを衝かれるリスクも増す。「ボールをつないでくる形も裏を狙う形もあるので、両方に気をつけないといけない」と吉井が話すように、高いラインを保ちながらも背後をしっかりケアすることを忘れてはならない。スピードのある選手が飛び出す場面を作らせないためには、身体の使い方が上手い鈴木隆行を抑え、そこにボールを収めさせないよう供給源を断つことも重要。いい形でボールを奪って攻撃へ切り替えるうえでも、前線からの連動したプレッシングが鍵となる。
熊本はケガ人が相次ぐ状況を受け、先月末に3選手の新加入を発表。1日の練習で行った紅白戦ではさっそく、堀米勇輝と橋本拳人が主力組に混じってプレーした。合流して間もないため攻守における連携という面ではやや不安もあるが、トレーニングを見た限りでは2人とも今節出場する可能性は十分。「(熊本には)裏に抜けるのが上手い選手がいるので、タイミングを逃さないようにしたい。初ゴールが水戸からだったし、いいイメージがあります。アクセントになるプレーの回数を多くしたい」と堀米は話しており、チームにどんな変化をもたらしてくれるか注目したい。
柱谷監督も前節の試合後、「3点とって勝てるようにならないと」と述べており、水戸もアウェイとは言え、いい流れをキープするためにベースとなる戦い方を大きく変えることはないだろう。お互いに前線からプレスをかける展開になれば、それをはがすために相手の間に顔を出してボールを受けること、そのための細かいポジショニングを継続する運動量も勝負になる。くわえて、前節水戸と対した横浜FCの得点につながった場面がヒントになるように、状況によっては長いボールで押し込む、あるいは同サイドに集めてから逆へ展開する等、ピッチを広く使いながらボールを動かしてギャップをつくことも狙いのひとつ。そうした綻びを生じさせるべく“意図的に”相手を走らせること、またゴール前での思い切った仕掛けも、天候や気温によっては有効になってくるだろう。
双方の前節の試合の流れにも表れているが、仮にどちらかがリードする状況になった場合でも、守りに入って逃げ切ることを考えては形勢が逆転することが大いにありうる。となれば、必要なのは「相手より多く点を取る」という攻めの姿勢。開幕から2ヶ月、未だその瞬間が訪れていないホームスタジアムを歓喜で満たすには、自分たちの手で取り合いを制するしかない。
以上
2013.05.02 Reported by 井芹貴志
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