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【J1:第9節 川崎F vs 名古屋】プレビュー:修正したのは繋ぎのための意識。多摩川クラシコでの完敗を払拭したい川崎Fは堅守・名古屋を崩せるか(13.05.02)

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点差以上の完敗だった。敵地に乗り込んで迎えたF東京との多摩川クラシコは、スコアこそ0−2で終わるが、川崎Fはこれまで作ってきた攻撃の形をほとんど出すことができなかった。風間八宏監督はその理由の1つとして積極性の欠如を上げている。「もっともっと積極的に中盤から引き出して自分たちのリズムでやらないと」(風間監督)。

なぜ積極性をなくすのか、改めてF東京戦を振り返った大久保嘉人は「意識もあるけど、自信でしょ。ちょっともらうのが怖いなって思えばそれで終わりですからね」と述べつつ、2日間の練習を終え「みんな顔を出すようになっています」と成果を述べている。
川崎FがF東京にしてやられた最大の理由は、F東京の前線の選手による前からのパスをまともに受けてしまった部分にある。プレッシャーを掛けられた守備陣は、それでも前にパスをつなごうとするが、前方にパスコースが見当たらない。パスの受け手がボールをもらうことを怖がっていたからである。パスコースがなくても、相手の矢印(プレスに来る相手の動きを)を利用してその逆を突けば相手のプレッシャーは外せる。川崎Fの選手はそれだけの技術も経験も持っていた。しかしF東京戦においては、ボールを失うことを極度に警戒し、また周りの選手の動きの悪さもあり、バックパスが増えてしまった。こうした試合展開に加え、長いボールを使われたことで川崎Fの最終ラインは低くなり、距離感を大事にするべく前線の位置も低くなった。

F東京戦で浮上した問題の存在を認識した上で、その原因を潰す事が求められていたが、その点については風間監督は手応えを口にしていた。相手がプレスを掛けてきたとしても、それを臆せず外し、もしくはボールを引き出すための動きを周りの選手がする。そういうことの意識付けをもう一度行ったのだという。
「(前日に引き続き)今日もすごくいいトレーニングができている。そういう意味では、選手たちは着実に進化しているのは感じます」と風間監督は話していた。

パスで組み立てるサッカーを作ってきただけに、パスをもらう動きが重要ではあるが、そういう意味で名古屋という相手はやりやすいのかもしれない。F東京のように前からガツガツとプレスに来るタイプではないからである。もちろん、今季ここまでの川崎Fの戦いを研究すれば、激しいプレスが効果的だということはわかるはずで、名古屋がそうした守備を行う可能性はある。ただ、そうされたとしても、川崎Fも修正を施しており、ここまでに作ってきたパスワークが持ち味を見せることはあるだろう。
川崎Fが名古屋の前線からのプレスをかわし、相手陣内へとボールを持ち込んだとしても、そこから先の領域で名古屋は持ち味を発揮し始める。ダニルソンが控える中盤に加え、田中マルクス闘莉王と、増川隆洋の2枚のセンターバックが立ちはだかる堅牢な最終ラインが待ち構えているのである。この名古屋の守備における個々の強さは今さら書くまでもないが、いずれにしてもそう簡単には崩せないだろう。もし仮に彼らの壁を乗り越えたとしても、その先には楢崎正剛が控えている。リーグ最少ではないにしても、8試合で9失点の守備陣は十分に堅い。

昨季の等々力での試合は、名古屋を相手に攻め続けながら守り抜かれ、ワンチャンスを決められての敗戦だった。この試合でも、名古屋を押しこむ時間が長くなるかもしれないが、もし仮にそうなったとしても油断は禁物である。名古屋は玉田圭司や小川佳純といった速攻を得点に結びつけることができる選手が存在しているからだ。さらに絶対的な高さを持つケネディが復帰しており警戒は怠れない。高さを使ったヘディングシュートはもちろんだが、懐深くキープすることで時間を作り、2列目以降の選手を絡ませる攻撃は脅威である。なお、ケガで戦線を離脱していた藤本淳吾のメンバー入りも予想される。その能力の高さは周知の通りで、川崎Fにしてみればできればピッチに立ってほしくない選手であろう。

ちなみにケガからの復帰という点では、川崎Fは中村憲剛が3試合ぶりに帰ってくる予定だ。ボールを引き出すべく顔を出してパスを受け取り、パスを受ければ前を向いて前線ににらみを効かせられる選手である。そんな中村の復帰は各ポジションの選手から歓迎されている。たとえばセンターバックでの先発が予想される實藤友紀は「いるだけで相手にとっては嫌だろうし、自分たちにとってはいい影響があると思います」と述べている。またパスを受ける側の大久保は裏に抜ける動きに合わせたパスを期待していた。中村は今季、開幕前から体調不良やケガのため調子が上がらず未だにアシストを記録できていない。ただ、彼が本調子を取り戻せればある程度の試合内容は計算が立つ。そういう意味で、中村の復調ぶりがこの試合を左右する大きなポイントとなるのは間違いない。

いずれにしても3位以内を目標にシーズンをスタートさせた今季の川崎F。8試合を終えて15位に低迷する現状は想像以上の誤算である。そうした状況にもまだ選手たちの目は死んではいないが、それにしても勝ち星を1つずつ積み重ねていかなければ結束が失われてしまいかねない。だからこそ、今季負けなしの等々力で試合ができるのは幸運である。サポーターの後押しを得て、何としても勝点3が欲しい試合である。

以上

2013.05.02 Reported by 江藤高志
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