京都と対戦した前節(第11節)は3−3の引き分けに終わり、これで4試合連続勝利なし(3分1敗)の千葉。特に前節はスコアが0−2という苦しい状況になっても意気消沈することなく、前半のうちにMF米倉恒貴、FWケンペスの得点で追いつき、後半にはMF田中佑昌の得点で一時は逆転した。昨季は逆転勝利が1試合だけで、しかも0−2から逆転したことは一度もなかっただけに、右サイドバックながらも1得点1アシストと奮闘した米倉のプレーに象徴された勝利への貪欲な姿勢は頼もしかった。
その一方で、勝利を目前にしながらも試合終了間際にCK後の流れから失点した守備には大きな問題がある。セットプレーはゾーン守備の千葉は相手にプレースキックを直接合わされての失点は多くないが、セットプレー後の流れからの失点が目立つ。ボールがゴール前に入った時は自分の守備ゾーンの相手選手を見ているが、クリア後のボールが動くとボールに意識が行きがちで自分の近くの選手から目を離してしまい、相手選手にシュートを打たせてしまう。前節の流れの中での2失点目の場面でMF横谷繁をフリーにしてしまったのも、ボールは見ているが自分の周囲の相手選手を常に確認していないというミスから。また、千葉は相手の波状攻撃を受けないように大きくクリアしたり、ボールを外に出して流れを切ったりするのも下手で、この守備のままでは勝ちきるのは難しい。前節の愛媛はシュートの精度不足や相手GKの好守もあって無得点で敗れているが、得点機は多く作っている。千葉は連続勝利なしの4試合での失点数は6と多く、球際での激しさとともに『人』に対しても集中して厳しく行くことを徹底しないと今節も苦戦するだろう。
前節(第11節)は0−2で敗れた愛媛だが、長崎に打たれたシュートは相手に得点された2本だけで試合開始6分までのもの。反撃も決定力不足で実らず、今季2度目の連敗となった。また、第10節・徳島戦では25分にMFトミッチが負傷交代し、代わって入ったMF渡邊一仁がプレー時間わずか14分で負傷交代というアクシデントもあった中で、53分までに2失点。2失点目の直後にMF東浩史が得点したが、PKでさらに1点を失い、後半アディショナルタイムにDF浦田延尚が1点を返すにとどまって2−3の敗戦だった。
直近2試合は試合の入り方が悪く、エンジンのかかりが遅かっただけに、今節は今季就任した石丸清隆監督が選手の守備意識をかなり高めて試合に入ってくるだろう。千葉の米倉と対面する形の左ウイングバックのDF三原向平は豊富な運動量とスピードを生かした突破力が持ち味であるだけに、このサイドの攻防が勝敗を分けるポイントになりそうだ。
愛媛は3バックだが、千葉が第7節で対戦した群馬と同じように守備時は5バック気味でスペースを消してくると思われる。ボールポゼッションへの意識の強さと開幕前に鈴木淳監督が口にした「攻め急いでゴール前の精度が落ちることは避けたい」ということから、千葉はボールを左右に動かしながらじっくり攻めがちだが、それでは愛媛は守備態勢を完全に整えてしまう。前節の1点目や2点目のように縦方向や逆サイドへ速く大きくボールを入れる攻撃、3点目のMF佐藤勇人のスルーパスとそれに呼応した田中の動きのように相手選手の間をうまく突く攻撃も得点には必要不可欠だ。相手選手をゴール前から引き剥がすためにも、前を向けた時には思い切ったミドルシュートも欲しい。
前節終了時の順位は千葉が9位で愛媛が14位だが、勝点差はわずか1。6位の京都と千葉の勝点差も1で、今節の結果で順位は大きく変わる。今節は愛媛のマスコットの来場などイベントも多いとはいえ、ゴールデンウィークのさなかフクアリに駆け付けたサポーターのためにも千葉は今節こそ勝ちきりたい。昨季のJ1昇格プレーオフ決勝の悔しさを熱いプレーに、冷静な状況判断に込め、サッカーの楽しさを表現してほしい。
以上
2013.05.02 Reported by 赤沼圭子
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