名古屋の劣勢が続いている。リーグ3節から公式戦8試合負けなしで勢いに乗ったかと思われたチームは、リーグ7節からカップ戦含め1分3敗と勝ち星を得られずにいる。負けなしの8試合の中には昇格組3チームや下位に沈むチームがいたことから、一部では「相手に恵まれた」と揶揄する声もあった中で、F東京や鹿島、広島といった上位どころから勝点1しか奪えずにいるのは何とも厳しい現状。中2日で迎える仙台とのホームゲームでは、状況としても成績としても、勝点3が何としても欲しい。
だがこの仙台という相手が実に曲者。ここ2年間でホーム&アウェイともに1分1敗と4試合連続で勝利していない上に、置かれた状況が相手の背中を力強く押す。状況とは、AFCチャンピオンズリーグ敗退のことである。名古屋もまた過去3回の出場経験の中で味わった3度の敗退に対し、直後のゲームを力強い勝利で飾ってきた。それはアジアの挑戦が終わってしまった悔しさと、ここから国内タイトルを獲っていこうという切り替えへの強い意識がもたらしたものだった。5月1日のACL江蘇舜天戦後の仙台の選手たちのコメントは、ACL出場チームのプライドに満ちており、直後の試合となる名古屋での一戦に対するモチベーションの高さは最高潮であると容易に推測できる。名古屋は自分たちがそうであったように、「来季のACL出場権を獲る」という強烈な意志を持ったチームと、相対するわけだ。
迎え撃つ名古屋のチーム状態はそれほど悪いわけではない。確かに結果は出ていないが、ケネディの復調と田中輝希の成長、玉田圭司やダニルソンの好調などに加え、前節の川崎F戦では1ヵ月半ぶりに藤本淳吾も戦列に復帰。藤本は早速ケネディとのコンビネーションで得点を奪っており、プレー内容もアグレッシブで随所に彼らしさを表現するものだった。チームとしてもパスワークとケネディの共存という課題に対する答えも徐々に形になってきており、後は結果を出すのみというところまではきている。また今節では中2日の日程を踏まえると前節のスタメンから数人は入れ替えがあるかもしれないが、それを補うだけの戦力が揃ってきていることも好材料のひとつだ。予想としてはケネディやヤキモフスキーあたりがベンチスタートととなり、玉田や矢野貴章、藤本あたりのスタメン起用が濃厚といったところ。そして今季は最も疲労度を考慮されているボランチの2人のセレクトにも、手が加えられると考えられる。
今回、仙台は中4日という日程だけに、ベストメンバーを揃えて名古屋に乗り込んでくるはず。休養も十分とみるべきで、仙台の持ち味である激しい守備をベースとした試合運びに持ち込まれないようにするのが名古屋の第一目標だ。特にJ1屈指のボールホルダーに厳しい仙台のディフェンスをいかにいなすかは大いに注目したい部分で、ここは序盤から築き上げてきた組織だったパスワークの見せどころ。玉田、矢野、小川、そして藤本らの流動的なポジショニングとアイデアが、仙台を空回りさせれば勝機は膨らむ。
攻撃が上手く回転していけば、守備も安定するのが名古屋というチームだ。ここ数試合でミスからの失点が目立ってきたが、それも中途半端な攻撃と組織がノッキングするようなボールの奪われ方がそもそもの原因。シュートもしくはそれに準ずるきっちりとした攻撃の終わり方をすれば、名古屋の守備組織はそう簡単には崩れない。広島とのホームゲーム後にキャプテン楢崎正剛が「ミスを恐れてプレーしている」と言ったのは、そういった点への提言でもある。カウンターも得意な仙台に対してこの反省点は最も重視すべき課題であり、勇気を持ったチャレンジで攻撃に迫力を加えていけば、詰まるところ攻守の安定につながるということを肝に銘じておきたいところだ。仙台の狙いどころはまさしくそこであり、前に出る一方でカウンターへの備えは常に意識しなくてはいけないだろう。
今年のゴールデンウィークは芳しくない成績となってしまった両チームだけに、最後ぐらいは勝利で締めたいもの。しかも次節、名古屋は横浜FMと、仙台は大宮という今季のリーグを引っ張るトップチームとの対戦が待っており、できれば勝利で勢いをつけてその一戦に臨みたい。これだけの状況、状態が揃えば、ゲームが勝点3を巡る激しいものとなるのは必至。GW最後の豊田スタジアムでは、心身ともにタフな試合が楽しめそうだ。
以上
2013.05.05 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第10節 名古屋 vs 仙台】プレビュー:ACL敗退をバネに奮起する仙台を、劣勢の名古屋が迎え撃つ。心身ともにタフな勝点3の奪い合いに期待大!(13.05.05)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













