内容よりも結果を求めることは多々あることで、逆から見ると内容のまずさを結果で補うこともできる。それを是とするか非とするかは置かれている立場によって変わるし、見た者の価値観によって大きく左右されるだろう。得た結果から次に何を求めるのかで、その結果の評価は大きく変わる。
第15節・鳥栖対甲府の一戦は、前節から間がない中での試合で、お互いの指揮官の思惑が結果に微妙な影響を与えていたようだ。鳥栖は、前節のボランチ末吉隼也に代えて藤田直之を起用した。
「キャプテンとして、もう一度ここで流れをグッとつかみたい」(尹晶煥監督/鳥栖)という意図は十分にくみ取れた。セカンドボールを拾い、相手への厳しいプレスで味方を鼓舞し続けていた。
対する甲府は、出場停止の2名に加え、DF土屋征夫、MF山本英臣、水野晃樹ら経験ある選手を入れ替えて臨んだ。中3日でのアウェイ戦ということと、中2日で次節の試合が迫っているからだろう。
どちらが是か非かということではない。この試合を迎えるにあたっての、チームの置かれている状況によっての選択なのだから。
試合開始から鳥栖は慌てず攻守のバランスを取りながら試合を進めていた。前節の大宮戦同様に、DFラインは高く上げきってはいなかったが、ボランチの藤田直之と高橋義希が選手間の距離を調整しながら動くことで、甲府のパスの入れどころを消していた。甲府のパスが横に動き始めると、逆サイドの甲府の選手を意識しながらボールサイドに人数をかけて追い込んでいた。結果的に、甲府はボールを持たされていることになり、攻め手を欠いていたともいえる。
対する甲府は、鳥栖のストロングポイントを消す作戦だった。FW豊田陽平に入ってくるロングボールにはDF盛田剛平が競り、こぼれたボールにボランチがケアする形で鳥栖の自由を奪おうと試みていた。しかし、競るまでは作戦通りでも、競り負けていては意図とは違う流れになってしまう。鳥栖の中盤から前線にかけて、バラエティ豊かな攻撃を見せつけられることになった。それでも前半は、最後のところで体を張って守りきり、「決定的なチャンスを作らせてはいなかった」(城福浩監督/甲府)といえるだろう。
淡々と経過していた試合に変化が訪れたのは60分。藤田直之が右サイドでDF裏に走り出したMF野田隆之介に出した1本のパスからである。ボールを持って能動的に動く選手とボールと相手選手を見ながら受動的に動く選手とでは、前者が優位なことは誰もがわかっている。しかも、野田隆之介は中断期に「ボールを動かし続けることを意識してプレーしたい。動かすことで何かが起きるだろうし、相手もマークしづらくなる」と話していた。
野田隆之介が意識していたとおりに何かが起る。並走してたDF佐々木翔がタイミングを崩して倒れてしまったのである。残った守備側の選手は、GK河田晃兵1人のみ。河田晃兵はかわされた後に野田隆之介を倒してしまい“得点機会阻止”の反則(レッドカード)を取られてPKを与えてしまった。これを豊田陽平が決めて鳥栖が先制し、数的有利な状況で残りの30分を戦うことになった。
追い込まれた甲府は、4−3−2に変えて、攻撃的な選手を入れることで状況の打破を図った。しかし、ハードな日程と日中30度を超す真夏日の影響もあり、徐々に運動量が落ちて行った。81分に鳥栖のミスから1点を得ていたが、アディショナルタイムに入って高橋義希からのパスを受けた豊田陽平が決勝点を挙げて、鳥栖が“結果”を手に入れた。
下位に低迷する両チームにとって、この試合の結果は後々響いてくるだろう。前節の勢いをそのままに、この試合に懸けた鳥栖。日程的な状況を考えてメンバーを代えてきた甲府。お互いに次の試合が大事になる結果であることに変わりはない。長期にわたるリーグ戦では、勝点の積み上げが順位に反映してくるのであって、どこに勝とうが勝点3は変わらない。百戦錬磨の指揮官の次に打つ手が楽しみである。
得点と積み上げた勝点は減らない。だが、長いシーズンを戦ってくると、得失点差も微妙に順位に影響を与えている。失点も減ることがないのだから、『サッカーで勝って試合に負けた』のでは、サポーターも素直に喜べない。相手より点を多く取れば勝てるサッカーは、相手よりも失点が少なくても勝利となる。長くサッカーを見てくると、素直に喜べない勝利を見ることがある。目が肥えてきたのではなく、多様な価値観がついてきたのだろう。サッカーは日々進化している。ボールも人も動けば、サッカーは間違いなく動いている。
以上
2013.07.11 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
一覧へ- 開幕特集
- 開幕招待
- 国立招待
- J.LEAGUE ALL-STAR DAZN CUP
- 熱き一枚を手に入れろ
- ベイブレードコラボ
- 明治安田のJ活
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 移籍情報
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- NEXT GENERATION MATCH 2026
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
















