0-3と完敗を喫した前節の松本山雅戦を受け、熊本は今週、吉田靖監督の退任を発表した。リーグ戦を折り返して5勝7分11敗の19位と、成績が振るわず降格の危機が迫った状況を受けてのもので、事実上は解任である。シーズン途中の監督交代は熊本のクラブ史上初めてのこと。内部でS級指導者資格を唯一持つアスリートクラブ熊本の池谷友良社長が監督代行という形でチームの指揮を執ることになったものの、今回はあくまで暫定措置で、すでに来シーズン以降も見据えた後任のリストアップを始めているという。しかしながら、ただちに次の監督を選定して契約を結ぶには時間的にも資金的にも難しいのが実情。「長くやるつもりはない」と池谷監督代行本人は話しているが、今シーズンいっぱいはこの体制で進む可能性が高い。
チームとして今の苦境を乗り越えなくてはならないことはもちろんだが、「ただの監督交代とは訳が違う」と吉井孝輔が話す通り、発足からここまで9年、現場でも会社運営でもクラブを牽引してきた池谷氏の現場復帰は、熊本にとっては言わば最後の手段。つまり、クラブ運営の面を含めても非常にリスクが大きいにも関わらず、この決断を下さざるを得ないほどの窮地に置かれていることを意味する。そんな節目でホームに迎えるのが、JFLでも鎬を削り、ともに2008年にJ2入りを果たした岐阜だということには不思議な巡り合わせを感じるのだが、今節はとにかく、相手がどこであれ、「少しでもチームが上向く兆しが見えるゲームにしないといけない」(福王忠世)一戦だ。
とは言え、ここまで4勝5分14敗の勝点17と、開幕から最下位を抜け出せないでいる岐阜にとっても、やはり落とせない試合であることに変わりはない。17〜21節の5試合は3勝1分1敗で勝点10を加え上向くかにも思われたが、前々節のG大阪戦では8失点するなど、熊本同様に失点の多さが顕著。特に前節は、G大阪戦での大量失点を受けて両ワイドも下がる形でスペースを消す対応を見せたが、そのことも影響して強みであるスピードを生かした攻撃を展開できなかった。前節はプレッシングに積極性を取り戻した後半から流れを引き寄せていること、また熊本のここまでの戦いや失点の仕方を踏まえても前節のように引いてブロックを作るとは考えにくく、樋口寛規や染矢一樹、さらにウイングバックの杉山新などの速さを生かす方策を練ってくるだろう。
熊本としてはそうした岐阜の狙いを汲みとった上で、さらに相手の裏を衝きたいところ。攻撃では3バックの背後や脇をうまく使うこと、守備では2人のシャドウも含めた3人の流動性を抑えることが大きな狙いになるが、それにあたって簡単な約束事を作り、プレーの選択肢に優先順位をつけて共有しようと、池谷監督代行からも選手たちに話したという。しかし監督が代わったからと言って、すぐに大きな変化が現れるわけではないし、戦い方や目指すサッカーを大きく方向転換するわけでもない。池谷監督代行が重点を置いたのも、具体的な戦術面のことより、メンタルに関することの方が大きかったようだ。
「あれもこれもやりたいというのが本音だけど、何しろ時間がない。メンタルを整理して強い気持ちにリセットできるかが大きなテーマでしたね。クラブ理念を理解して、赤の魂を持って100%の力を出したと胸を張れる戦いができているのか、そのことを自問自答しながらプレーして欲しいってことを言いました。もうひとつは、ゲームの中ではうまくいかないこともあるのが当たり前だと。それをストレスに感じないで、そこを少しでも共通させるために、だから要求したり主張したり、コミュニケーションが大事だと」(池谷監督代行)
実際、トレーニングでは可能性を探る意味も込めて3バックのシステムも試し、また今までゲームに出場していない選手を紅白戦で主力組に入れるといった刺激を与えた。そのこともあってか選手たちの間では今までより声が出ていた印象はある。先発には一部変更があり得るが、システムに関してはおそらく今までと同じ4-4-2で臨むことになりそうで、時間帯や状況によってメリハリを効かせるなかでも、吉田前監督が取り組んできたポゼッション主体の攻撃的な姿勢が軸にあることは変わらない。
キャプテンの吉井は言う。「個人的にも、使い続けてもらってきた中で結果を残せず、チームをまとめきれなかったという部分でも責任を感じている。でも結局、戦うのは自分たち選手。1人1人が『チーム、クラブのために』ということを考えてプレーすれば、この壁は乗り越えられると思う」
試合と同じように、起きてしまったことはどれだけ振り返って悔やんでも覆らない。だが重要なのは、そこからどうリカバーするかというリバウンドメンタリティ。チームとして、そして1人1人がプレーヤーとしての真価を問われる。果たされなかった吉田前監督の思いに報いるためにも、胸を張れる戦いをピッチで見せてもらいたい。
以上
2013.07.13 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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