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【J1:第16節 名古屋 vs 鳥栖】レポート:2度のリードを守れずも、執念で勝ち越した名古屋が連敗阻止。鳥栖は善戦も“試合の決定力”の差に悔しい敗戦(13.07.14)

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試合結果は名古屋が執念の勝ち越しゴールを決めての勝利。しかし試合後の選手たちは双方とも浮かない表情でスタジアムを後にした。勝った名古屋は内容に納得することができず、負けた鳥栖は勝点1を得るチャンスを逃した悔しさからだった。名古屋のストイコビッチ監督曰く「今日は鳥栖が支配した」ゲームは、鳥栖の尹晶煥監督が悔やんだ「些細なミスから集中力を失い、失点した」ことで、内容と結果が逆転する90分となった。

試合開始前から雨が降り出した瑞穂陸上競技場で、先手を取ったのは鳥栖だった。アウェイの常道ともいえる自陣に引いて守る戦い方は選ばず、「自分たちのサッカーは前からプレッシャーをかけてボールを奪う」(水沼宏太)という持ち味を敵地でも前面に押し出すことを選び、これが大きな効果を挙げた。DFラインからのビルドアップ、特にロングフィードを攻撃の起点としたい名古屋は鳥栖のプレッシングでその狙いを封じられ、立ち上がりの攻撃が完全に沈黙。最初の得点機は11分まで待たなければならず、その間に鳥栖に2度の決定的なチャンスを作られるなど、試合序盤の主導権を握られた。

しかし、この日の名古屋はしたたかだった。その「最初の得点機」から先制点を奪い、試合の流れを引き戻す。11分、小川佳純が狙った直接FKをGK赤星拓が弾き、こぼれ球を拾った田中隼磨のクロスもクリアした鳥栖だったが、そのクリアボールに対する名古屋の反応が秀逸だった。浮き球を着実にトラップした阿部翔平が意表を突くループ気味のフィードを前線に送ると、セットプレーで上がっていた 田中マルクス闘莉王が藤本淳吾へつなぎ、藤本はDFを引きつけてケネディへスルーパス。フリーで走りこんだケネディが冷静に流し込み、左→右→中央と連続した波状攻撃を得点という形で完遂した。

ここから試合の流れは一気に名古屋へ傾いたが、その後数度の決定機を決められなかったこと、そして先制前と変わらずセカンドボールが確保できなかったことで、アウェイチームに反撃の余地を与えてしまう。愚直に前に出続ける鳥栖は、その隙を逃さなかった。

39分、左サイドで金民友からのパスを受けた野田隆之介がポストに入った池田圭とのワンツーで中央に進出し、最後は「狙うより思い切って打ちました」という低い弾道のシュートが名古屋のゴールに突き刺さる。まずは前半をリードして終えたかった名古屋にとってはショックの大きい失点であり、取られた時間帯としても鳥栖を勢いづかせるに十分。事実、この後にも41分、46分と鳥栖は決定機を迎えており、楢崎正剛のビッグプレーがなければ前半で1−3となっていてもおかしくなかった。前半の勝者は内容からすれば鳥栖。それは11対4というシュート数にも色濃く表れていた。

後半へ向け、名古屋のロッカールームでは指揮官の猛烈な檄が飛んでいた。「このままでは負けるぞ!!」。強い危機感の表れは、間違いなく前節の逆転負けを踏まえてのものだろう。前節だけでなく、今季はリードをキープできずに勝点を落とす試合を何度も繰り返してきた。田中隼が「今日の試合は勝点3がマストだった」と語ったように、順位表の上でも落とせない一戦に名古屋の選手たちもまた危機感を持って後半へ入ったことは想像に難くない。その気持ちが、後半の勝ち越し劇へとつながったことは間違いない。

勢いづく鳥栖と、巻き返したい名古屋。後半は両チームの思いがそのままアグレッシブな展開につながった。開始3分で名古屋の藤本が2度の決定機を得れば、その2分後には鳥栖の池田も惜しい飛び出しを見せる。61分には名古屋・田中隼のシュートを玉田圭司がゴール前で巧みに方向を変え、逆サイドに流し込んで勝ち越すも、2分後の63分に鳥栖も豊田陽平が難しいヘディングシュートを沈めて再び同点。名古屋は得点後すぐの失点という今季の悪癖をまたも露呈してしまう。

だが、この日の名古屋はそのままでは終わらなかった。80分、小川に代えてダニエルを投入。闘莉王をFWに上げる合図である。直後のセットプレーは不発だったが、次の攻撃で早くも効果は出た。ダニルソンのロングフィードをDFと競り合いながら胸で落としたのは闘莉王。ボールの落下点に飛び込んだ藤本が自身では「プロ初だと思います」と語ったヘディングシュートを気迫で叩き込み、3度目の正直で決勝点を手に入れた。先制点をアシストしながらも失点に絡んでいた藤本は「2失点目は自分のパスミスがきっかけ。その後は取り返すしかないという気持ちで戦っていた」と心境を吐露。彼だけでなく、この日の名古屋の選手たちには「絶対に勝つ」という気合が満ち満ちていた。勝利はその思いの強さが呼んだともいえる。得点後、名古屋はすぐさま闘莉王を下げて5バックで守備に専念。交代出場していた矢野貴章などは時間稼ぎのボールキープをきっちりこなすなど、チームとしての意思統一も整っていた。鳥栖の水沼宏太は「自分たちでセカンドボールは拾えていたし、球際でも強く行って自分たちのボールにしていた。でも名古屋の個の力というか、一瞬で試合を決めてくるという部分で、自分たちの弱さを見せてしまいました。本当にそこだけだった」と悔やんだが、確かにこの試合の大部分を支配し、動かしたのは鳥栖だった。名古屋はセットプレーを中心としたストロングポイントに活路を見出し、泥臭く勝利をもぎ取った。

ゆえに名古屋の選手たちはどこか納得いかない表情のままだったのだ。闘莉王が「勝っただけ」と言えば、楢崎や阿部は「失点の癖を何とかしたい」と苦笑するばかり。FWの玉田ですら「得点後すぐに失点する、自分達の悪い部分が出てしまったことについては今後、修正しなければいけない。今日で終わりにしたい」と語るほどだ。勝つには勝った。が、手放しで喜べない。未だ12位と下位にあるチームにはややぜいたくな悩みかもしれないが、強豪と呼ばれたチームの選手たちは勝つだけでは満足できない。収穫は2トップがともに得点したことと、追いつかれても引き離す強さを見せられたこと。次節のアウェイ大分戦では完勝劇を演出し、笑顔を浮かべる名古屋の選手たちを見たいものだ。

以上

2013.07.14 Reported by 今井雄一朗
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