4バックの鹿島に対し、柏が3バックを敷いたのは意外だったが、ゲームが始まってみると柏の狙いは鮮明にピッチに投影される。鹿島の2トップ、ダヴィと大迫勇也に対し、鈴木大輔、近藤直也、増嶋竜也の3枚をぶつけ、1枚が余る形で鹿島の強力な攻撃を抑えにかかる。さらに柏の両ウイングバックがジュニーニョと遠藤康をケアし、田中順也、工藤壮人、クレオの3人で鹿島の最終ラインへプレスを仕掛け、ビルドアップの出どころを消していく。そう守備のタスクをはっきりさせることで柏はゲームの掌握を狙った。
しかし主導権は鹿島が握った。起点となるべき両チームのダブルボランチが、お互いの持ち味を相殺し合うため、攻撃の糸口はそれ以外の選手の動きということになるが、前線に張り付く柏の3トップとは対照的に、ダヴィと大迫は頻繁に降りて味方から縦パスを引き出していた。体が強く、キープ力の高い2人は、後方からDFの圧力を受けてもがっしりと受け止め、良い距離感を取るジュニーニョ、遠藤と絡んで柏の守備を引き剥がそうとしていく。その1つ1つの攻撃に関しては柏の守備に対応された感はあったが、1つの攻撃で崩し切るというよりも、一連の鹿島の攻撃はボディーブローのような効き目を果たしたのだろう。時間の経過とともに柏のラインが徐々に下がり、鹿島がより高い位置で攻撃を展開し始めると、前半終了間際には掛け続けた圧力が結実する。右コーナーキックのセカンドボールから、遠藤のクロスを大迫と中田浩二がニアですらし、ファーに流れたボールをダヴィがヘッドで押し込む。42分、鹿島が先制した。
鹿島には前々節まで“失点の多さ”という課題があったが、この試合ではそれを微塵も感じさせないほど統率が取れていた。帰陣が速く、即座にコンパクトなブロックを作り上げるため、スペースを見出せない柏はビルドアップに苦しみ、縦パスが入らず、サイドに追い込まれてしまう。したがってリスクを冒して前に出ていかねばならない柏に対し、その背後を鹿島がカウンターで突くシーンが増えるのは必然。48分のカウンターはまさにその典型例だ。ジュニーニョ、ダヴィとつないだ完璧なカウンターだったが、フリーの大迫のシュートは枠外に逸れる。この決定機で2−0にできなかったことが、後々響くこととなる。
暑さの影響で運動量が下がり出す。それに伴い、コンパクトだった鹿島の陣形にスペースが生じ、「フリーになって攻撃を組み立てられるようになった」(茨田陽生)というように柏のダブルボランチ、茨田と大谷秀和がわずかながら自由を得たのは、柏が流れを変える上では大きなポイントだったのかもしれない。事実、67分の同点のシーンは、ボランチ2人が鹿島の守備に穴を空けたものだ。田中の落としを、茨田が裏へ抜け出したキム チャンスへスルーパス。ファーに流れたクロスを拾った工藤が折り返し、今度は大谷がシュート性のパスを送る。ゴール前にいたクレオが詰め、スコアをタイに戻した。
左サイドを抜け出したジュニーニョからグラウンダーのクロスが入り、ともに大迫があと一歩詰め切れずにゴール前をボールが横切るという、鹿島には2度の決定的なチャンスが訪れた。真夏の連戦、そしてべとつくような湿気……。お互いに消耗度が激しく、陣形が間延びし、守備が多少ルーズになるのは仕方がない。こうなると訪れたチャンスを確実に決め切れるかが勝負の分かれ目になるが、その紙一重の部分で勝利をもぎ取ったのは柏の方だった。
田中曰く“必殺仕事人”の太田徹郎。前節の湘南戦でも途中出場で流れを変えた男が、「キックフェイントは狙い通り。直接上げるよりもファーに揺さぶった方がいいと思った」と高精度のクロスを送り、ファーにいた田中の折り返しをクレオが頭で押し込み、柏が最後の最後で逆転に成功した。数少ないチャンスをモノにしたクレオの2ゴールで、柏が今シーズン2度目の連勝を飾る。
技術・戦術以上に、フィジカルとメンタル面が大きく左右しそうな真夏の連戦。2試合連続の逆転勝利で連勝を飾った柏にとって、チームを上昇気流に乗せる大きな意味合いを持つのはもちろんのこと、敗れた鹿島も攻守とも決して悲観するような内容ではなく、結果こそ対照的ではあるが、双方ともタフに90分間を戦い抜いた点に関しては等分に称えたい心境である。こうした環境下でも力を発揮できる技術と戦術の高さ、フィジカルとメンタルの強さ。両者の高い実力を裏付ける激戦だったと言える。
以上
2013.07.14 Reported by 鈴木潤
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