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【J2:第27節 福岡 vs 東京V】レポート:再び喫したアディショナルタイムの失点。福岡は勝利を目前にしながら勝点3を失う。(13.08.05)

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福岡の勝利は目前だった。前半は完璧とも言える内容で東京Vを圧倒。2点のリードを奪って後半に折り返した。後半になると、これまでの試合で何度も見られたように、前への意識が薄れ、相手を受ける形になり、その結果、1対1の局面で後れをとって後手を踏むというチームの課題が、この試合にも現れた。それでも、1点を返された後の63分に石津大介に代えて岡田隆を投入すると、東京Vの反撃を抑えることに成功。東京Vは66分に決定機を作った後は88分までシュートを打つことが出来なかった。逆に、この間、手元のノートに記された福岡のシュートは4本だった。ゲームには波があり、思うようにならない時間帯もあれば、どんな試合にも必ず課題は存在するが、そうした波と上手く付き合いながら、福岡は勝利に向かって確実に足を進めていたように見えた。「我々は90分間、素晴らしい試合をしていた」というマリヤン・プシュニク監督の言葉は正直な感想だろう。

だが、最後の最後で流れが変わった。結果として、そのきっかけになったのは89分の坂田大輔と尾亦弘友希の交代。プシュニク監督の指示は守りに入るというものではなかったが、明らかに、この交代でチームは混乱した。特に左サイドの混乱ぶりは顕著で、そこで生まれた隙を東京Vに確実に突かれた。鋭い弾道を描いてゴールに突き刺さった森勇介のシュートは素晴らしいものだったが、そこに至るまでの経緯と、ペナルティエリア内で森をドフリーにしてしまったところに大きな問題があった。同点となってからは、ともにゴールを目指すめまぐるしい展開となり、最終的に東京Vに逆転ゴールを許した。

福岡が、リードしながらアディショナルタイムの失点で勝点を失ったのは、これが5試合目(3分2敗)。それ以外の試合でも後半に押し込まれることが多く、後半をどのように過ごすかは開幕以来の課題でもある。前からプレスをかけ続けるスタイルは体力的な負担を強いられるが、必ずと言っていいほど、後半になると相手を受けてしまう戦いに変わってしまうのは、それだけの問題ではないだろう。「今までにもアディショナルタイムに決められて引き分けたり、負けてしまった試合があり、全然成長していないということ。もう1回、そういうところから見直していかなければ上には行くことはできない」とは堤俊輔の言葉だが、アディショナルタイムでの失点だけに目を奪われるのではなく、そこに至るまでの過程で、何が、前に出られなくなる状況を作り出しているのかを、チームとして見つけなければならない。

一方、「勝ったからOKではなく、何故そうなったのかを考えないといけない。必死にプレーしていたのか。それが分からない限り、いつまでたっても変わらない」と高原直泰が振り返ったように、劇的な逆転勝ちをしたとは言え、東京Vも大きな問題を抱えていた。とにかく前半が悪すぎた。ボールに対するアプローチの速さで完全に福岡の後手を踏み、1対1の局面ではことごとくボールを奪われた。全体的に前がかりになる布陣は、時折チャンスを作るものの守備への意識が希薄。ワンボランチの鈴木惇の両側に出来るスペースを福岡に自由に使われ、何も出来ないままに2点を失った。「こういう試合はそうそうあるものではない。カッコつけてやるんじゃなく、泥臭くても、ひたむきなプレーをしないといけない。そういうところが、このチームはまだまだ足りない。それを変えていかないと、これからも順位は上がっていかない」。高原の厳しい言葉はチームを思ってこそだ。

さて、この試合を終えて福岡は7位。東京Vは8位。ともに6位以内を狙える力を有しながら、あと一歩が足りずに中位グループにいる。勝利した東京Vも、敗れた福岡も、その足りない一歩が何であるのかが顕著に表れたのが、この日の試合だった。勝利の喜びに浸ることなく、あるいは、敗戦の悔しさに下を向くのでもなく、いかにして自分たちが持つ課題と向きあい、どのようにして自分たちを変えることが出来るのか。それが両チームに与えられたJ1昇格への鍵と言える。残り試合は15。決して多いとは言えない試合の中で、両チームがどのように変化するのかが注目される。

以上

2013.08.05 Reported by 中倉一志
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