富山が第17節・徳島戦(6月1日)以来となる10試合ぶりの勝利を収めた。対札幌初勝利、第9節・岐阜戦(4月17日)以来の3得点、FW三根和起の自身J初ゴールなど吉事が一度に訪れてスタジアムが沸いた。
両チームの明暗を分けたのは決定力。富山がチャンスを得点につなげ、札幌は決め切れなかった。富山にとって今季ずっと課題だった最終局面の勝負で今日は対戦相手を上回った。クロスにニアサイドで合わせた勝ち越しの2点目、「ヘディングは苦手だった」という三根が頭で決めた3点目は日々のトレーニングが結晶したものだ。チームとしての取り組が報われるという最高の形で重かった勝利への扉が開いた。
富山は最終ラインの前にトリプルボランチを配する[3-5-2]のフォーメーションで臨んだ。好調な札幌の攻撃を防ぐため守備面を優先した策だった。だがそこには今季初先発させたFW黒部光昭の守りへの負担を軽くする、守って攻めにも打って出て行ける機動力抜群のMF陣を生かすという狙いもあった。これが的中し、守り以上に攻撃面でシステムが機能性を発揮するシーンが目立った。
黒部が前線で体を張って攻撃の起点となり、ボランチの朝日大輔と舩津徹也が長い距離を走って攻め込む。札幌は後方からノーマークの状態で飛び出してくる2人への対応に苦労した。舩津は「最近は攻め切れずにカウンターを招くことが多かったのでまずは守備が重要だった。しかし攻撃時には(ボランチの)3人のうち2人が前に出ていこうと意識していた」と話した。
今週のテーマだった攻撃の仕掛けやシュートへの積極性、勝利への執念も開始直後からプレーに表れていた。9分に舩津がロングシュートを放ち、13分には朝日がGKのキックをブロックしてゴールを脅かす。21分には黒部がボレーシュートを試みた。そして25分、先制点となるMFソ・ヨンドクの30m超えロングシュートが決まった。チームはその後もアグレッシブさを失わず、前半終了直前にはソのクロスを黒部がオーバーヘッドで合わせて追加点を狙った。
後半、攻勢を強めた札幌に同点に追い付かれたが、今度は安間貴義監督が自らの采配で“積極性”を貫く姿勢を示した。同30分、攻撃のカードの中から「ギラギラしたものを持っている選手」としてFW三根和起とFW木本敬介をチョイスして2枚代えを敢行。これが当たって同32分に木本の縦への仕掛けとクロスから舩津が勝ち越し点を挙げた。さらに投入したのがJリーグ初出場となる地元出身のDF舘野俊祐。左足からのアーリークロスやミドルシュートが得意な彼を加えることで、攻撃的な姿勢を持続しながらゲームを終わらせようとした。すると舘野は自らのプレスでボールを奪うとそのまま攻め上がってミドルシュートを放った。これでCKを得て相手を押し込むと同41分に三根がCKに飛び込んで勝利を決定づける3点目を奪った。
札幌は富山と同等かそれ以上の数の決定機をつくった。新加入のFWフェホが初先発し、前線へシンプルに送る攻撃を軸に富山の16本を上回る18本のシュートを放った。前半19分に左サイドを崩し、クロスをMF内村圭宏が頭で合わせたのが最初のチャンス。リードされてからも同39分にMF三上陽輔がミドルシュートを放ち、同40分にはフェホがスピードで抜け出してGKと1対1になった。しかし、この3度の好機はいずれも富山GK守田達弥の好セーブに阻まれた。
後半は17分に三上のミドルシュートのこぼれ球に内村が詰めて自身4試合連続となる得点で同点に。同26分にはMF荒野拓馬のクロスから三上が逆転機を迎えたがシュートは上に外れた。3連勝を逃し、6位・徳島との勝点差は3から6へと開いた。
以上
2013.08.05 Reported by 赤壁逸朗













