8月4日の熊本戦で、ベンチ入りメンバーに名を連ねた辻正男。「ちょうど3カ月前でしたね」と振り返ったのは、長期離脱のきっかけとなった、5月4日のことだった。
練習中に右大腿二頭筋の肉離れを起こし、ピッチに倒れ込んだ。翌日に出発するアウェイでの富山戦のメンバーに入る予定だったが、もちろん不可能に。しかし、さらにアクシデントは続いた。
数日間は自宅から出るのも難しくなることを見込んで、練習からの帰りにスーパーマーケットに立ち寄り、スタッフと一緒に食料などの日常品を買い込んだ。ところが支払いを終えた後、財布を置き忘れてしまったのだ。「ボーっとしていて…」。後日、財布は無事に見つかったが、入っていた現金1万数千円は抜き取られていた。
「いろいろな意味で、ここが『どん底』だと思うので、頑張ります」。努めて前向きにリハビリに取り組んではいたが、一度は戦列に復帰しかけたところで、再びリハビリを強いられることもあった。大変な道のりだっただけに、今回のメンバー入りは、“ようやく”の思いが募るものだった。
ただ、そう思ったのは本人だけではない。辻の復帰は、ファン・サポーターにとっても“ようやく”だったのだ(次回に続く)。
2013.08.06 Reported by 石倉利英













