残り試合も今節を含め15試合と、リーグ戦も終盤に差し掛かろうとしている。夏本番の暑い８月にどれだけの勝点を積み上げられるかは、長いリーグ戦の終わりを笑って迎えるか、泣いて迎えるかに大きく関わってくる。
前節を終えた時点で、自動昇格圏内である２位との差が６の３位・千葉と、最下位との差が４の20位・北九州との戦いは現在の順位に関係なく、どちらにとっても勝点３が欲しい試合だ。

ホームの北九州は６月22日の鳥取戦で勝利して以来、勝ち星がないまま７月を終えてしまった。アウェイのＧ大阪戦で勝点１を拾ったのは大きかったが、その後のホーム２連戦の京都、松本戦では試合終盤に失点を許し、２試合合計で勝点３を落としてしまった。柱谷幸一監督が話す「良い試合をしているのに、勝点を落としてしまった」格好になってしまったのだ。試合終盤に失点してしまって負ける（もしくは引き分ける）のは、必ずしも守備陣だけの責任では無い。良い流れの時に追加点を奪えていれば流れが変わっていたと一番実感しているのはピッチ上の選手たち。エースの池元友樹も「自分たちがボールを保持している時間で決めないといけない」と、松本戦後に反省の弁を述べている。

月が変わった８月の初戦だった前節アウェイでの横浜FC戦。前半はお互いがシュート２本ずつと静かな展開で終わったが、後半に相手が前掛かりになった所を見逃さなかった北九州が、ショートカウンターから森村昂太のゴールで先制し、その7分後には課題だったセットプレーから、チーム内で1番身長の低い（公称170cm）キム ドンフィが頭で合わせ追加点。その後退場者を出し10人になった横浜FCの捨て身の攻撃で1失点はしてしまったが、そのまま逃げ切って「みんな同じ絵を描けた、バランスの取れた良いサッカーが出来たと思う」（柱谷監督）と、完勝に近い勝利を７試合振りに挙げた。そして今節はホームで千葉との対戦を迎えるわけだが、北九州のサポーターの中には思い出したくない方もいるだろう。前回の千葉との対戦は1−6の大敗だったのだ。さらにここまでの対戦成績も1勝6敗と分が悪い相手でもある。しかし、ここ数試合、チームとしての守備に手応えを感じるキャプテンの前田和哉は「前節と同じ様に、しっかりとした守備が大事。90分間良いリズムで戦う為にも、良い入り方を意識したい。ウチらしい戦い方が出来れば、千葉であろうと必ず勝つチャンスが来るから」と、千葉の攻撃陣を抑える自信を口にしていた。

対する３位の千葉は、ここ10試合で7勝と好調をキープしている。その10試合で19得点を奪っているが、その内現在J2リーグ得点王のケンペスは3得点しか挙げていない。残りの16得点は8人の選手が奪っており、攻撃ではどこからでも点が取れている。また、失点も7と少なく守備陣の踏ん張りも安定した戦いの要因だ。1トップのケンペスがボールを引き出しながら、2列目の大塚翔平、兵働昭弘、谷澤達也らがボールに絡み相手ゴールを襲う攻撃は、相手守備陣に脅威を与えている。だが、北九州がもっとも警戒しているのは右SBの米倉恒貴だ。「あんな縦に縦に来るSBはいない。しっかり2対1を作ってケアしたい」と、対峙する北九州の森村も、米倉を封じ込める事で千葉の攻撃力を半減させたいと話す。
米倉は前節の水戸戦でもゴール前に顔を出し、ヘディングシュートを決め、チーム内でケンペスに次ぐ5ゴール。9つのアシストと並んで、ゴールでもチームを引っ張っている。元々開幕からの5試合をSHで出場した米倉が、SBとして起用されたのが3月31日。そう、前回の北九州に大勝した試合からである。その試合でアシストを決めた米倉は、水を得た魚のように、攻守でイキイキとしたプレーを披露し、まるで右SBが本職かの様なパフォーマンスを披露し続けている。

「前回の様にはやられない」。森村と同じく、マッチアップが予想される北九州の冨士祐樹も雪辱に燃えている。サイドの攻防を制した者に、試合後の勝利の歓喜が待っている。

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2013.08.09 Reported by 坂本真