7月に入り4連敗を喫した山形と群馬。1-1のドローでともに連敗を止めたあとの前節、先にシーズン後半戦の勝利をつかんだのは群馬だった。
4連敗の時期には3試合連続無得点とゴールを割ることに苦心していた群馬だが、前節・松本戦では3-0と快勝。1トップ・平繁龍一をターゲットにしながら2シャドーが連動。永田亮太は裏のスペースへの飛び出しやそこからの折り返しに、横山翔平はドリブルに、思いきりと迫力が備わっていた。シャドーが攻め込んだ背後から、ボランチの黄誠秀がこれも迷わず波状攻撃の一翼を担ってゴール前に入り込むシーンも多く、チャンスには多くの選手を相手ゴール前に送り込んでいる。
コーナーキックからのダイビングヘッドで口火を切ったDF乾大知は「守備で危ないシーンもあったが、チーム全体で体を張って守ることができた。その結果が勝利につながった」。2-0とリードして迎えた後半は相手のシステム変更にシステム変更で応じ、そこから途中出場・青木孝太がダメ押しゴール。前回勝利した札幌戦以来6試合ぶりの無失点で試合を締めくくった。秋葉忠宏監督も「今日はサポーターが最高の空気を作ってくれていた。前節ホームで引き分けて最下位に転落してもブーイングではなく温かい応援を送ってくれたが、その続きがこの結果につながった」とサポーターとともに勝ち取った勝利であることを強調した。
この勝利で、今季2度目の最下位も1節で脱出。いまだ降格の危機を脱したわけではないが、その危機感が勝利を希求する原動力になる。前節終了後、秋葉監督も「今日の勝ちは素晴らしかったが、次の山形戦につなげていかなければ意味がない」と気持ちを引き締めていた。
前節、京都を相手に2試合連続で追いつかれてのドロー。6試合ぶりの勝利を逃し、順位表のハーフウェイラインをいまだ越えられない山形も、チーム状態はむしろ「良好」と表現していい。90分を通してコンパクトな状態をつくり出すため、攻めに打って出るケースとボールを保持するケースの整理を図り、シーズン序盤に得意としてきたアグレッシブに攻めまくるスタイルから、しっかりとボールを動かし、リスク管理でも可能な限り隙のない状況をつくってから攻めに転じるスタイルに変化している。
京都戦では、たった一度相手に与えた決定機を決められているが、それ意外の守備の対応はパーフェクトに近い出来だった。両ワイドのアタッカーには小林亮と石川竜也がオフ・ザ・ボールから近い間合いでトラップ際を狙い、インサイドハーフが裏への飛び出す動きにもロメロ フランクや秋葉勝が遅れずに付いていきフリーにさせなかった。カウンター気味に攻め込まれる場面で自陣の守備の人数が足りなかったのは、立ち上がり間もなくの一度きり。相手シュートを4本に抑えた戦いぶりは、消耗して終盤に逆転を許した前回の京都戦とも、後半で受けに回りペースダウンするここ最近の試合とも違っていた。
相手の2倍、3倍の数のシュートを放ちながら勝点3に結びつかない試合が続いていたが、理想とするスタイルは試合を重ねるごとに近づいている。水を注ぎ続けたコップがいつあふれてもおかしくないように、試合内容がそれに見合った結果に結びつくまであと一歩。「流れ的には勝っていける流れだと思うし、勝たなくちゃいけない流れだと思う。一つきっかけがあるだけで流れが変わると思うので、そういう試合にできたらいい」(清水健太)。勝ち続けるための態勢はすでに整っている。今節からのホーム連戦は、暫定13位からの反転攻勢を実現するラストチャンスとなる。
前回対戦は第19節。終盤に追いつかれた群馬にとっても、追いつきながら逆転までたどり着けなかった山形にとっても悔いが残る試合だった。
群馬は草津でのミニキャンプを張ってから富山とドロー、松本に勝利。フォーメーションを4-4-2から3-4-2-1に変えたのもこのタイミングだったが、富山、松本は同じフォーメーション。守備では人ではめていき、攻撃では思いきりのいい動きで外していくことで勝点を得てきた群馬が、4-4-2の山形と対戦する今回はどう出るのか。速攻、遅攻の双方を兼ね備え、引き出しの多い群馬に対し、山形は主導権を握りコンパクトな陣形で戦い続けることができるのか。ようやく梅雨が明けた真夏の夜のNDスタは、生き残りを懸けた戦場と化す。
以上
2013.08.10 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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