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【J2日記】福岡:アウェイに行こう〜岐阜編(ぶらり旅編)(13.08.15)

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駅前広場にそびえ立つ織田信長の黄金像。その派手さには、ある意味、圧倒される

表通りを1本入れば、そこには昭和な街並みが続く

柳ヶ瀬商店街も路地裏には昭和な世界が広がっている

創業1960年の大福屋。店先の「がんばれ!FC岐阜」のノボリが目印

名物「井ノ口丼」。具材は岐阜県産にこだわっている。いずれのメニューもリーズナブル。近所に住んでいたら毎日でも通いそう

元祖みそかつの店・一楽。佇まいはB級グルメを思わせるが、50年を越す歴史は味の良さの歴史でもある

一楽の「みそかつライス」。甘めの味噌だれも決してくどくなく、あっという間に完食した

アウェイ旅の楽しみ方は人それぞれ。訪れた土地の観光地巡りをするのも楽しければ、有名店を歩いて地元ならではのグルメを味わうのもいい。時間に余裕がない時は、アウェイの土地ではなく、そこに至る行程を楽しむのも立派なアウェイ旅の姿。それぞれの旅に、それぞれの発見がある。そして、私の旅の流儀は、その町の空気に触れること。最低限の知識だけを身に付けて、あとは気が向くままにブラブラと町の中を歩き回る。そこで感じる町の空気が心地よい。

さて、今回のアウェイ旅は岐阜。大都市・名古屋に隣接しているため(快速電車利用で18分)、岐阜との試合の前後は名古屋に泊まる人も多い。確かに遊ぶ場所や有名な飲食店は圧倒的に名古屋に多いが、岐阜には岐阜の良さがあるはず。いつもの流儀にしたがってJR岐阜駅からの「ぶらり旅」を決め込んだ。そんな私を出迎えてくれたのは、駅前広場の黄金の織田信長像。高さ8mの台座の上に、3mの信長像がそびえ立つ。とにかく派手だ。その信長像に送り出されるようにして町へと繰り出す。

再開発されて立派になった岐阜駅前と、そこから続く駅前通りの雰囲気は、地方都市の県庁所在地そのもの。きれいに区画整理され、立派なビルが立ち並ぶ。けれど、私が選んだコースは1本入った裏通り。そこから柳ヶ瀬商店街に向けて歩いていく。表通りとは全く違った雰囲気を醸し出す道は、所々にしゃれたお店も見えるが、基本的には昭和の雰囲気をそのまま残したような通り。今では目にすることも少なくなった昭和の雰囲気を漂わす小さな旅館や飲食店が連なっている。「三丁目の夕日」世代の私にとっては懐かしい光景。その空気が心を安らがせてくれる。

1kmほど歩けば目的地の柳ヶ瀬商店街。その路地裏へ足を進めれば、そこにも昭和な世界が広がる。そこで見つけた昔ながらの定食屋「大福屋」の暖簾をくぐる。4人掛けのテーブルが3つと小さなカウンターだけのこじんまりとした、おばあちゃんが切り盛りする店だ。先客は2人。そして私の後に2人。みんな地元のおじいちゃん、おばあちゃんたち。既に半世紀以上を生きている私も、この店では圧倒的な若者だ(笑)。
運ばれてきたのは、お店お勧めの「井ノ口丼」。何でも、かつて岐阜が「井ノ口」と呼ばれていたことから名付けられたらしい。玉葱と椎茸、かまぼこ、鶏肉を甘辛く煮たものの上に、舞茸の天ぷらが乗っている。ごはんと具を一緒に頬張れば懐かしい味が広がる。まさにおふくろの味だ。あとで調べてみると、創業は1960年とのこと。なるほど、納得の味のはずだ。

滞在2日目も、再び柳ヶ瀬商店街へ。福岡が岐阜に勝利したことに気を良くして、朝早くから柳ヶ瀬商店街の裏通りを歩きまわる。そして、お腹が空いたところで、前日に見つけたお店へと向かう。お店の名は「一楽」。まさにB級グルメを思わせる外観と、暖簾に書かれた「元祖みそかつの店」の文字に呼ばれたからだ。店は10人ほどのカウンターが1本だけ。座ると背中が壁につくほどの狭さで、一度入ると出るのにとても苦労する。しかし、どうやら人気店らしく、11時30分の開店と同時に次から次へと人が入ってくる。こちらも創業50年以上になるそうだ。

もちろん、チョイスは「みそかつライス」。大きなお皿が小さく見えるほど大ぶりのカツに、味噌だれがたっぷりとかかっている。ボリュームは満点だ。味噌だれをすくうようにしてカツにまぶして口に運べば、揚げたてのカツのサクッとした衣と柔らかな肉、そして甘めの味噌だれが口の中に広がっていく。気が付けば、大きく見えた「みそかつ」もあっという間に完食していた。しかし、一番奥に座っていた私は、外へ出ようにも出られない(笑)。隣に座っていたおじいちゃんの食事がひと段落したところを見計らって、お互いに半身になって外へ出る。出るほうも通路を空けるほうも、互いに気遣いすることで成り立っている店。それもまた、岐阜が残す昭和な空気の良さなのだろう。

飛び込みで訪れた店がいずれも50年以上も続いているように、岐阜は新しいものの中に古いものが残っている町。「三丁目の夕日」の時代が良かったなどとと言う気もなければ、今のほうがいいと言う気もないが、あの頃の空気に触れたいのであれば岐阜は決して悪くない。また行くことがあれば、その時は、商店街のあちこちで見かけた「たこ焼き屋」と「お好み焼き屋」の味比べでもしてみよう。

以上

2013.08.15 Reported by 中倉一志
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