第4節(1−1△)とヤマザキナビスコカップ第5節(1−3●)の印象と記憶だけを引っ張り出すと、今節、甲府が勝つイメージを頭の中に作り上げることは…残念ながら難しい。totoの投票率を見ても甲府
の勝ちをマークしている人は約17.5%に止まっている。対する川崎Fは、J1リーグで現在1位の得点力・42ゴール(甲府は16ゴール)と2番目に多い38失点(甲府は29失点)の帳尻が勝点29で10位という成績になっているが、ゴールデンウィーク後半から6月の中断前の内容・結果・勢いを見ればハイペースで順位を上げる可能性というか、ポテンシャルは十分にある。勝点18で14位の甲府も順位をハイペースで上げる可能性も、「大久保嘉人のシュートが全部ポストかバーに当たりますように…」と祈りながらの希望もあるが、川崎Fとノーガードの打ち合いを挑むことは現時点の甲府にとって得策でないことは明らか。
でも、3バックと両ウィングバックを下げる5バックにして90分間守って勝点1を狙うというわけにもいかない。チームとしては、マイボールの時間を長くして決定機の数を増やしたいが、前節はカウンターの意識が強くなりすぎた。甲府の城福浩監督は、「(川崎Fは)オープンに打ち合ってJ1でモノにできるチームじゃない。カウンターを狙いながら遅攻へ、ジャッジを変えていける落ち着きも必要。(そして)チャンスにエネルギーを掛けてゴールになだれ込んでいく。サポーターは辛抱強く声援をしてくれている。それを強く感じている」という趣旨の話をする。何としてでもホーム・山梨中銀スタジアムで勝ちたいのだ。そのための戦術が、何か一つをするというシンプルなコトではないだけに、11人の集中力や判断力が問われるし、交代で入る選手の質や勢いも重要になる。
これは川崎Fも同じで、再々開後の戦いの中にある課題は風間八宏監督がいう「仕留めることできる」、「危ないところが分かる」ということが大きなポイントになるだろう。求める質は違うだろうが、細部を突き詰めないと“もう少しで勝てる”の”もう少し”を埋められない。11対11の紅白戦をハーフコート、場合によってはハーフコートより狭いエリアで毎日のように行う川崎Fのトレーニングは、スペースの感覚・選手の距離感やプレッシャーに対する意識を高いレベルで研ぎ澄ます。だから勝っているときは2〜4点取れていた。対戦チームは1〜2点ではなかなか勝てない。積み重ねた42ゴールがその証でもある。問題は失点の多さ。今節、家庭の事情で約2ヶ月ブラジルに帰国していたDFジェシが先発復帰しそうなだけに、彼の質の高さに期待したいところ。心配し、気に掛けてくれたサポーターに勝利でお礼をしたいという気持ちがモチベーションをより高めているはず。8月6日に再来日したばかりだが、風間監督が「思ったよりコンディションがいい」と判断しているジェシがどんなプレーをするのかは興味深い。ただ、1−0の勝利ではなんとなく川崎Fらしくはない…外野からの印象では。打ち合いをする気がない甲府と、打ち合いに持ち込めば勝率がかなり高くなる川崎Fの戦いはフィットするのだろうか。主力にケガ人が多いだけに、今節チャンスを貰う選手やポジションが変わる選手の戦術理解度も問われるだろう。そこに甲府がつけ入る隙があるかも知れない。
4−4−2で戦っていた甲府が3−4−2−1にシステムを変更することができた大きな理由の一つはワントップのパトリックの加入。川崎Fは、今節パトリックが出場できないような契約をすることも可能だったようだが、それをやらなかった。城福監督は「川崎Fというクラブの度量の大きさ」と称え、感謝している。今節は、月並みだが――ブラジルに恩返しゴールという観念があるのかどうか知らないが――甲府に来てまだゴールがないパトリックのゴールに期待するサポーターは多いはず。パトリック自身も「少しずつ慣れて味方の信頼を感じる。それをゴールという形で返したい」とゴールに対する渇望は高まっている。ただ、城福監督からは、「ゴールを決めることが全てではなく、それに繋がるチャンスメイクも貢献。逆に点を取れば守備をしなくてもいいというものでもない」とパトリックにあってほしい姿を伝えている。また、シャドーのジウシーニョにも期待するし、城福監督が「試合に出場し続けることで判断に余裕が出てきた」という河本明人も秘めるワイルドなポテンシャルを解放しそうな雰囲気が出てきている。無失点、もしくは1失点で乗り越えないと勝利の可能性がかなり小さくなる甲府だが、ロースコアの展開の中で決定機の数を増やし、ゴールを決める甲府なりの質の高さを発揮して勝ちたい。
以上
2013.08.16 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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